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白い部屋

作者: 睡蓮華

白い四角い部屋の中、小さな命が生まれた


まだ泣くことしかできないが、その小さな手には筆が握られている


その筆には黒色が染み込んでいた


身体を動かすたびに筆が白い床に触れ、絵とも字ともならない線を描いていく




1年2年と過ぎ、感情が現れ始めると白い部屋には色とりどりの絵の具に、様々な大きさの筆が


どこからともなく置かれていった


そして自分の思うままに、筆と色を使い白い壁に絵を描いていく


最初のうちは形にならないものが、成長していくうちに色の使い方を知り、筆を使い分けるこ

とができてきた


時には激しく、時には優しく、自分の感情のまま絵は描かれていく





白い部屋は様々な色に彩られていった


知識を持つたびに新しい色は増えていく


しかし子供のときにあった色はもうなくなっていた


白かった部屋はいつしか白がほとんど見えないほどになっていた


前に書いた絵に新しい絵を重ねていく


そのたびに前の絵を忘れていった





白が完全に消える直前、部屋全体を見回した


いろんなことがあった


悲しい事も楽しい事も、辛い事も苦しい事も……


絵はその全てを表していた


忘れていった感情もある


それでも、この部屋に書いたもの全てが自分の人生だったのだ


最後の白を埋めると、静かに目を閉じた


白かった部屋は自分の書く絵によって鮮やかなものになった


それは決して綺麗とは言えないかも知れないが、この色こそ自分自身なのだ





自分が消えると同時に、鮮やかな部屋はまた白い部屋へと塗り替えられていく


表面に残しておいてはいけない


次に来る自分が新しい自分の色や絵を描いていくから


でもその壁の奥に自分の絵は残っている


あったという存在だけは決して消える事はない





あなたは今、どんな絵をどんな色で描いていますか?


初めての投稿作品です。もしご感想がありましたら書いていただけると幸いです。

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