表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/4

第3話【世紀の一戦】

 刺ノ坂たったひとりだけになってしまった翌年の大相撲春場所。そこに、なんとひとりの力士が出場をした。


 


 

 その力士とは情熱丸、十両になったばかりの20歳の青年。実は彼はこれまで怪我のため入院しており、刺ノ坂事件をずっとテレビのニュースで見続けていたのだ。


 


 

 やがて全身トゲだらけの刺ノ坂をみんなが怖がり、大相撲への参戦をすべての力士がやめてしまった。『それならオレが刺ノ坂と戦ってやろうじゃないか』と情熱丸が唯一立ち上がったのである。


 


 

 ……運命の取り組みの瞬間はやってきた。刺ノ坂vs情熱丸。


 


 

 その日の刺ノ坂はいつもと変わらぬトゲだらけの全身タイツ姿。全身を覆うトゲ1本1本が鋭利に尖っており、触れただけで指から血が吹き出そうだった。


 


 

 この世紀の一戦見たさに両国国技館は満員御礼。刺ノ坂に戦いを挑んだ命知らずの力士・情熱丸はなにをやってくれるのか?日本中がテレビの前に釘づけになった。


 


 

 相変わらず表情を変えない行司。そして取り組みははじまった。


 


 

 「ハッケヨーイ、ノコッタ!」


 


 

 意外にも先に仕掛けたのは情熱丸。彼は刺ノ坂の全身を覆うトゲに微塵も臆せず、正面から190センチ、150キロの巨体をぶつけていった。


 


 

 その瞬間、情熱丸の全身に激痛が走り渡る。


 


 

 「うがぁぁぁぁっ……」情熱丸は苦悶の声を発してその場に倒れ込んだ。


 


 

 と、そのときだった。数人のスーツ姿の初老たちが土俵に割って入り、情熱丸を担架に乗せて救急車へと運び去っていった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ