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忘れられた神々の寵愛  作者: 小鳥遊つかさ
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会合

 ボクは軽く一息を付くと改めてエドワードさんとしっかりと目を合わせた。

 エドワードさん達はボクのわずかな動作も見逃さないように気を張っているように見える。あくまでも笑顔は装っているけどね。


「世間知らずなボクがエドワードさんの気を悪くしたならごめんなさい。

 ただ、ボクがエルフの森に行きたい理由はボクの知り合いがエルフの村に行く必要があるためです」

「オー、それならその人がこの場でタノモーするのがスジじゃありまセーンカ?」

「そうするべきかもしれませんが…ボク以上に世間知らずなものでして、会話にならない可能性がありまして」

「それならその知り合いは何のためにエルフの村に行く必要がアルネ?」

「エルフの村に会いたい人が居るみたいですね」

「それは誰だべ?」

「それは…言えません」

「本人はいねぇで誰に会いたいかも言えねぇなんて、オラァ達をからかっているだべ」

「オー、さすがにそれだとシンヨーできませーん」

「お互いのためにも知り合いに来てもらうのが1番アルヨ」


 口々に文句を言い出す彼らを見てボクは心の中でため息をついた。

 ボクもリーナのことを素直に言えれば話は早いのだけどね。

 リーナからは偶然誘拐されたと聞いたけどそこに誰かの介入があったかもしれない可能性があるならリーナの名前は出すことができない。

 エルフの村が一つだけだとは思わないしそれぞれの村が対立してないとの保証もないしね。

 しかし、このままだと話が進まないのでボクはもう一枚手札を切ることにした。


「ただ…」

「ただ、なんだべさ?」

「これが誰の物か分かる人を探しています」


 そう言って、ボクは1つの花の形のピアスをテーブルに置いた。

 そのピアスは木で出来ており、造形自体は簡素で売り物にもなりそうもなく素人が作ったようなヤボぽさがあるがどこか温かみがあるように受ける。

 これはリーナがつけていた片方のピアスでボクが狩に行っている間、御守り代わりの側見として貰った物だ。

 その代わりリーナには露店で見つけた可愛いピアスを贈ってあるけどね。


「オー、ピアスだけで人探しと「いや、手に取ってみてもいいだべか?」かムズカシー」


「どうぞ」


 アイシャさんの言葉を遮るようにエドワードさんはボクに許可を求め、食い入るようにピアスを見つめ続けている。

 たっぷり5分以上はピアスを凝視していたかな?

 その間、ボクも他の2人もそんなエドワードさんを眺め、無音の時間が続いた。


「分かった。坊をエルフの森に連れては行けないが、俺が責任持ってこのピアスを知っている人を探してきてやる」

「「エドワード!」」


 沈黙を破ったエドワードさんの発言を打ち消すように大声をあげる2人だけど、さっき気のせいかな。

 エドワードさんの一人称が俺と言った気がしたのだけど。

 疑惑の目をエドワードさんに向けると彼は大声に驚いていたみたいだけど、ピアスをテーブルに置きながらコホンと咳払いをした。


「そん代わり、オラァがこのピアスを少し預かってもええか?」

「いいですが、そのピアスを預けるなら条件があります」

「なんだべ?」

「その前に少し窓を開けてもいいですか?すぐ閉めますので」

「いいべ」


 ボクはエドワードさんの許可を頂いて窓を開けた。

 窓を開けると同時に待機させておいたハウロが部屋に入り、わたしの肩にとまる。

 それを確認してボクは窓を閉めて再びテーブルに着いた。


「オー、ウィンドバードですね。懐いていてウラヤマシーです」

「名前は何ていうアルネ?」

「この子はラ・ポーレと言います」

「ラ・ポーレだべか⁉︎」

「えぇ、何かありましたか?」

「いや、あんま聞かない名前で驚いたべ。坊がつけたんか?」

「いいえ、この子の名付け親はさっき言った知り合いですよ」


 どこか納得いったようにハウロを見るエドワードさんにボクは条件を伝えた。

 条件はボクがエルフの森について行かないかわりにハウロを連れてことだ。

 表向きの理由としては、エドワードさんが戻る際にハウロを離してもらう事でボクが狩に出ていたりしてお互いが入れ違いにならないようにするためにしておいた。

 ビットさんとアイシャさんはその条件に反対してきたけどエドワードさんが一言構わないと言ったことで2人も渋々納得してくれた。


 その後、更に細かい話をつけてボクはエドワードさん達との会合を終わらせて冒険者ギルドを後にした。




 アルフが出ていった個室には変わらず3人はテーブルに着いたままだった。


「ねぇ、エドワード。どうしてこの話を受けたの?」

「エルフの村を守るのがお前の信念だろう。それがそんなちゃっちなピアスを見ただけで何があったんだ?」

「アイシャ、ビット。お前らが知らないだろうが、このピアスはエルフの民の物だ」

「どういうことかしら?」

「このピアスは親が子供に始めて贈るピアスだ。このピアスを受け取った子供は大人になるまでは親愛出来る奴に渡す以外には外すことはない」

「それでも言いたくないが死んだエルフから奪った物の可能性もあるんじゃないのか?

 エド、そんな大切な物ならお前も持っているんだろう?」

「いや、このピアスは成人の式で燃やして灰を森に還すから大人で持っている奴は居ない。

 それにエルフの森の奥に生える木を材料にしているから、奴隷になってしまったエルフが子供に作ってやることもできない

 まぁ、ピアス自体は贈るからそんな習慣を知っている他種族は居ないがな」

「なら、先ほどのアルフ君の知り合いってもしかして?」

「結論はまだ早いがな。後、坊の飼っているラ・ポーレだが坊自身が知っているようには見えなかったが古代エルフ語で非常食と言う。

 まぁ…名付けセンスは疑うが最低でもこの話にはエルフの民が関わっているはずだ」

「なるほど、それでピアスを見た時にお前が素を出してしまったわけか」

「まぁな。俺はこのままエルフの森に行く。しばらくの間、クランとアルフ坊の情報集めを頼むぞ」

「「もちろん(よ)」」


 クラン「深緑の憩い」はエドワード、ビット、アイシャの他にはランクD・Eの冒険者しか居らず、その上年齢層も若めになっている。

 これはエドワード達3人が率先して亜人族を保護するかのようにクランに勧誘しているからだ。

 その背景には彼ら3人が昔、人族ではないだけで味わった辛い経験がある。

 その経験が皮肉にも彼らをランクBの冒険者にしたのだが、彼らはそれに恨みを持っていない。


 そんな3人はわざと口調を変えることで周りから深緑の憩いの観賞用3人組として周りから馬鹿にされている。

 彼らはそれで良いと思っているし、彼らが馬鹿にされ注目を集めることで他の同族が少しでも危険が避けられるならと考えている。


 実際、この口調で効果があるかは分からないが他の強面の冒険者と違ってサナリの住民から彼らは面白いと親しまれ様々な情報を教えて貰えるため彼らの努力は全くの無駄ではないだろう。

エドワード達の過去の体験は機会があれば何処かで書こうかなと思ってます。


読んで頂いてありがとうございますm(_ _)m

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