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忘れられた神々の寵愛  作者: 小鳥遊つかさ
28/33

エルフの君

「我、神々の友調合士の英雄(アヌス)に願う」


 レイさんがそう唱えると癒草が水に溶け込、目の前に淡い黄色の回復薬が現れた。

 何度目かの調合の挑戦でようやく回復薬を作ることが出来たレイさんは一言「ようやく出来た」とつぶやいて、魔力の使い過ぎで肩で息をしているけど満足気な表情をしているわ。


 ガネリへの借金を返済した夜、わたし達はレイさんの家でささやかな宴会を行った。

 ミイちゃんもレイさんの借金が無くなったことは喜んでいたけど自分の病気のことを考えると心から喜べてなかったみたい。

 ミイちゃんの病気が完治しないとまたレイさんは借金しなきゃならないから仕方ないと思うわ。

 そのため、わたしとレイさんは次の日にすぐにでも魔吸薬を作ることとなった。

 レイさんは最初、冒険者ギルドで調合士を探して依頼する予定みたいだったのでわたしが調合出来ることを伝えてわたしが調合することになった。

 ちなみに今まではガネリが手数料を取って調合してくれてたみたい。

 手数料はやっぱりぼったくりな価格だったけどね。


 魔吸薬は魔祓草と回復薬で調合すれば良いのですぐにでも作れるけどせっかくだしレイさんにも手伝って貰うことにした。

 レイさんは自分が作った回復薬だと魔吸薬の効力が弱くてなってミイちゃんの病気が治らないと危惧してたけど魔吸薬の調合には効果の違う回復薬が2種類必要なことを伝えると納得して調合を開始してくれた。

 ついでに回復薬の調合での水と癒草の配合を教えようとしたけど配合は今後調合士を目指すレイさんとしてはそこまで甘えたくなかったみたいでどうしても回復薬が出来なかったら頼むと言われたわ。


 そんな苦労な成果の回復薬をレイさんはわたしに渡して後は頼むと言って部屋から出て行った。

 魔吸薬の調合する所を見るわけにはいかないと言ってたけど少し頑固じゃないかしら?

 シャールさんから配合を教え貰ったわたしとしては広めて皆で作れたほうが良いと思うのだけどね。


 考えても仕方ないとわたしは自分を納得させて魔吸薬の調合を開始した。

 シャールさんの手紙によると魔吸薬の配合は魔祓草と回復薬を1:1で良いみたい。

 ただ回復薬を調合材料にする場合は回復薬が緑に近いほど効果の高い物が出来上がるみたいだけど、シャールさんは更に効果の上げる方法を手紙に書いてくれてたわ。

 それが色の異なる2種類の回復薬を混ぜることで調合の素材としての効力を上げるみたい。

 配合は弱い回復薬が1に対しての強い回復薬を3の割合で2種類の回復薬の効果の差が大きければ大きいほどより良い効果が期待出来るみたい。

 ただ回復薬としての効果は下がるので調合にしか使えずほとんどの人が知らないし、試そうともしないみたいだけどね。


 レイさんの淡い黄色の回復薬とわたしが以前作った緑の回復薬の差なら良い魔吸薬が作れるはずだわ。

 これでダメならシャールさんに素材を持ち込んで作って貰うしかないのだけど…その際はママを連れて行かなきゃダメよね。

 そうだわ、念のため魔祓草と混ぜた回復薬にわたしの魔力も込めておこうっと。


「我、神々の友調合士の英雄(アヌス)に願う」

 わたしの前には魔祓草が回復薬に溶け込み鮮やかピンクの液体薬が出来た。

 魔吸薬は見たことないけど大丈夫なはず。


「レイさん、魔吸薬が出来たから確認して」


 わたしの呼び声を待っていたのか、レイさんはすぐに部屋に入ってきてわたしの作った魔吸薬を見て声を失ってるみたい。


「レイさん、何か問題あった?」

「いや…ここまでの魔吸薬は見たことがなくて…

 アルフ、お前の調合の腕は本物なんだな」

「もっと凄い人はたくさん居ると思うけどね。

 これでミイちゃんが治るといいね」

「そうだな。これならきっと…」


 わたしより腕の良い調合士などたくさん居ると思うのだけど、レイさんはそう思ってないみたいだわ。

 後から確認したら、魔吸薬は効果が低いほど魔祓草が溶け切らずに不純物として魔吸草に浮いているらしい。

 レイさんがガネリに作って貰ってた魔吸薬は1/3ぐらいが不純物でミイちゃんの病気が治らなかったのはガネリの効果の低い薬も原因だったみたいだわ。


「お兄ちゃん、これいつものと違うね」

「アルフの手作りだから、きっとミイは良くなるさ」

「ミイちゃん、レイさんも手伝ってくれたからきっと良くなるよ」

「お兄ちゃんも手伝ったの?」

「あぁ、少しだけだけどな」

「じゃ、安心して飲めるね」


 ミイちゃんはレイさんから薬を受け取ると躊躇うことなく飲んでくれた。

 ミイちゃんは薬を飲んだらすぐに眠りに着いたので薬が効いてきたみたい。


「後は数時間後に起きた時だな」

「そうね。その時お腹を空かせたらいいのだけどね」

「その時はアルフに料理を頼んでいいか?」

「もちろん!」


 血狂病は薬が効き始めるとすぐ眠りにつく。

 魔吸薬に十分な効果がある場合は薬の成分で血の力を抑えて、その間に身体を血に耐えれるように数時間掛けて耐性を付ける。

 身体が栄養を使い過ぎるために眠りが覚めた後は急激な食欲に襲われ、女性子供でも数日分ぐらいの食事必要とするらしい。

 逆に薬の効果が低いと耐性を作ることが出来ないために食欲が沸くこともない。

 そのため目覚めた後に食欲が出たら病気が完治したと判断出来るわ。


「レイさんはそれまでどうするの?」

「俺は少し調合で疲れたから少し休むよ。ミイが目覚めた時に側に居てやりたいし」

「じゃ、わたしは冒険者ギルドに行ってくるからリーナをお願いしていい?

 ミイちゃんが目覚めて食事が必要ならラ・ポーレを飛ばして」

「あぁ、わかった」


 遊び疲れてミイちゃんの横で寝ているリーナの面倒をレイさんに任せてわたしは街にギルドに向かうことにした。

 ダミアンさんにも改めてお礼もいいたいしね。



「おじさん。これ(リマの実)ちょうだい」

「坊主、いらっしゃい。

 今日は少しおまけしてやるぞ」

「何かいいことあったの?」

「まぁな。あっちを見てみな」


 おじさんが指差した先にはガネリの露店があった場所だった。

 昨日まではいつも通りだったのに今日は露店が開く様子もなく通りがかった商人ギルドの職員に聞いたら、しばらくガネリの露店は休止することを知ったみたい。


「これでしばらくかもしれんが静かになると思うと嬉しくってな」

「そうなんだ」

「しかし、いきなりだなんて何があったんだろうな?」

「さぁ?何か罰でも当たったのじゃないの?」

「そうかもしれんな」

「おじさん、おまけしてくれるでしょ?

 それならこれとこれもちょうだい!」

「坊主、しっかりしてるな」


 思ったより安く食材も買えたし、ミイちゃんが起きたら何を作ろうかしら。

 無事血狂病が治ってたら残ったカナリマの肉も出そうかしら。

 献立を考えていたら、すぐに冒険者ギルドに到着しちゃった。


「アルフさん。こちらにどうぞ」


 ギルドに入るとカリナさんがすぐに気付いてカウンターに手招きしてくれた。

 カリナさんは、いつも居るけどいつ休んでいるのかしら?


 そんな疑問を抱きながらわたしはカリナさんに借りていた採取用の大袋を返却した。


「癒草の採取に使われると思ってましたがまさかあれを入れるとは思いませんでした」

「カリナさん、何があったか知っているのですか?」

「もちろんです」


 にっこりと笑うカリナさんを見て、ダミアンさんが全て喋ったことが分かったわ。

 ダミアンさんには口止めもしてなかったけど、どこまで広がったのかしら。


「アルフさん。まずはFランク昇格おめでとうございます」

「え?なんで?依頼数全然足りないと思うけど?」

「ダミアンさんとゴードンさんから事の顛末を受けて、あれだけのやり取りとカナリマを狩れる腕を持っている冒険者をGランクで遊ばせる余裕はないため特例としてFランク昇格となりました」

「そ、そうですか」

「後、あの場所に居た商人の方々からカナリマの肉がもし余っていたら売って欲しいとギルドに問い合わせが着てますよ」

「カナリマの肉ですか?」

「えぇ、中々獲れないためカナリマの肉を欲しがる商人は多いですよ」


 そのあと、カリナさんは呟くように私も食べたいので少し冒険者ギルドに売って頂けたら嬉しいですと恥ずかしそうに言ってたので今度カナリマの肉を使った料理をお土産に持ってくることをわたしは決意したわ。

 他の商人の方々には自分で使う分しか獲ってなかったのでもう売る分はないですと伝えてもらうことにした。


「では、改めてFランクになったことですし腕輪の更新を行いますね」

「はい。お願いします」


 わたしから腕輪を受け取ったカリナさんは更新のために奥の部屋に行くと数分後すぐに戻ってきたわ。

 その後、確認してくださいといいながら腕輪を返してくれたカリナさんを見ながらわたしは腕輪を付けて情報開示(オープンスキル)と唱えた。


 名前

 ・アルフ

 ランク

 ・討伐ランク F

 ・採取ランク F

 ・総合ランク F

 ・迷宮ランク ー

 武器

 ・短剣

 護衛回数

 ・0回

 迷宮最深部

 ・0F

 信仰

 ・忘れられた神 アティウス

 ・風の眷族 ハウロ

 ・太陽と風の神 ルコトル

 ・狼人族の女神 アルテス

 祝福


 加護

 ・アティウスの寵愛

 ・ハウロの加護

 ・ルコトルの恩恵

 預かり金

 ・白金貨 0枚

 ・金貨 7枚

 ・銀貨 57枚


「あれ?ランクの所が変わってるけど?」

「はい、Fランクからは正式な冒険者としてランクは4種類に分けられます。

 依頼の種類に応じて必要ランクがあり、自分のランクより1つ上のランクの依頼まで受けれます。

 また依頼内容によっては複合のランクが必要な場合もありますのでお気をつけください」

「複合のランク?」

「はい。

 例えば癒草の採取の依頼なら採取ランクのみですが、誰かに癒草の採取方法を指導する依頼の場合は採取ランクと総合ランクの2つのランクを満たしておくことが必要となります」

「なるほど。迷宮ランクが他と違うのは?」

「迷宮ランクは祝福を持って始めてFランクとして現れます。

 ただし、迷宮に入るためには迷宮ランクF以上と討伐ランクをD以上にするがありますのでご注意ください」


 その後、カリナさんから依頼の内訳を色々聞いたけど大きく分けると素材集めが採取依頼、魔獣討伐が討伐依頼、それ以外が総合依頼みたい。

 総合依頼には物の運搬や低ランク冒険者の指導、果ては教会のお手伝いなど幅広くあるみたい。

 それなら全部まとめて総合ランクにすればいいのにって思ったけど採取と討伐ランクは冒険者の知識と強さを測る基準としてるから仕方ないみたいだわ。


「そういえば、アルフさんが以前仰ってたエルフの冒険者ですが丁度依頼から戻ってきましたよ」

「本当ですか?」

「えぇ、まだ奥の酒場でパーティーの方と居ますよ」


 カリナさんには冒険者ギルドに登録した際にエルフの冒険者が居たら教えて欲しいと頼んでおいた。

 わたしはすぐにカリナさんにお礼を述べて奥の酒場に向かった。

 これでリーナの故郷のエルフの森の場所が分かればいいな。


 酒場に入って見渡すと少し奥に3人が座っているテーブルがあり、そのうちの1人に金髪碧眼の美男子を見つけた。

 更によく見るとエルフ特有の尖った耳をしているし間違いないと思うわ。

 そこにいるだけで絵になりそうな美男子に声をかけるなんて、わたしはドキドキしながら彼のいるテーブルに近づいていった。

 近づくにつれて彼らの話が断片的に聞こえるけど彼は聞くばかりで彼の声は聞けなかった。

 きっと声も素敵なんだろうなっとわたしは更に胸を踊らせて声をかけたわ。


「あ、あの。すみません」

「ほい?

 坊、オラァに用だべか?」


 …うん。声は澄んだ声をしていたわ。

読んで頂きありがとうございますm(_ _)m

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