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忘れられた神々の寵愛  作者: 小鳥遊つかさ
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別れと再開

 あぁ、周りの視線が痛いわ。

 いつまで、わたしはこのテーブルに着いてなきゃならないのかしら。


 今、わたしは双子の女性とテーブルを挟んで対峙していた。いえ、正確にはわたしの左側に座っているソファラが2人と対峙していて、わたしは蚊帳の外かしら。

 リーナは話が長くなって退屈で眠くなったのかわたしにもたれかかって今にも寝そうだわ。


「ソファラお嬢様。お願いですから1度お帰り下さい!」

「ですから、わたくしめはまだやることがあると言ってるでしょ!それが終わりましたら必ず帰りますわ!」

「私達は旦那様に必ずソファラお嬢様を見つけて連れ戻せと言われてます!ソファラお嬢様がやりたいことって何でしょうか?お手伝いいたします!」

「そ、それは…言えるわけありませんわ!」


 何度も同じ言い争いを行いながらもチラチラとわたしを見てくるソファラを横目にわたしは何故こうなったのか考えてた。



 まず、わたし達が起きたのは昼過ぎだった。

 馬車での旅は思った以上に疲れたのか、わたし達はドロのように眠り込んでいたわ。

 わたしより早く起きたソファラがわたしの顔に押し当てられたリーナの双丘を鬼の形相で睨んでいたので寝返りを打つ振りしてリーナから離れた以外は平和な寝起きだったと思うわ。


「アルフにぃ、ご飯あまり美味しくない。リーナ、アルフにぃが作ってくれたキョーカがいいよぉ〜」

「リーナ、せっかくの食事だし我慢してね。夜は美味しい物食べようね」

「食材を無駄にするのはあれですが、これはアルフの料理と比べると酷過ぎますわね」

 起きた後、身支度を整えたわたし達は宿屋のサービスの食事を取ることにしたのだけど、内容が凄く酷かった。

 硬めのパンと塩味のみの小さな肉の欠片と野菜の原形をとどめて無いぐらい煮込んだスープのみ。

 ずっとわたしの料理を食べてたリーナとソファラはそれが耐えれないみたいで半分以上残していた。

 後で知ったことだけど、わたし達が泊まった宿屋は食事のサービスがあるけどほとんどの人が素泊まりのみで食事は取らずに出て行くみたい。

 駄々をこねるリーナのために今晩からは美味しい食事の出る宿屋を探さなきゃ。我儘をいえば、台所を貸してくれる宿屋があればいいのだけどね。


 お金はパパのおかげでまだ少しゆとりがあるけど毛皮を売るためにわたし達は冒険者ギルドに向かうことにした。

 最初は商人ギルドにしようと思ったのだけど、売り買いに関しては街ごとに違いがあるらしくて慣れてないなら初めは冒険者ギルドに行って説明を聞いた方が良いと宿屋の女将さんから教えてもらった。

 あれだけリーナが料理にケチを付けたのに助言まで頂けるなんて本当に親切だと思うわ。


 そんな親切な女将の助言を受けて、冒険者ギルドに向かいながらわたしとソファラは今後の生活について話をしてた。

 ちなみにリーナはお腹が空いて我慢が出来なかったみたいで歩きながらわたしが出したキョーカを食べて静かにしてる。


「アレフは毛皮を売ったらそのまま冒険者ギルドに登録なさるのですか?」

「う〜ん。一応そのつもりだけど、冒険者がどのような活動をして生活してるか分からないから説明を受けてかな」

「あら、それでしたらやはりブライドの街に戻りません?そうすればわたくしの家も全面的に協力出来ますわよ」

「そこまで迷惑はかけれないから何とかしてこの街でエルフの森の情報を見つけるわ。もしかしたらブライドの街よりこっちのほうが近いかもしれないしね」

「そうですか。それでしたら仕方ありませんわね。わたくしもお手伝いいたしますわ」

「いや、さすがにソファラは家に帰らなきゃ拙いのでは?」

「そんなことはありませんわ!それともアルフはリーナと2人きりの方がいいのですか?やっぱり胸なのですか!」

「い、いや、それはな「ソファラお嬢様!!!」」


 呼びかける大声に振り返るとそこにはくすんだ赤色の髪の双子の姿があった。

 わたしが誰と問いかける前に反応したのはソファラだった。


「エイミとライカ?」

「はい!ソファラお嬢様ようやく見つけました!」

「ん。お嬢様おひさ」


 ソファラに呼ばれた2人は姿こそ双子に見えるけど雰囲気がまったく違っていた。

 ソファラを発見した喜びに感激している茶色の瞳から涙を流しているエイミさんに対して、ライカさんはマイペースにのほほんと目を細めている。


「ソファラお嬢様、旦那様が心配しております。今すぐブライドに帰りましょう!」

「エイミ、わたくしめはまだ帰りませんわ!」

「何故ですか!もしや!おい、そこの男!お前がお嬢様を脅しているのか?」

「えっ⁉︎ちょっと」

「エイミ!アルフはわたくしめの恩人ですわ!下手なことを言うならわたくしめが許しませんことよ!」


 ソファラが窘めてくれたのでエイミさんは素直に謝罪してくれたけど。

 やっぱりわたしは男扱いなのね。

 その後も通りで言い争いをしそうなので、近くのお店に入って話し合いをすることになった。


 そしてテーブルで対峙しながらブライドの街に帰る帰らないの平行線に段々と声が大きくなるソファラとエイミさんに集まる視線。

 ライカさんはそれを微笑むようにみてるし、わたしは他人の振りでもしておこうかしら。


 そういえばケイ?

(現実逃避はダメだと思うけどどうしたの?モテモテのメグミ)

 羨ましいならいつでも代わるわよケイ!

(ごめん。勘弁して)

 まぁ、いいわ。毛皮等が売れたら武器や防具を購入しようと思うのだけど、優先度どうしようかしら?

(優先度?)

 以前にケイの武器について話したでしょ。防具よりも先にケイの武器のほうがいいかしら?

(う〜ん。まずはメグミ優先でいいよ。それにまずは失くした短剣を替えか防具かな?もしくは、これからも投剣するなら安い短剣を数揃えるべきかもね)

 わたしとしては投剣よりケイのあれかなって思うけどまずは武器の相b


「ちょっと!アルフ!聞きてますの!」

「あっ、うん。なに?」

「アルフはわたくしめがブライドの街に帰っても気にしませんの?」

「いや、それは…」

 まったく聞いてなかったけどソファラはわたしにも反対して欲しいみたいだけど、正直リーナとソファラを2人守ることって無理だと思うから帰って欲しい。

 でも素直に言ったらきっとソファラは怒るよね…


「アルフはわたくしめのことが邪魔なのですか?」

「…そんなことはないけど」

「ソファラお嬢様!やはり私どもとブライドに1度帰りましょう!」

「エイミは黙ってなさい!」

「…はい」

「それでアルフの気持ちはどうなのですか?」

「それは…」


 言い淀むわたしを見てイライラするソファラ。

 それを見ながらそれまで黙っていたライカさんが立ち上がってソファラに近づくと耳元で何かを話始めた。

 見てるとソファラは顔を真っ赤にして、それから何かに気付いたのかライカさんの言葉に真剣に耳を傾けている。

 話が終わったのかライカさんはまた席に戻っていった。


「アルフ。わたくしめ、アルフには悪いと思いますが1度ブライドの街に帰ろうと思いますわ」

「えっ?そうなの?」

「ソファラお嬢様!本当ですか!」

「えぇ、エイミ」

 ライカさん、どうやって説得したの?

 ライカさんを見ても変わらず微笑んでいるだけだし…


「それでアルフ。一つだけ約束して欲しいことがございますわ」

「えっと、なに?」

「リーナを送り届けたら必ずブライドの街に戻ってきたら、わたくしめに会いに来てくださいませ」

「それは…いつになるか分からないよ」

「もちろん、いつでも構いませんわ。ライカ、あれを出して」

「ん。お嬢様」


 ソファラの言葉にライカさんはカバンから一本の短剣をわたしに差し出してきた。


「これは?」

「わたくしめをここまで護衛して下さったお礼ですわ。わたくしめのために短剣を一本ダメにしましたし代わりに、わたくしめだと思って使ってくださいませ」

「ありがとう」

 何やら重い一言は聞かなかったことにするわ。


 ライカさんから受け取った短剣はしっかりと手入れされていたみたい。

 手入れの苦手なわたしの短剣とは違って鞘から抜いただけで刃が光を反射して凄く切れ味良さそう。

 後、柄の部分と鞘には鷹みたいな鳥が羽ばたいているような模様が付けられているわ。

 これって恐らく凄い高そう。


 ソファラの気持ちが変わらないうちに出発したいのかエイミさんが馬車の手配をするために商人ギルドに行こうとしていたのでわたし達が乗ってきた馬車を譲ることにした。

 聞いたら商人の行き来の多いサナリの街でソファラの情報を仕入れようと考えていたみたいで、ブライドの街の冒険者ギルドの護衛依頼を利用してこの街に2人は来たみたい。

 またもっと長期間かかると思っていたみたいで宿屋も10日分先払いしていたみたいなので、馬車の代金の代わりに頂いたわ。

 ライカさんが食事にはうるさいみたいなのでリーナも満足してくれたらいいのだけどね。


 リーナが眠気が限界みたいなのでエイミさん達が泊まっていた宿屋にリーナを寝かせてソファラを見送ったわ。

 その際に、ソファラからは舌を絡めるぐらいの濃厚なキスを貰って耳元で「絶対に逃がしません」って言ってたけど…わたしは実は女ですって言ったらどうするのかしら。

 騙したとか叫びながら刺されそうなのでブライドの街に戻ったら考えよう。



 さて、どうしようかしら。

 冒険者ギルドはどれだけ時間がかかるかわからないし、リーナが起きる時には宿屋に戻って居たいわ。


「それでアティウス。この状況の説明をして貰える?」

「気持ちは分かるが、わしに免じて怒りは抑えてくれんかの?」


 わたしは久しぶりにアティウスの空間に来ていた。

 もしかしたらアティウスがエルフの森について知っているかもしれないと期待をしてたわ。

 ただ、そこてアティウスはわたしに紹介したい者が居ると言ってアティウスの横に現れたのは…あの屋敷に出てきたウロだった。

 アティウスはあの屋敷のことを知らないかも知れないけど、わたしは忘れることは出来ないわ。

 ウロが居なかってらエリナが死ぬこともなかったはずだわ。

 わたしはソファラから貰った短剣を構えウロを睨みながらアティウスの言葉を待った。


「わしはルコトルに頼まれただけじゃ。此奴、ハウロの処分をお主に委ねたとな」

「ハウロ?ウロじゃないの?」

「それについては僕から直接説明します」

 いきなり喋りだすウロに驚いたけどウロは気にした様子もなく、わたしに懺悔を始めた。


「僕は元々はルコトル様の名も無い眷族でした。何年もしかしたら何十、何百の長い年月の間眷族として過ごす中で僕はある盲目のエルフの女性からハウロの名前を頂きました。

 その時、初めて僕は僕自身を認識しました。彼女に会うまでの僕はルコトル様の眷族として与えられた仕事をただ黙々と行う機械のようでそこに何も疑問も抱いてなかった。もしかしたら、それはそれで幸せだったのかもしれない。

 でも僕は彼女と会って初めて世界を意識することができ、そして彼女の側で彼女のために役に立てたことを僕は今でも誇りに思ってます。

 そんな僕は彼女が魔獣に殺されたことで世界を恨んでしまった。

 そのため、僕は全てを忘れるように世界を放浪してたみたいです。

 気が付いたのは、君の前でエリナと呼ばれたエルフが倒れるのを見た時に彼女と姿を重ねて僕は逃げるようにあの場所から逃げてしまいました。

 僕が自暴自棄になってなかったらこんな結果にはならなかったと思います。

 僕はルコトル様に僕を消してくれるように頼みました。しかし、ルコトル様はその役目は君に委ねました。

 僕は断罪を望みます。

 君が望むなら僕に消えるようアティウス様に言ってください。そうすればアティウス様が僕の存在を消してくれます」


 ドミニクからウロと呼ばれていた経過は覚えてないみたいだけど、きっとドミニクが聞き間違いをしてウロ自身もどうでもいいと思っていたみたい。

 そして、意識が戻ったからもう同じことを起こしたくないから死にたいって身勝手だと思うわ。


「ウロ、いえ、ハウロと呼ばしてもらうわ。

 あなたがしたことは許されることではないと思うわ。けれど死んで許されるものでもないでしょ。

 最低でもわたしはハウロが死んで楽になるなんて許せない!

 あなたがエリナを殺したのだからあなたには彼女の妹のリーナを守る責任があるわ。

 死にたいならわたしやリーナが寿命で死んでから勝手に死になさい!」


「でも、僕はもうルコトル様の眷族でもないです。ルコトル様の庇護がなければ、僕を信仰して魔力を捧げてくれる者が居ないと何も出来ません…」

 そう言いながら、下を向くハウロ。

 鷲の顔で俯いても可愛くなんかないわ…


「それなら、わたしがハウロを信仰するわ。それで文句ないでしょ!

 その代わり、エルフの森に着くまでリーナの側を片時も離れずリーナを守りなさい!

 それとアティウス!」

「なんじゃ?わしは関係ないじゃろ」

 驚いて目を見開いているハウロはほって置いて、わたしはアティウスに確認しておかなきゃ。


「さっき、ルコトルに頼まれたって言ってたよね?」

「うむ」

「なら、ルコトルと連絡が取れることよね?

 子供の失敗は親の責任だわ。眷族のハウロが罪を犯したのだからルコトルも責任を取るべきよね。話を付けて欲しいのだけど頼めるかしら?」

「な、何を頼む気じゃ?」


 その後、アティウスにルコトルへの頼み事を言って放心しているハウロを放置してリーナの元に帰ることにしたわ。

読んで頂きありがとうございますm(_ _)m

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