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忘れられた神々の寵愛  作者: 小鳥遊つかさ
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プロローグ

始めての投稿です。

執筆経験もなく、趣味で書いているので温かい目で見て下さい。


読んで頂き、少しでも興味を持って頂けたら幸いです。


誤字・脱字の指摘から感想まで頂けたら嬉しい限りです。

「……ごほっ」

  ベットの上で彼女は何度か分からない血の混じった咳をした。

  年は15.6歳だろうか、腰まで届くような黒髪と触ると折れそうな線の細い体の彼女が今は日焼けをしたことのないような白い顔色を何度も血を吐いたためか更に青白くしている。


  先天症の病に蝕まれた彼女には一人で過ごすには少し広すぎる白い部屋に個人が使うには充分すぎる調理器具の揃ったキッチン、そして開くことの出来ない窓ガラスから見える四角い世界が物心付いた時から今の彼女の変化のしない世界であった。


  彼女の家庭はかなり裕福であったのであろう。彼女の母親は彼女が望む物を与え、数日に一度は必ず彼女の顔を見にこの部屋に訪れている。尤も彼女の記憶の中に父親らしき男性が来たことはなかったが・・・


  部屋に設置された立派なキッチンも彼女が望んで母親が彼女に与えたものであった。

  5年前、彼女は料理に興味を覚えキッチンをせがみ、始めて作った拙い料理を母親が「美味しい」っと言ってくれたのを皮切りに和・洋・中とレシピを調べた端から料理を作り母親に振舞った。


  そこにはただ何も親孝行も出来ない自分に対して母親から美味しいと笑顔を向けてくれることが彼女が料理に没頭する理由であり全てであった。

  しかし、数年前から病が進行し咳に血が混じるようになってからは料理をすることは出来ず、ベットの上で気になったことを書物で調べ、世界を想像することが彼女の唯一出来ることであった。


  そんな世界への願望からか彼女は半年ほど前から夢を多く見るようになった。

…一面の草原を走る夢

…鳥になり大空を羽ばたく夢

…悪事を働き、人々から逃げる夢

 善悪の違いはあったが彼女の見る夢は彼女が望む躍動感の溢れる内容ばかりであった。


  夢から覚めた後は、現実の自分との差からか何とも言えない虚無感に襲われたが、それでも彼女はそんな夢を見たい願望に抗えず寝る前に神に祈りを捧げる癖がついた。


  いつもと変わらず夢の前の祈りを捧げる所で血の混じった咳が彼女の祈りを妨げた。

 

「……ごほっ……ごほごほ」

 収まりそうもない咳に血の量が増え、呼吸もままならなくなった所で彼女は自分の死期を悟った。

  薄れゆく意識の中で彼女は声を聞いた。


…きみはつぎのセカイで何を望む?……


「…わたしは…わた…ゴホッ、しは…鍛えれる身体が欲しかった……」


……そっか。次はきみの名前のように我々からの幸があるよ……


  その声を彼女は最後まで聞けたかわからない。

  ただその声の意図を彼女…神白 恵は知ることはなく意識を手放した……

 

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