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だから僕は男なんですってば!!  作者: あわき尊継
第三章

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断章 -05

   かつて青年だった男の場合


 あるいはもっと昔から、その存在は確認されていたのかもしれない。

 けれども多くの場合、それらは興味の枠から出ることはなく、まともな対策が取られたことはないばかりか、利用することに執着する者が多かったらしい。

 

 やがて人類が生み出してきた機器では観測不可能な筈のそれらが、ある時を境に数々のデータを出力し始めた時、私たちは戦慄した。


 彼ら(暫定的にそう呼ぼう)を観測出来たことに人類側の技術は無関係だった。

 合わせてきたのだ、こちらの認識に。

 それは彼らがずっと昔から私たちを正確に認識していたことを示し、自らの変質さえ可能な技術を所持する存在であることを、情報を知ることの出来たあらゆる者達に叩きつけた。


 彼らが人間よりも上位の存在であることを疑う者は居なかった。

 しかし、この星の地表を覆い、天空から睥睨することさえ身に付けた人類は、上位の存在であるからというだけで素直に頭を下げる程可愛げのある生物ではなかった。少なくとも、情報を知り得た当時の人間の中に、手を振って駆け寄ろうなどと言う者はほぼ居なかった。


 対策は練られた。


 ただ一度だけ、この情報を公開し、広く迎え入れようと訴える学者が居たが、いつしか研究所に姿を現さなくなった。どうにも、警戒する以上の思惑を持つ者が増えてきたらしい。

 名前は確か、藤崎といったか。

 優秀な人物で、半年ほど前にお互い夫婦揃って食事をしたのを思い出した。既に身重だったと聞かされたのは随分と後になってからだったが。


 出資者という立場で現場に顔を出す私に出来ることは少ない。

 同じ出資者同士で牽制し合い、好きに動かせないよう注意することくらいか。


 父の説得は失敗続けだ。

 認識の甘さを何度訴えても、一向に首を振ろうとしない。

 私は権力におぼれてなどいない。正しく事態を認識し、然るべき対策を、盤石の形で打ちたいと願っているだけだ。結果が父の言うようなことであったのなら、存分に利益を吸い出せばいい。

 我々は組織人だ。その長たる者だ。

 可能かどうかは別として、個々で繋がり合うというなら止めはしない。

 だが、大きなものを動かす人間が同じようにすれば、損失を最も被るのは弱い個人であって、組織は彼らの犠牲の元に再生する。

 ならば、人類が当たり前に繰り返してきた手段を彼ら相手に使うのは当然のことと言えた。


 正しく動くことの出来ない人間が頂点に居ては、いつまで経っても事は成らない。

 いずれ来る時の為、今は静かに構造を塗り替えていく。


 私が決意を新たにしていた時だ。


「御門様っ、こちらにおられましたかっ!」


 慌てた様子で秘書の一人が駆け込んでくる。

 元々はこの研究施設で事務をしていた男だ。優秀さを見初めて引き抜いた者で、ここでも方方に顔が効く。


「どうかしたのか」

「それがっ」


 荒い呼吸を何とか整えているのを待つ間、幾つもの可能性が頭の中に浮かんでは消えていく。

 そして、彼が告げた言葉によって、私は今日がその日であったことを思い出した。


「病院から連絡がありました……ただ、移動中事故に巻き込まれたとのことで、その」


 予定日だった筈だ。

 自分の妻も、藤崎という学者の妻と同じ時期に妊娠していた。


「奥様の命は取り留めました。ですが――子どもは流産したそうです」



 

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