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亜美が選んだのは、意外な人だった。
そして、できれば選んで欲しくない相手だった。
――真城遼一だった。
選択肢を見る限り、亜美は海斗君の告白にあまり興味はなく、真城遼一のデートのお誘いにも興味はなかった。
生徒会長のお誘いには興味があるみたいだったので、生徒会長ルートを選ぶのかなぁと思っていたのに。
まさかの真城遼一。
生徒会長のことをかっこいいとかも言ってたのに。
まあ、クラス内にも他にかっこいい人いるよって言った時、真城遼一を選んでたけど。
あくまでも、二番目じゃなかったの?
主人公の対象キャラのはずが、何故か私を巻き込む真城遼一を選ばないで欲しかったなぁ。
……あ、そういえば、これは恋愛ゲームの世界だったんだよね。
つまり、ゲームをしている人がいる訳で、その人の意向が反映されるわけだ。
だから、最初は生徒会長ルートをしようと思ったけど、気が変わったこともあり得る。
気が変わらないで欲しかったけど。
まぁ、これ以上巻き込まれないように、頑張りましょう。
真城遼一と約束していた遊ぶ日に当然のように、私は亜美に連れて行かれた。
「お願い!一緒に付いてきて!」なんて必死に頼まれると、断れなかった。
待ち合わせの場所に行くと、もう真城遼一は待っていた。
「おはよー! 亜美ちゃん!葵ちゃんも来たね!」
私達の姿を見ると、真城遼一は人懐っこい笑顔で手を振った。
「おはよう!真城君」
「おはよう」
笑顔で返事した亜美とは対象的に、私の返事は素っ気ないものだったが、真城遼一は何も言わなかった。
「今日も、いや今日は一段と可愛いね」
真城遼一は亜美と私を見た。
亜美は白いシャツに淡いピンクのカーディガンを羽織り、赤いチェックのショートスカートを穿いていた。
その下は黒いニーハイソックスに黒いパンプスの靴というオシャレな格好だった。
私は本当だったら、ラフな格好が良かったんだけど。
私だけラフだと浮くだろうから、水色のワンピースに淡い灰色の上着を羽織っていた。
それでもまだオシャレよりも動きやすさを重視したこの格好は、亜美のオシャレさを目立たさせることに成功したようだ。
私は目立たなくていい。
カラオケもある程度時間が経てば、家の用事とか言って帰るつもりだ。
「そんなことないよー。葵ちゃんの私服姿を初めて見たけど、可愛いね!」
亜美は自分のことは謙遜しておきながら、私のことを誉めてきた。
「そんなことないよ。亜美の方がオシャレで可愛いよ。私にはショートスカートは無理だし」
「えー、葵ちゃんに似合うと思うよー? ねぇ、真城君?」
亜美は反論するどころか真城遼一に同意を求めた。
ちょっと、亜美!
何やってんの!?
「そうだねー。似合うんじゃないかな?亜美ちゃんに似合ってるようにね」
「え? 私? この方が足が長く見えるからっていう理由なだけだよ? でもありがとう」
流石、真城遼一。
さり気なく亜美を誉めている。
もうそんな感じで頑張って。
私に関わってこないで。そうして、カラオケ店に向かった。
6時までできるフリータイムを選び、マイクとドリンクバーから一つドリンクを持って、部屋に入った。
とりあえず、ここまで投稿します。
短くてすいません。




