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結局、元通りですか?

 階段を駆け上がっていった真城遼一を私は安堵した気持ちで見送った。

 今頃、真城遼一は海斗君の告白を邪魔しているだろうか。

 これで、真城遼一が私から亜美に気持ちが戻るなら、良いな。

 亜美は真城遼一の方が好きみたいだし。

 海斗君と取り合いになったとしても、選ぶのは亜美だしね。

 私は相談には乗るよ。

 まあ、さりげなく真城遼一を薦めてあげようかな。

 海斗君には悪いけども、亜美に振られたら、真城遼一の矛先は私に向きそうだから、困るし。

 海斗君、ごめんなさい。

 もし、亜美に振られたら慰めてあげるし、新しい恋を見つける手伝いしてあげるから許して。

 というか、海斗君のことを告白するくらい好きな女の子は他にいるのだから、すぐに見つかりそうだ。

 ただし、今は修羅場に飛び込む気はないので、私はゆっくりと教室まで戻って、用意していた忘れ物の水筒を取りに行って、時間をつぶした。


 おそるおそる屋上に戻ると、意外にも三人は和やかに会話をしていた。

「あ、おかえりー、葵ちゃん」

 亜美は笑顔で私を出迎えてくれた。

 あれ、告白の後の気まずさが感じられない。

「おかえりー、葵ちゃん」

「おかえり、葵ちゃん」

 真城遼一も笑顔だったが、海斗君だけは少し不満そうに真城遼一を睨んでいた。

 もしかして、告白は真城遼一のせいで失敗に終わったのかしら。

 私が海斗君に目配せすると、それに気づいた彼は不満そうにまた真城遼一を見た。

 どうやら予想は間違ってないらしい。

 後で、海斗君に謝っておこう。

「ただいま、お待たせしました。お弁当食べようか。屋上だから気持ち良いよ」

 私は何事もなかったように返事して、お弁当を広げた。

「うん、葵ちゃんの言う通り、たまには屋上で食べるのも良いねー」

 それに無邪気に応じたのは亜美だけだった。

 後の二人も表面上は何事もなかったように、お弁当を食べようとしていたが、亜美のことが気になって仕方ないようだった。

 その後も海斗君は何かと亜美に話しかけるが、真城遼一に邪魔される。

 その逆もしかり。

 亜美は楽しそうに会話しているが、私には海斗君と真城遼一の間に飛び散る火花が見えた。

 何も知らないのは幸せね。

 私は三人の様子を見て、のんびりとお弁当を食べながら、そう思った。


 しかし、のんびりとできたのはその日までだった。

 次の日には、また真城遼一は私に迫ってきたのだった。

 それどころか、更に口説く勢いが増したのだ。

「……あんたは、亜美のことが好きなんじゃないの?」

 思わず再度同じ質問をした私に、真城遼一は曖昧に笑って答えなかったので、別の質問をした。

「海斗君の亜美への告白を、邪魔したんでしょ」

「だって、告白されるのは困るから」

「じゃあ、私じゃなくて、亜美を口説きなさい」

「やだ」

「お前は子供か!」

 ただをこねる子供のような真城遼一の言葉に、思わず言ったら、何故かうんざりした様子でため息つかれた。

「だから、色々面倒くさいんだって」

 いや、面倒くさいのは私の方だから。

 というか、教室に亜美や海斗君がいないとはいえ、少ないながらもまだ生徒が残ってるのに、いつもの猫被らないのね。

 亜美や海斗君にさえばれなきゃ良いって感じになってきた。

 猫被るのも面倒になってきたのかしら。

 というか、真城遼一って、猫被るキャラだったっけ?

 女好きで、明るくて、小悪魔キャラではあるけど、腹黒くもなく、こんな腹では何考えてるか分かんない奴ではなかったはずだ。

 じゃあ、どうして?

「何、俺の顔をじっと見て、どうかした?」

「別に」

 真城遼一に問いかけられて、ハッと我に返った私は、慌てて首を横に振った。

「そう。とにかく、女って面倒なんだよ。少し顔が良いだけで、キャーキャー叫ぶし、放っておいてくれないし」

 あれ?

 いつの間に、私は真城遼一の愚痴を聞くことになったのだろう。

 というか、女好きのはずが、まるで女嫌いのような真城遼一の発言はどういうことだ。

「そのくせ、少し失敗しただけで、格好悪いとか言いやがるし。文句言うなら最初から放っておけっての」

「えーと、真城君?」

「何?」

 私が問いかけると、真城遼一は不機嫌そうに、こっちを見た。

「いきなり何?」

「ちょっとぐらい、愚痴を聞いて」

 真城遼一は不遜な態度を崩さない。

「あんたは女好きじゃないんかい。よく女の子口説いてるじゃん」

 私が思わず口悪く、そう言うと、急に笑いだした。

「ちょっと何?」

「あー、悪い。あんたの言い方が面白くてさ。やっぱ、いいわ。あんた。いや、葵ちゃん」

 不遜な態度から、急に真城遼一は笑顔になった。

 突然の変化に戸惑うしかない。

「葵ちゃんのこと、諦めないから。覚悟してろよ? アイツより絶対先に手にいれる」

 真城遼一は不遜な笑みに戻り、宣言した。

 最後はボソッとつぶやくように言ったが、私には聞こえた。

 アイツって誰ですか。

 というか、諦めてください。

 だあー、もう、やっぱり、コイツ面倒くさい!

明けましておめでとうございます。

更新早くすると活動報告にはありましたが、結局のんびり亀更新な私で、すいません。

今年も気長に待っていただけると幸いです。

よろしくお願いします。


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