幽体離脱のようなイメージをしてください
「おはよう!」
皆笑顔で挨拶を交わし合って少ない朝食を有難く頂いた。
今日はリアの両親が亡くなった日。リアは少しの間施設を上の子どもたちに任せることにした。そして少し歩いたところ、20分くらい歩いただろうか。
「お父様お母様、どうか私たちとこの村をお守りください……」
花束とお水、お線香を添えて両手を合わせて拝んだ。
「リア……楽しそうね……」
と、母の声が頭の中に聞こえて来た。
「はい、お母様……私はとても人生が充実しております。しかしお母様たちに会いたいです……」
リアはそれだけが毎日の望みだった。
「貴女には沢山の子どもたちがいるじゃない。わがまま言わないで」
と、お母様は優しくおっしゃった。
お母様は死んだ筈。なぜ声が聞こえるの?
しかし、10歳の少女リアはまだまだ母親に甘えたい年頃。
「お母様、こちらにいらっしゃるのですか? お母様!」
お墓の前に穴が空いており、リアはそこの中に飛び込もうとしていた。お母様たちに会いたくて。
施設から迎えにきた子どもたちがリアを止めに入った。
「な、なにするのー! 離して離して! お母様のとこに行くの!!」
「リア、しっかりして! その穴に入ったらどこにいくか分からないのよ!?」
私はここで本当のことを言ってしまった。
「私は本当はここの人間じゃないの。この人たちは本当の両親ではないの! だから大切なの!!」
……え?
皆驚いていた。
リアは自分がどんな話をしたか良く理解出来ていない。
「な、なにを言ったの? リア……」
「私なんか言った……?」
そう。ずっと黙っていたが、リアはここの人間ではないのだ。
実は日本という所から来ている。戦争がどのようなものかも知ってる。
10歳ではなく、日本国では25歳の大人の女性だったのだ。
リアは我に返り子どもたちを連れて施設に帰った。
施設に帰ったら皆を集め、リアは事実を話し始めた。
リアは日本国と言う場所から来たこと
'リア'と言う名前は本当の名ではないこと
本当の両親は日本国にいること
リアは25歳の女性ということ
それぞれを説明すると一人が「どうやってここに来たんだよ!」と問いかけた。
「それは私にもわからないの。帰り方もなにもわからないの」
リアこと赤山有花はその日交通事故に遭っていた。
22歳で大学を卒業するまであと少しというとき。スピード違反の車に引かれたのだ。すぐに救急車で病院に運ばれたが、何年も意識が戻らず。
しかし有花は違う所で生きている。
「早く帰りたいけど、皆とも離れたくない……なにより帰り方がわからないからどうにもならない」
リアが泣きながら言うが皆は慰めの一言も言ってくれない。
「俺たちにずっと嘘ついてたんだ……」
皆はそのことにショックを受けていた。
「ごめん…ごめんね……」