プロローグ
豊かな緑の大地が広がる異世界には、ルーシア村がある。とても貧しく、幼い少女でも働かなければ食べていけない村だが、良く働く村と言われ親しまれている村でもある。
しかし流石にあまり知識の無い幼い少女たちが働くのは困難で、苦労を積み重ねて来たようだ。
そんな村の少女が経営している児童養護施設には、5歳から18歳まで幅広く住んでいる。児童養護施設はこの時代には珍しく入所する年齢は特に決まっていない。経営者の少女は10歳。この世界には学校や勉強と言ったものは無い。なので現代のように小学校とか中学校とかで示すのでは無く年齢にしているのである。流石に幼過ぎる経営者に「知識の無い状態では理解することが難しかっただろう」と、村の人々が口々に語っていた。
ルーシア村にはコンビニやスーパー、マクロナルノ、ケンパッギーなど沢山のお店がある。しかしそれは1店舗ずつしか無い。なので働けるのは早い者勝ちであり、数人だけなのだ。ルーシア村は、働く村と言われ続けていても、働く場所が限られている。児童養護施設の経営者の名前はリア・アルベンターと言う。両親や祖父母、親戚も皆亡くなり孤独な生活を送っていた。初めの生活は両親などの遺産でなんとか凌いではいたものの、それだけでは生きていけなくなった。
リアも何か始めなければと思い行動に移したわけである。リアは最後の残りわずかのお金で家を改築し、大きく広げた。そして『アルル児童養護施設』と名付けて、両親が居なく孤独な子どもをこちらに呼んだ。最初は子どもだけだった。
2111年にはアルル児童養護施設の住人が100人にも及んだ。ルーシア村には300人程しか住んで居ない小さな村。
このままでは、いつか村人全員が孤児院に来てしまう。
リアは初めて児童養護施設に法律を考えた。
【大人は働く】と言う法律。