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嵐は突然に  作者: 咎鬼 悠斗
それから10年後
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それから10年後

僕は、あの事故の後施設に入た。


なんとか高校にも通える事になり高校卒業には、施設を出れるように

バイトを何個も入れてお金をためている。


なんとか、今は高校に通いながら色々頑張っている。




今日の天気予報は晴れ。



傘は要らない、そう思って学校に行ったは良いものの天気予報は大きく外れてしまった。


僕は、学校が終わり玄関にいた。

その日は、掃除当番、図書委員、書庫清掃が重なり、もう誰も残っていない。


「・・・傘忘れたわ・・。」


そんな事を云っても、突然の雨で貸し出し用の傘は、全部借りられ残ってはいなかった。


止むのを待っても雨は、どんどん激しくなる一方で、あの事故の時を思い出し胸が痛んだ。



「雨は嫌いだ・・・。」


僕は心の中でその言葉をつぶやき、大雨だというのにもゆっくりと歩きながら帰った。



道には、暗い事もあってか誰もすれ違わない。


気分はどんどん沈むばかりだった。


施設から学校までは、徒歩で25分くらいの所にある。


バスがあるからそれでいけば早いのだろうが、今はその分だって節約し施設を出るときの資金に回したい。


気持が沈みながら歩いていると、何処かで猫の鳴き声が聞こえた。


僕は、近くに猫がいるのかと思い顔をあげてみたが、何処にもいなかった。


でも、確かに聞こえた。


何故だか分からないが、僕は濡れて重くなった制服を脱いで寒いのも忘れてその声の猫を探した。


突き当りの右の角に来ると、猫の声が大きくなったため、その角を曲がった。


すると、そこには段ボールに入った一匹の子猫がずぶ濡れになりながらも必死に鳴き続けていた。


僕は、その段ボールの前に行き猫を抱きあげた。


「お前も、一人なのか。」


僕は、何故だか急に、瞳から流れてくるものを感じた。

それが雨だったのかはよく覚えていない。


この猫が、一匹で必誰もいないこの暗い路地で、必死に鳴き続けているんだと思ったら、胸が苦しくなった。



「君、こんなところで、何してるの。」


突然背後から、声がしたのに僕は驚いた。

そのため抱き上げていた猫を、放してしまった。


声をかけてきた人は、落とした子猫を拾い上げて言った。


「こんなに、濡れた上に、落とされちゃってかわいそうだな。でも君は、もっと辛そうだ。」


突然声をかけてきた、その人は凄く奇麗な人で、天使のように見えた。


でも、それ以上に驚いたのは、その天使のような人は、僕を守ってくれた兄と声がそっくりで、何処となく雰囲気も似ていたために僕は、今まで我慢していたものが、一気にあふれてきた。


「そんなに泣かれたら、俺はどうすればいいのかな。」


そう言って、僕の頭をなでた手は、まるで死んでしまった兄が戻ってきたかのようで嬉しいのと苦しいのが混ざって、どうしようもなかった。


その後僕は、とりあえず子猫と一緒にその人の家に上がり、色々と面倒を見てもらった。



そしてこれは、僕の初恋となってしまったのだ。


しかも、なんとあの奇麗な顔で男だというのだから驚いた。


男を好きになって、気持ちを伝えられないまま苦悩するのは、また別の話。


だが一つだけ言うと、やっぱり雨はすきにはなれない。


でも、前よりは嫌いじゃなくなった。


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