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異世界行商譚  作者: あさ
神座す頂
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新たな指針

 夕食後、買い取ったばかりの紙にメモを書き散らかしていた優斗は、扉の開く音に顔を上げる。


 現在、フレイとユーリスは食事の片付けをしており、ライガットは色々な意味で動く事が出来ない。

 必然的に、優斗の部屋をノックなしで訪れたのは、夕食の直前に戻って来たシャーリーだ。


「薬作りが終わったんですか?」

「飽きてきた」

 彼女が薬草探しから戻って来た時も、同じ様な事を言っている姿を見ていた優斗は、苦笑するしかなかった。


 優斗の前に立っているシャーリーと呼ばれる元・神の使いは、基本的に、長時間1つの事に集中する事を苦としない。ただし、好きでもない、むしろ嫌いと言える人の為の行動でそれが発揮される事は無く、今は何時もより集中力が途切れやすい状態だ。


「一か月分、一気に作る必要はないんじゃないですか?」

「そうだねー」

 優斗に断りを入れる事なく部屋へ入ったシャーリーは、フレイに割り当てられたベッドに飛び込み、身を沈める。


 三室しかない個室のうち、一室をゲストであるシャーリーに譲った時点で、当然の様に優斗とフレイが相部屋になる事が決まっていた。2人が主従の関係であると言う事以上に、確認すらとらずユーリスがライガットと同じ部屋に移っていたからだ。


「これは?」

「シャーリーに聞いた事のメモですよ」

「何書いてあるか全然わかんない」

 シャーリーが理解出来ないのも無理はない。


 何故ならば、優斗は日本語でメモを書いている。

 日本語で書くのは、書きなれていると言う理由と、誰にも見られたくないので、暗号代わりに使っていると言う理由だ。


「ふーん。そう言えば、連れの子には言ってないの?」

「言うべきか、悩んではいるんですけどね」

「どう、言うべきか?」

 強調された、どう、と言う言葉に込められた意味は、方法をさすものではない。


 どう、いった言葉、ないし方法で誤魔化すべきか。

 この先、同郷の人間を探すに当たって、自分の境遇をある程度話す必要がある、と優斗は考えている。しかし、率直に、ありのままを伝える気は無いが、なるべく嘘も吐きたくない、と考え、悩んでいた。


「それを悩むにあたって、シャーリーに聞きたい、と言うかお願いしたい事があるんですけど」

「予想はつくけど、何?」

「仲間探し、手伝ってくれませんか?」

 優斗と同じ境遇の人間が、優斗と同じ様に同郷の人間を探しているとは限らない。逆に、関わり合いになりたくないと考える可能性すらある。


 優斗はそう言う相手に無理に関わる気は無いが、そのせいで確認が出来ず、無為に探し続けると言う事態は避けたい。ならば、相手の意思に関係なく確認が出来る能力は喉から手が出るほど欲しい。


 真剣に見つめる優斗の視線を気にする事なく、シャーリーはベッドでごろごろとしながら、寛いだ声であっさりとした返答する。


「いいよー」

「ホントですか?」

「うん。でも、色々整理するから時間頂戴ね」

「もちろんです」

 予想以上に簡単にいった事に拍子抜けしながら、優斗は再度フレイへの説明について考え始める。


 シャーリーが付いて来ると言う事は、フレイの前でも彼女に色々質問する事になるし、何よりフレイ自身がそれを行う可能性も高いので、色々と打ち合わせる必要が。

 そう考えていた優斗の思考は、続いて吐き出されたシャーリーの言葉によって、遮られる。


「もうそろそろ摘まなきゃいけないのと、植え替えの準備をしてるのもあるし。

 出発は一年後くらいでいいかな?」


 シャーリーの言葉に、いつも通り快適に動いていた優斗の思考が急停止する。

 彼女はまるで、荷物をまとめて着替えるからちょっと待っててね、と言う人と同じ様な声色でそう告げたのだ。


 突然夕食に誘った時に、あとちょっとだけ待って、と言われ続け、最終的に1時間待たされた事のある優斗だが、さすがに一年は長すぎたのだろう、反応を返す事も出来ない。


「どうしたの?」

「あ、いや、その。長すぎません?」

「女は準備に時間のかかる生き物らしいよ?」

 声をかけられ、ようやく声の出た優斗は、それにしても長すぎだ、と心の中でつっこむ。


 そしてふと、ある疑問が思い浮かび、それが正答ならばそう言う事何だろうと自分の考えを半ば確信しながら、それでも確認の為に口を開く。


「シャーリーって、何歳?」

「女性に歳を尋ねるのは無粋らしいよ?」

 竜は無性だと言っていたシャーリーのそんな言葉に、優斗はつい何か言い返したくなったが、これもぐっと我慢する。


 代わりに、別の方法でそれを確認しようと考え、質問の方向を変える。


「歪みに消えた人って、どんな人だったんですか?」

「詳しくは知らない、って言わなかったっけ?」

「消えた事を知ってるって事は、大まかには知ってるんですよね?」

 ふむ、とベッドで大の字になったシャーリーが呟く。


 そしてがばっと起き上がると、優斗のやや上方に焦点の定まらない視線を向ける。


「始祖様と天竜の時に消えたのはどこだったかの王と王子だったかな。英雄王とか呼ばれてたね。

 氷竜の方は、囲んでた騎士団の誰かだったらしいけど、ちゃんと見てた人はいなかったみたい」


 そう告げるシャーリーの瞳は、何も移しておらず、空っぽだ。

 それを見た優斗が、悪い事をしたとばつの悪そうな顔をすると、彼女はにやりと笑い、次いで優斗はやられたと右手で顔を覆う。


「完全に騙されました」

「ふっふ。私の人真似も中々のものでしょ?」

 内心どきどきしながらも、優斗はほぼ予定した展開に持ち込めた事に気付き、質問を重ねる。


「それってどのくらい前なんですか?」

「覚えてないなぁ。

 でも、英雄王の国がもう無いくらいには昔だよ」


 優斗にはその基準で正確な年数を予想する事は出来ず、前振りまでした質問は徒労に終わる。

 それでも、魔女の伝承が絵本になるほど昔の出来事である事や、30年くらいここで生活してくれれば、と言う発言も合わせて目の前の女性が想像以上に長く生きている事は判っているので、気にはなるが、機嫌を損ねては意味がないと、これ以上の追及は止めて置く事に決める。


 竜が長命種であるらしい判断している優斗が予想していた理由。

 それは、時間の感覚が違う、と言う、ありきたりなものだ。


「一週間以内に出発するのは、無理ですか?」

「へ? いきりなり話戻したね」

「すいません。ちょっと脱線してましたね」

「いいけど。

 でも、一週間か。折角種から育ててるし、放っておくと枯れるだろうしなぁ」


 本気で悩み始めるシャーリー。

 そんな姿を見ながら、優斗は別の案を考えていた。


「じゃあ、一年後に迎えに来たら、着いて来てくれますか?」

「あー、そっか。人の寿命って40年くらいなんだったね」

 さすがにそれは短すぎないか、と思った優斗だが、声には出さない。


 優斗が立てたプランはこうだ。

 まず、一年で公国を周り、お金を稼ぐと共にあたりを付ける。そしてシャーリーと合流したら、怪しいとあたりを付けた相手に会って貰う。


 その時点で既に3人共見つかっているのであればそれで良いし、そうでないならば国外にも足を延ばす必要性がある。


 優斗がそこまで考えた時に、またノックもなくドアが開く。部屋に入って来たのは、同じくこの部屋を割り当てられたフレイだ。


「片付けが終わりました、って、シャーリー様?」

「何?」

 声が少し硬質な物に変化し、表情も消えたのだが、ベッドの上にちょこんと座った姿では、迫力は皆無だ。


 美人な女性がベッドに座り、部屋の主である男と見詰め合っている。そしてそこにやって来た女に、無愛想な対応をしている。

 見た事実だけを切り取れば、逢瀬を邪魔された女が、乱入して来た女に冷たい言葉を発している、様に見える。


「お邪魔でしたか?」

「邪魔って言うか、むしろ待ってた」

 事実、優斗はメモを書いていた時点から、これからの話をする為にフレイが戻るのを待っていた。


 しかし、この状況で告げられた言葉に、フレイは少しだけ勘違いを含んだ納得をしてしまう。


「これからの事、ですか?」

「そうそう」

「シャーリーさんもついて来る、と言う事でしょうか?」

「最終的にはその予定」

 さすが、フレイは話が早いと、優斗はその誤解を解く事無く、続きを口にしていく。


「実は、探したい人、と言うか人達が出来た」

「探したい人達、ですか?」

「うん。俺の同郷の人間。遠すぎて、故郷にはもう帰れないんだけど、同じ境遇の人が居るらしい」

 そう言って優斗は、少しだけシャーリーに視線を向ける。


「シャーリーが教えてくれた」

「その縁で仲よくなったんですね」

「そう言う事になる、かな?」

「少し違う」

 シャーリーが口を挟むが、説明をする気は無いのか、それ以上は何も言わず、口を閉ざす。


 再度口を開く気配がない事を確認した優斗は、少し困惑しながらも、話を進める。


「えーっと、とりあえず、それは置いといて、今後の予定だけど」

「……はい」

「ここを出発して、いつも通り行商を続けながら、公国の首都を目指そうと思う」

「ルナール公国首都・ルナール、ですか」

「そうそう。

 そこで、情報収集をしようかと」


 優斗はそこで一拍置き、フレイの反応を伺う。そしてフレイが首肯で続きを促して来たのを確認すると、再び口を開く。


「その後、ユーシアに向かおうと思う。約束もあるし」

「……なるほど」

 何か含むところがあるように見えるフレイの反応。


 それに対し優斗は、後で質問を受け付ける形で対応しようと考え、言葉は止めない。


「手がかりが見つかれば、それに合わせて変わるから」

「はい」

「出発日は……ライガットさん達とも相談して決めるから、また明日かな」

「わかりました」

「何か質問ある?」

 優斗の視線を真正面から受けながら、フレイは考える。


 聞きたい事が幾つか思い浮かぶが、彼女は自分のベッドの上に視線を向け、そこにその女性が居る事と、旅に関係の無い事で口にすべきでないと考えた質問を排除し、残った疑問を口にして行く。


「何人で出発する予定ですか?」

「ライガットさん達次第かな」

「ルナールまで真っ直ぐ向かう予定ですか?」

「キルン経由の予定。後で連絡するって言って出て来たけど、任せっぱなしは悪いし」

 伝えた相手は、もちろんキルンまで一緒だった商隊仲間の2人と、護衛達だ。


 それにどうなったかも気になるし、と言う小さな呟きを聞いたフレイは、少しだけ迷ってから口を開く。


「キルンは迂回すべきだと思います。ユーリス達さんがここに残るのであれば、特に」

「盗賊が出たから?」

「それもありますけど。

 救出、と言うか討伐から逃げ切ったり、街に隠れていたりした盗賊が、逆恨みで襲ってくるかもしれません」


 フレイの意見に、優斗は、うっ、と呻く様な声を上げる。

 彼女の指摘する可能性を考えていなかった優斗は、むしろ追い払われていて安全であるとさえ考えていた。


「ご主人様はその依頼者ですから、恨まれる可能性は高いと思います」

「ごもっとも」

 何度もそれで痛い目にあっているにも関わらず、自分の危機意識の甘さと想像力の乏しさに反省しながら、優斗は別案を考える為に書き込みの増えてきた地図を開く。


 首都はここから南東方向にある。

 ユーシアはそこから北東に進んだ位置にある事を確認し、今までの道程を指でなぞる。


 アロエナから北上し、ユーシアから南東へ。山を登ってから南へ下り、その後はやや北向きに西へ進み、ハイルからはやや南ずれたが、もう少し西進すれば公国北部を横断する形になる。


「一度南へ向かって、この辺りで東に進路を変えるべきだと思います」

「うーん。それだと延々と移動にならない?」

「ルナールへ向かうんですよね?」

「道々、行商と情報集めはしたいな、と」

 広げられた地図には、ユーシアやハイルで記入したある程度以上の都市の位置と名前が入っている。


 優斗はその中のいくつかをピックアップし、特産と持っていくと喜ばれる品を頭に思い浮かべながら、地図をなぞる。


「ここから南西に向かいつつ、海まで出たら河口まで沿岸を行って、川沿いにルナールを目指す、でどう?」

「ルナールへの到着が一か月は遅れる事になりますけど、いいんですか?」

「どうせまだしばらくはユーシア方面には近づけないし、それにルナールに着く前に少し稼いでおきたいから」

 ユーシア方面に近づけない、と言う言葉に、存在を忘れられかけていたシャーリーが、視線で説明を求める。


 それに気づいたフレイの反応に気づき、視線を追った優斗は言いにくそうに、そして少し恥ずかしそうに口を開く。


「いや、実は私の国の技術を売った時に、色々とやってしまったと言うか」

「優斗の、国、はここよりも技術が発展していたのか」

 食事の時と同じく、一対一の時とは違う言葉遣いに、優斗は少し戸惑いながらも首肯する。


 会話を遮られた様な形になったフレイは、ユーリスはさん付で呼んでいるにも関わらずほぼ砕けた口調で、自分には呼び捨てでまだ少し丁寧な言葉遣い、シャーリーも呼び捨てなのに敬語な優斗の言葉選びの判断基準はどうなっているのか、と考えていた。


「そう言えばシャーリー、薬代と治療費はどうすればいいですか?」

「任せる」

「では、後で相場を教えてください」

「わからないから全部任せる。あ、出来ればあの甘い奴を分けて欲しい」

「蜂蜜飴とミルク飴ですか?」

「そう」

「わかりました」

 優斗の返答に満足げな表情のシャーリーが、ベッドから降りて立ち上がる。


 そして何も言わず、部屋から出ていく。


「っと、ごめんフレイ」

「え、いえ」

「それで、公国の西を巡りつつお金を稼いで、ルナールへ向かうって事でいいかな?」

「いいと思います」

「ルナールにしばらく滞在して、その後はユーシアへ

 その時に手がかり無しなら、一年後にここでシャーリーと合流して、助力を得る予定になってる」


 優斗の言葉に、フレイはキョトンとした表情を浮かべる。


 フレイの反応が遅れたのは、シャーリーが一年後に合流と言う言葉の意味がすぐには理解出来なかったからだ。


「キルンには後で手紙を出さないとな。ついでに、クーナ宛の手紙も書こうかな」

「えーっと、シャーリー様は今回、一緒ではないのですか?」

「あー、うん。用事があるみたい」

 フレイが、なるほど、とあっさり納得してくれた事に、その用事について追及されたら何と説明すべきか考えていた優斗は安堵する。


「準備ができ次第出発するんですか?」

「その予定」

「では、ライガットさん達はどうするんですか?」

 似たような質問を再度行ったフレイの言葉に不足した部分を継ぎ足すと、ライガットさん達に貸したお金はどうするんですか、となる。


 キルンの薬師に支払った薬代とベッド代を含む治療費、シャーリーに支払う予定の薬代と治療費。護衛と言う名目で移動費と中継した街とこの集落での宿泊費、食費等を請求しないとしても、かなりの額になる事が予想される。

 特に、一か月分の薬代は、単位が銀貨から金貨に変わる程に高価だ。


「現金以外で支払って貰う予定」

「持ち物ですか?」

「いや、お金にはならない方法。

 商売に支障が出ないくらいの資産は残ってるから、今のところそっちの心配はしなくて大丈夫」


 フレイの表情に少し不安の色を見つけた優斗の言葉は、効果を発揮する事はなく、表情から曇りは取れない。


「その、違うとは思うんですが」

「ん?」

「ユーリスさんに身体で払え、と言う訳ではないですよね?」

 フレイの言葉に、優斗は勢いよく首を横に振り、全力で否定する。


 優斗が焦ったのは、フレイが嫉妬と軽蔑の視線を向けて来た、からではない。不安気な表情から少し俯き気味になり、そうだったら嫌だ、と言う弱弱しい表情に派生したからだ。


「あー、なんていうか」

「一応言っておきますけど、他の女の子の相手をして欲しくないって意味じゃないですよ?」

「違うの?」

「違います。

 もしそうだとしたら、私はもっと別の手段を取ります」


 別の手段、と言う言葉から、優斗が連想したのはフレイの罵声だった。

 お金で女の子を無理やりなんて鬼畜です、とか、優しく手を伸ばして陥れるなんて悪魔の所業です、とか。


 同時に、ライガットがわざわざ釘を刺した一件と合わせ、優斗は「それ」がこの世界、もしくはこの国では良くある事なのだと言う事を理解する。


「多分ですけど、ユーリスさんは未経験だと思います」

「……聞きたくなかったかも」

 優斗は、次にユーリスと顔を合わせた時に、絶対に今の言葉を思い出してしまうだろうと半ば確信していた。


 そうなった時、優斗には上手く話せる自信はない。2人きりだったら、なおさらだろう。


「まぁ、それはどっちでもいいんですけど」

「おいおい」

「どうやら、ユーリスさんはライガットさんが好きで好きで堪らない様なんです」

「それは見てれば判るけどさ」

「1人の女として、男の人として」

「えぇぇぇ!?」


 大きな声を出してしまった優斗を、フレイが唇に人差し指を当てる事で制する。


 ユーリスが優斗と同じ21歳で、ライガットは40歳前後。

 年の差は、19以上だ。優斗が大げさに驚くのも無理はない。


「それは、恋人になりたいと言う意味で?」

「むしろ、夫婦になりたいと言う意味です」

「さすがに離れすぎじゃない?」

「クシャーナ様とご主人様より離れてますね」

「それはどーでもいい」

 優斗は、これまでの2人の事を思い出す。


 言われて見れば、ユーリスは恋人相手のそれでもおかしくない行動もとっていた。対してライガットには、その気がなかった様に見える。あれは間違いなく、父性本能全開で娘を可愛がる馬鹿親のそれである、と優斗は確信していた。


 優斗はそう考えながら、フレイの言わんとする事を理解する。


「まぁ、何にしてもそんなつもりはないから」

「ですよね。信じてました」

「なら、わざわざ心臓に悪い反応しないで。

 と言うか、俺に話して良かったの?」


 ユーリスから直接聞いた話ではないにしても、フレイが彼女と仲良くなり、それを匂わせる発言があった事がそれを確信する要因の1つであった事は、優斗にも想像出来る。

 そして口止めされている訳ではないとは言え、それを本人の与り知らぬところで話すのは、あまり褒められた事ではない。


「ご主人様がどう反応するか、気になったので」

「おいおい」

「おかげさまで楽しかったです」

 呆れ顔の優斗。


 そんな優斗の視線から逃げるように少しだけ目を伏せ、口に出しかけた「だから口説いても無駄ですよ」と言う言葉を飲み込みながら、フレイはくすりと笑った。

これからの予定を話し合う話でした。


フレイさんが声に出さなかった言葉は、情報の真偽とそれを知っているか否か、実際にどちらなのかで彼女の腹黒度が劇的に変動したりします。

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