表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ファウスト〜迷惑探偵作家の幻視〜  作者: ヨハン•G•ファウスト


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

8/11

第八幕:無能警官と取り調べ室

やあ、君。人間の頭は都合よくできている。特に創作者の頭の中ほど、都合の良いものはない。どんなに賢い者だとしても、それは呪いのようについてまわる。

ーー頭の出来が、他人と違うとおもってしまうことさ。


第七幕では、アーサーが再び事件担当の警官アンソン大佐に会いにいくことを宣言した。アーサーなりの事件探求が始まったんだ。


スタッフォードシャー警察署にて、アーサーが再び通された部屋は、暖炉のない取り調べ室だった。

今度はホームズも取り調べ室の中にいて、アーサーと共に話を聞くことになった。

なぜかって?

このグレート・ワーリー事件を詳しく調べたのはホームズだから。アーサーは体調を崩していただけだったから。

「アンソン大佐。この事件は難解です。ですが、ご安心ください。公安の目に、探偵の目さえあれば、真実は明らかになるでしょうーー約束します」

アーサーは静かに微笑んでみせた。

内心、ハラワタが煮え繰り返ってた。

また寒い部屋に通されたからだ。


アンソン大佐は深くため息をついた。

彼はホームズを見た。

「彼はーーなぜついてきたんだ?」

ホームズは目を見開き、視線を下に向けた。

「彼は私の助手です。記録係みたいなもんです」とアーサーはホームズを庇った。

アンソン大佐が怪訝な顔をした。

アーサーを少し見て、ホームズの方に顔を向けた。

「ーーなるほど。

ーーで、ドイルさんは何を思いついたんでしょうかね。

失礼ですが、我々の立場として何も言えません。

そこはご理解ください。」


アーサーはーーうなづいた。

「ふふふ、筆跡鑑定ですよ。アンソンくん。

犯人は重大なミスをせざるおえなかった。ーー匿名の手紙を出したことです。

この手紙はジョージ・エダルジをギャングのリーダーとして貶めています。

だが根拠のないデタラメーー私はそう睨んでます。この手紙を書いた犯人を見つければ、おのずと事件の謎は世間であきらかになるでしょうーー」

アーサーは、そういうとアンソン大佐を見た。アンソン大佐は静かに答えた。でなきゃ、彼はアーサーをーーやめとこう。彼は紳士だ。そして、警察官だった。

「なるほど。我々に筆跡鑑定をしてみろ、ーーと。ドイルさんは、この村の誰の筆跡を鑑定させたいので?

我々が怪しいとにらんでる相手の筆跡を一人ずつ調べて、鑑定人に調べさせろーーというつもりでしょうか?」

アンソン大佐は続けて言った。

「匿名の手紙を書いた人物が、事件に直接関係していると、なぜ決めつけているんですか?便乗しただけの、それだけかもしれないーーそうですね?

筆跡鑑定もタダではありません。

捜査するにしても、限界があるんです」


アーサーの鼻息が荒くなった。

「君、怠慢だぞ!筆跡鑑定をするものがいないんだ。そうだろ?」と言った。

「我々には、筆跡鑑定人に頼む仕組みはある。だが、ドイルさんに詳しく説明する義務はない。手紙を誰にまわすかも、捜査をする上での重大な秘密です」とアンソン大佐は拳を強く握った。

「ご協力ありがとうございます。

ドイルさん。他に何か、必要なことは?」

「ジョージ・エダルジとの面会をさせてもらいたい」

「わかりました。ホームズに手続きを進めてもらいます」とアンソン大佐は疲れたようにホームズを見た。それから呟くように言った。

「ーードイルさん。あなたの新作は私にも分かりました。きっと、あなたは我々を無能だと書きたてるでしょう。

物語としてね。

ロンドンでの世論も、もしかしたら歴史ですら我々を無能集団と断じるかもしれません。

だがーー覚えてください。

我々には法のシステムがあるんです。

それを無能と即断するのは、

我々だけでなく、国すらも無能としてるのです。ーーそこに国への敬意はない。結果だけを判断した浅はかさは、人を煽動させる危険なものなのですーー」

アンソン大佐は冷ややかに説明したが、アーサーの頭の中では物語が構築されていった。

それは浅はかな結果と都合の良い物語であった。

ホームズとアンソン大佐は、寒気を感じたようにブルっと震えた。


(こうして、第八幕は浅はかな物語で幕を閉じる。)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ