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ファウスト〜迷惑探偵作家の幻視〜  作者: ヨハン•G•ファウスト


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7/11

第七幕:筆跡鑑定の希望の光

やあ、君。臭いものにフタをしたいと思った時はないかい?

その人に大したことをされてないけど、どうしても生理的に受け付けられない。嫉妬とは、また違う嫌悪感。

感じたことーーないかい?


第六幕では、体調を取り戻したアーサーが、ホームズに事件の内容を聞いたところを見た。


ホームズの事件の説明は、分かりやすかった。アーサーの作家としてのプライドを傷つけた。まるで話の中に出てきた未使用のナイフが、アーサーの魂を刺した。

だが彼は、耐えた。どこか攻撃できるところがあるはずと、彼は意識を集中させた。

「手紙だ。手紙はーー筆跡がわかる!ーーそうだ、マヌケ!手紙はどうした?ーー筆跡は調べたのか?」とアーサーが跳ねた。

パンクズがテーブルの床に落ちた。

「す、すみません、先生ーーひ、筆跡はーー調べて、ませんーー」

ホームズは怯えてみせた。

「マヌケ!筆跡は変えようとしても、必ずボロが出るんだーー!」と唸るようにしてアーサーはホームズを罵った。


「いいか、ホームズ!筆跡鑑定だよーー!ははーーそうだ」とアーサーは下唇を噛んだ。彼は筆跡鑑定すればいいと安易に思った自分を恥じた。


ーー誰の?

誰の筆跡を比較すればいいのか、わからなかった。

どうするーー誰の筆跡をーー

彼は警察に聞こうとした。

「ヤツらは、協力はしてくれないだろうーーあいつめ。あの男さえいなければーー」とアーサーは事件担当の警察官を思い出した。

「名前を聞けばよかったーーあの無礼な警察官のーー」とアーサーは呟いた。取り調べ室で、アーサーを侮辱した男を。

ホームズは怪訝な顔をした。

「ーーも、もしかして、ジョージ・オーガスタス・アンソン大佐のことですか?」

アーサーは、ホームズに顔を向けた。

「なぜ、ヤツの名前を、お前なんかが知ってるんだ?」

「せ、先生がお休みになっている時に、偶然に、あってーー」

「ーーなんだーーあの男は、私の助言が聞きたかったんだ。やはり探偵の目がなければ事件解決は難しいんだろーー」とアーサーは喜んだ。

その様子を見て、ホームズは苦笑した。


「アンソン大佐に、筆跡鑑定を依頼しなきゃいけないな。すぐにーー!」

アーサーは立ち上がった。

事件解決に一歩近づいたからだ。


「ホームズ。ジョージ・エダルジとなんとか話をしたい。彼と話ができるように手続きしてくれ。彼が本当に犯人か、この目で見極めてやる。探偵の目だ!」

「さ、さすがです。せ、先生。

探偵の目は、そんな事も、で、できるんですね?」

「もちろんだよ、君。まあ、ホームズには難しいだろう。私だけの共感力だーー」


(こうして、第七幕は筆跡鑑定で幕を閉じる。)

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