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ファウスト〜迷惑探偵作家の幻視〜  作者: ヨハン•G•ファウスト


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5/11

第五幕:名探偵の再起動

やあ、君。自分のプライドを考えた事はあるかい?これだけは負けないというものがあれば、どんな時にもマウントがとれる。ホームズにとっては観察と推理だ。それじゃあーー君は?


第四幕では、休める場所を求めて村の中に入ったら、そこでも侮辱されたアーサーを見た。


ーー彼の神経質で繊細な部分は耐えられるのだろうか。


物語は進んでいく。

ーー時間は三日すぎていた。


牧師の逮捕された息子の部屋は、二階にあった。

鉄製ベッドと小さな机が並ぶ簡素な空間だ。窓からは牧場が見えた。

ベッドの上では、アーサーが顔を青白くさせて仰向けに横たわっていた。

部屋には暖炉はない。

彼はヒゲを震わせて、怒りの爆発をおさえていた。

部屋の扉が軽く開けられて、黒髪短髪の男が顔だけを覗かせていた。

「ーーせ、先生、あ、お身体は大丈夫ですか?」と吃りながらホームズは言った。

「大丈夫だ、ホームズ。私の知性は揺らぐことはない。それよりも、現場の観察はどうしたーー?」

「え、ええ。先生が、に、睨んだとおり、じ、地面を見に行きましたーー」

「見たのは地面だけか?他は?」

「え、ええ?そのあまり、見れてなかったかもーーすみませんーー」

「なんて事だーー私がいたら、ちゃんと指示をだすのに。このマヌケに任せなきゃいけないなんて!」

アーサーは掛け布団を両手で掴んだ。

「ああ、私はこのまま死ぬかもしれん。

ちょうど、神の家もあるーーホームズ!まさに劇的な終わりだ。事件を追って、ここで終わるーー」

アーサーは、咳き込んだ。

「もしかして、結核かもしれないーー」

アーサーは呟く。それを聞いてホームズは引きつった顔をした。

彼はゆっくりと扉を閉めた。

アーサーは、それすらムカついた。


それから、三日すぎてアーサーの体調は戻った。だが、彼がこの村で侮辱された事実は拭えなかった。

アーサーは牧師館のダイニングルームで席に座り、パンを何個も食べていた。なぜかって?

食べる事しかやる事がなかったからだ。

「ーーホームズ。事件について確認したい。この呪われた村で何が起こったのか、君の口から聞きたい。

これは、君がちゃんと事件を理解しているかの確認でもあるーー」


アーサーの向かいあうように、

彼の前には牧師とホームズがいた。

牧師とホームズは互いに顔を見回した。二人ともアーサーが家に帰ると思ってたんだ。

「君たち、事件を解決する準備はできてるか?ーー私はできてるぞ!」


(こうして、第五幕は探偵の宣言で幕を閉じる。)


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