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ファウスト〜迷惑探偵作家の幻視〜  作者: ヨハン•G•ファウスト


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1/11

第一幕:探偵の父は探偵

やあ、君。


今回の物語は、ファウストが天に召された後の話だ。

彼の壊れた魂は、

次の誰かに受け継がれた。

もしかして、君の時代にも彼の魂を持つ者がいるかもしれない。


ボクが誰かって?

語り部ファウストさ。

ヨハン・ゲオルク・ファウスト。

君と共に物語を見つめる者であり、

君の友だ。


今度のファウストの魂を引き継ぐ者がわかった。1906年頃のイギリス。サリー州ハインドヘッドの屋敷にいた。

この屋敷は赤レンガ造りの田舎家屋で、高地に建てられていた。

居間は訪れる客たちに評判がよく、南向きの大きな窓が太陽の光を取り込み、壁は温かみのある木板で囲まれていた。

部屋の中央では、バイオリンを演奏している中年男性が立っていた。茶色い短髪には白髪混じり、灰色の髭が口元を隠していて、体はがっしりしていた。ブラウンの紳士服を着て、気持ち良さげにしていた。


彼の名はアーサー・イグナティウス・コナン・F・ドイル

Fとはファウストだ。

この秘密の名はボクらだけが、

知っているーー。

えーー? イグナティウスって?

ただのミドルネームだ。

ボクらが彼を呼ぶ時、アーサーと呼ぼう。


彼の目の前には、ソファの端に座って、おどおどしている黒髪短髪で痩せてひょろながい男が額に脂汗を浮かべていた。


アーサーが演奏を続けながら話しかけた。

「ホームズ。どうだい、私のバイオリンの腕は?悲しみを表現している。妻を失ったばかりの男による演奏だ」

ホームズと呼ばれ男は頬を緩めた。

「コナン先生、さ、さすがです。ぼ、ボク、無教養ですから、ば、バイオリンなんて触ってもーーひ、弾けないです」と吃りながら彼はアーサーを褒めた。


アーサーは演奏を止めて、彼に微笑んだ。

「君!私から推理の技術だけじゃなく、演奏の腕前も学びたまえ、ははは!」


彼はーーあの有名なシャーロック・ホームズの生みの親。

そして、ホームズに呪われた作家でもあった。そして、呪いからは解放されていなかった。


「せ、先生。新聞を見たんですけど、グレイト・ワーリーってとこで、ふ、不可解な事件が、お、起こったようですーー」

ホームズは吃りながら、アーサーに事件があることを伝えた。

「なに?ーーこのマヌケ!そういう事は早く言えーー事件のにおいがする。準備はできてるか、ホームズ?」とアーサーは不機嫌そうに言った。

「す、すみません......、まだ、新聞読んだだけでーー」とホームズは青くなった。

アーサーは、それを聞いて笑った。

心の底からーーそして彼は口を開いた。


(こうして、第一幕はホームズと呼ばれた男で幕を閉じる。)


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