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アカ色に染まれ  作者: Suna-chan
第1章 『僕の普段の日常が終わる。』
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2話 僕の普段の日常が終わる。②

2話 僕の普段の日常が終わる。②

 「あぁ。紹介しよう。この子の名前は稲毛(いなげ) 好羽(このは)だ」

 稲毛・・・。どこかで聞いたことがある苗字だ。

 そういえば確か・・・。この学校の生徒なら誰もが知っているはずだ。

 富山県滑川市(なめりかわし)にある私立白岩学院(しらいわがくいん)高等学校の理事長、稲毛(いなげ) (ひろむ)

 まさか・・・その孫娘なのか?


 「先生、まさかとは思いますが・・・この人、理事長のお孫さんですか?」

 「おぉ、察しがいいな、鰭ヶ崎。その通りだ。こちらにいらっしゃるのは、理事長の孫にあたる子だよ」

 白井先生は少し悔しそうな表情でこちらを見ていた。・・・いや、もしかして、これって当てちゃいけないやつだった? なんかごめんね、白井先生。


 そんな僕たちのやり取りを、稲毛 好羽は静かに見つめていた。

 そして、少し躊躇(ためら)うように視線を落とし、申し訳なさそうにそっと口を開いた。

 「あ、あの・・・。」

 か細い声が静かな応接室に響いた。

 「どうした?稲毛・・・?」

 白井先生は、まるで彼女の存在を忘れていたかのように、焦った様子で視線を向けた。

 「先生、もしかして・・・私のこと、忘れていました?」

 稲毛 好羽はじっとこちらを見つめながら、ふっと微笑んだ。

 だが、その笑みはどこか冷たく、まるで獲物を追い詰めたハイエナのようだった。

 ――きっと彼女は大人しい性格だ。だが、怒らせてはいけない人物なのだろう。

 まだ出会って間もないのに、そんな確信にも近い直感があった。

 これはただの憶測かもしれない。だが、僕の野生の勘がそう告げている。

 「あ、あぁ・・・忘れてないぞ。ちゃんと覚えてる、覚えてる・・・」

 白井先生はひどく動揺しながら、必死に誤魔化した。


 「さて、本題に入るが・・・。そうだな・・・。」

 白井先生は少し間を置いてから、ちらりとこちらを見た。

 「まずは、鰭ヶ崎。稲毛に自己紹介からかな?」

 なぜか、白井先生は自信がなさそうな声でそう言った。

 ――え? 何? 自己紹介っ? 聞いてないんですけど、先生。

 僕みたいな人間は、事前に自己紹介の台本を作っても、本番で失敗するタイプなんだから・・・。

 急に言わないでよ。本当に・・・。

 鰭ヶ崎は、脳が処理しきれないほど思考を回転させた。


 「・・・あ。どうも、1年C組の鰭ヶ崎 祐樹ですっ。えーと。好きな食べ物は・・・。」

 言葉に詰まり、焦る。何を言えばいい? いや、何を言っちゃいけない・・・。

 「駄菓子屋の10円ゼリーですかね!!」

 ――やらかした。完全にやらかした。

 絶対に今のはダメだろ・・・!

 あーー。これ以上は無理だ!恥ずかしすぎて塵になりそうだ・・・。

 後悔と羞恥に押し潰されそうになっていると、ふいに稲毛がクスリと笑った。

 「・・・なぜ、10円ゼリーなの? もう少し他の食べ物があるでしょ?」

 「10円ゼリーはコスパにして真の頂点なんですよ!!」

 「私にはちょっと分からないわ・・・」

 「先生、この気持ちわかりますか・・・?」

 突然、稲毛に話を振られた白井先生は、完全に困惑していた。

 「い、いや・・・。私にも分からん・・・」

 稲毛と白井先生は苦笑いし、なんとも言えない空気が流れる。

 ――やばい、このままだと自己紹介どころか、人格そのものが誤解される・・・!

 鰭ヶ崎は、逃げるように話題を変えた。

 「あ、あとは、まぁ他の好きな食べ物はプリンかな?」

 「それなら分かるわ。カラメルとの相性は抜群ですものね。私も好物よ」

 「いや、カラメルは外道・・・」

 鰭ヶ崎の表情が一変した。さっきまでの後悔と羞恥が消え去る――。

 「プリンにカラメルなんていらない。最初から最後まで甘いままでいてほしいんだよ。」

 謎の持論を展開させ、さらに追撃する。

 「だけど、まぁ、最終的にやっぱ10円ゼリーが至高。原点にして頂点。」

 ――その瞬間、鰭ヶ崎は我に返った。

 ――またやらかした。完全に異食家だと思われた。

 自己紹介なんて、第一印象を自ら崩壊させていく作業に過ぎない。

 これだから、自己紹介なんてしたくなかったんだ。

 ・・・今の自己紹介、陰キャなだけならまだしも、完全にヤバいやつ認定されただろ。

 そんなことを心の中でぼやいていると、白井先生が咳払いをして言った。

 「ん、んっ!」

 「ま、まぁ。とりあえず座ろう、鰭ヶ崎」

 白井先生に促され、鰭ヶ崎は稲毛の前の席に座り、先生は稲毛の隣に腰を下ろした。

暇つぶしで書いてます。

気が向いたらまた、更新します。


色々、下手だったらすみません・・・。

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