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その1 大男

私の腹黒さは時空を超える

 空から少女が降ってきたらどうするのが普通だろうか。まぁ普通に考えて少女が空から降ってくることは無いので、そんなことに対して普通を求められても困るのだが。恐らく、大丈夫ですか?と声をかけることをしても罰は当たらないだろう。普通や常識が嫌いな彼女、他人との関わりを拒絶する彼女、しかし今だけは自分に何の興味も示さない目の前の人々に少なからず苛立ちを覚えるのだった。

 さて、彼女が真っ暗闇から堕ちて着いた先は街だった。四方を灰色の高い壁に囲まれた小さな街。建物はあるがなんだか刑務所みたいだと彼女は思った。もちろん悪いことをしてこなかった彼女は刑務所なんか入ったことはないのだが、まぁ映画などで見るあれだ。そして街には色がなかった。いや、色がないこともないのだが、色が死んでいるというか。とにかく薄暗い、気味の悪い街だった。

 さらに彼女が薄気味悪く思ったのは、そこに住んでいるのであろう人々だ。何といったものか、彼女の毒舌を拝借すると、彼らは死んだ魚のような目をしているのだ。そもそも彼女に興味がないのではなくて、彼女に気づいていないのではないか、そんなことを思ってしまうほど彼らは異常だった。

 そんなことを思いながらこの街を探索していた彼女は、街の中央辺りだろうか、で石碑を発見した。こんな街に石碑なんて、一体誰が建てたのだろうか、そんなことを考えながら石碑の前に立った時だった、彼女はこの街に来て初めて人間に話しかけられた。


 「お前が新入りかぃ」

 振り返った彼女の眼の前に立っていたのは2メートルはあるであろう大男だった。30歳くらいだろうかその男、頭は丸めていて、目が細い、肩幅もありガタイもいいその男は、ボロボロな黒いシャツを着ていて、話しかけられなければ関わりたいとは思わない不潔な感じの男だった。

 「堕ちた街フォーリンダウンへようこそ。嬢ちゃん。」

 堕ちた街!?フンッ、そのまんまじゃない、誰が名付けたのか知らないけど、その人(作者)のボキャブラリーの無さには同情するわ。そんなことを彼女は思った。

 「俺の名前は・・」

 「結構です。私はあなたに興味なんて微塵もないですし、こんな薄気味の悪い所からは一秒でも早く出ていくつもりですから」

 彼女は男に名乗らせる間もなく、それだけを告げて男に背を向けた。明らかに年下の女の子にこんな言われようで、この男は一体どんな顔をしたのか、そんなことにも彼女は興味がなかった。

 「出ていく?ハッハ、ここから出ていくつもりなのか??そうか、じゃあここから出る方法を教えてやるよ」

 そんなこと聞くまでもなく自分で調べてやるよ。そんなことを思った彼女だったが、勝手にしゃべらせておくことにした。もっとも彼女は男に対して振り返ることもせず、石碑を読みながら、今日は何か面白いテレビ番組があったか思い出しながら、男の話を右から左に聞き流していたのだが。というかこの男も引っかかる部分が違うのではないかと思うのだが・・・

 

 さて、そんな男がいうにはこの街にはルールがあるのだそうだ。まずこの街から自力で出ることはできない。それはまぁ四方が壁で覆われているということから想像できたことだが。しかしこの街から出る方法はあるという。この町を守護する5人を倒すこと。それが街を出る唯一の方法だという。そして今彼女の後ろに立っているこのボロを着た不潔な大男がその一人だと。しかしながら、彼女のようなごくごく普通な(内面のことはこの際除いて)女子高生がこんな大男たちを5人も倒すなんて。。。普通に、常識的に考えて、誰が考えても無理なのではないだろうか。しかし、彼女にそんな常識は通用しないようだ。

 「そう。」

 それだけを言うと彼女は再び大男に対面する。彼女の持ち前のきつい目はしっかりと大男を見据えている。その瞳には一片の恐れもない。

 「お嬢ちゃんにいいことを教えてやろう」

 もう一つのルール、この世界では死がない。どんなに死にかけても数日もすれば元通りに回復してしまう。ということは、この大男にも何度でも挑むことができるのだ。ここまでくればなんとなく想像できてしまうかもしれないが一応、ここにいる精気のない人々は当初はこの大男たちに挑戦し続けた。しかし、大男たちは強すぎた。どれくらい強すぎるかというと、ポケモンで一番最初にオーキド博士からヒトカゲを貰って、ライバルに戦いを挑まれた時にライバルが出してきたポケモンが、Lv50のスターミーだったぐらい強かった。まぁつまり、勝てっこないから彼らは諦めてしまったのだ。

 「あらそう。おしゃべりはその辺にして早くかかってきなさい。あなたをこの話で倒せば、最短で後4話で終わらせることができるっていう作者の都合もあるんだから。時間が惜しいわ」

 「作者だと!?な、何の話だ??」

 「どうせこの話で出番の終わるあんたには関係のない話よ」

 「・・・訳のわからんことを。うぉぉぉぉぉ!!!!」

 大男は力任せに右ストレートを繰り出す。その威力はなんとキン肉マンの火事場のメガトンパンチに匹敵する。

 パシッ!!!

 なんと彼女は大男の右ストレートを片手で受け止めた。そしてそのまま大男の手首をとり、捻りながら投げ飛ばす。合気道や少林寺拳法の技、小手返しだ。これにより大男は右腕を封じられた。

 「ぐぅぁ。な、なぜだ!?お前が格闘技をたしなんでいるなんて設定は聞いていないぞ!?」

 大男まで設定などと訳のわからないことを言い出した。

 「ふん。設定なんか後からいくらでもこじつけられるのよ。大体大男を前に臆する態度を一切取らない辺りから推測できて当然のことよ。まぁあなたの脳みそは日に当たってカピカピになったガムテープ片で出来ているのだし、予測できなくても至極当然だったのかしら」

 「脳みそがガムテープ片って、いつのまにそんな設定が!?」

 「さらに言わせてもらえば、そもそも一番最初に出てくる敵の大男なんて、主人公の強さを示すためのかませ犬に決まっているのよ。身の程をわきまえなさい」 

 さらに作者からダメ押しでルールを追加しておく。この世界は負の世界なため、腹悪しきものほど力を発揮できる。

 「あら。それはいいルールだわ。私の毒舌の前には草木でさえ朽ち果てる。私の腹黒さは時空を超える」

 若干意味不明だが、喜んでもらえたのでよしとしよう。そんな設定たちにより、彼女の戦闘力は大男のそれを遥かに凌ぐものとなった。しかし大男は負けを認めず声をあげて彼女に向けて突っ込んできた。まさにこの話で負けるキャラの典型的な行動である。彼女は極めて冷静に一歩下がって、大男の攻撃のタイミングを計り、顔面へのジャンピングカウンターキックで相殺した。その攻撃はまさしくラーメンマンのレッグラリアートだった。

 「ぐはぁ!!・・・・次回にも・・・出た・・・かっ・・・・・・た・・・」

 そうして男は読者に名前を知られることもなく散っていった。もちろん大男の名が明らかにならずに終わったのは、作者が考えるのが面倒だったからではない。あっ!!ホラ!!勝利の決め台詞が!!

 「そんな恥ずかしいもん言うわけないでしょう。困ったからって私に頼るんじゃないわよ。このボキャ貧!!」

 ぐはぁ!!!

 

そんなこんなで彼女の元の世界に戻るための闘いが始まった。少なくとも後4回戦う?ことになりそうだが、一体今後はどんな裏設定が登場するのか。そして彼女は無事に元の世界に戻れるのか??


つづくw

 



 アニメなどには欠かせない「かませ犬」ですが、これはもともと闘犬を育てるとき、若い闘犬に自信をつけさせるために闘犬を引退した老犬をあてがうところから来ているんだそうです。って知ってますよね。。。まぁとにかくどんな役でも任せられたからには精一杯こなしたいところですね。 

 さて、3話にしてようやく本編に入りました。これからどんな相手と戦うことになるのか、まぁ全然考えてないんですが、素敵なかませ犬たちを描いていけたらと思います。 それでは、読んでくれた方に感謝しつつ今後も頑張ります☆  


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