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お隣さんのギャルが僕を惚れさせたくて全力すぎる  作者: 枩葉松@書籍発売中
第2章

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第17話 自分の優秀さが恐ろしいなぁ!


 今回のクリスマスデートのプランを練る上で、あたしはあることをずっと考えていた。



 ――どうやったら、佐伯とえっちなことができるのか。



 頭の中真っピンクかよ、とか思われるかもしれない。

 いやでもさ、仕方なくない? 好きなひとに発情して何が悪いわけ? どれだけ誘惑しても負けない佐伯が悪いまであるよ?


 あたしは佐伯が好きだ。

 その心も、身体も、全部欲しい。あたしの全部をあげるから、彼の全部も欲しい。そういう好きだ。


 だから考えた。佐伯が断らない範囲の中で、えっちな展開に持って行く方法を。


 そして導き出したのが――ラブホテルのサウナでの混浴。

 タオルを巻こうが何をしようが、ほぼ全裸であることに変わりはない。


 そんな状態でさりげなく近づいたり、見つめたり、触ったり!

 佐伯も今日はいつもより可愛いあたしをずっと見てたわけだから、溜まったものが溢れちゃって、我慢できなくなっちゃって!


 ふひっ♡ ふひひひ♡ 大変なことになっちゃうぞぉ~~~~~♡♡♡


 ……っとまあ、興奮するのはあとにして。

 この作戦の何が優秀って、仮に何も起こらなかったところでマイナスがないことだ。


 健全にサウナに入って、健全に帰ったっていい。

 それでスッキリしてくれたら、きっとあたしへの好感度も上がるだろう。天城さんとのデートは楽しいなぁって、惚れてくれるかも!


 すごい! 隙がない! 有咲ちゃんってば天才じゃん!


「わぁー! すっご、ちょー綺麗!」

「……で、ですね……」


 白と黒のシンプルでエレガントな客室。ソファにガラスのテーブル、大きなベッド。薄暗い照明も相まって、イケナイことをする場所なのだと空気が語る。


 ホテルに入った瞬間から、ずっと挙動不審な佐伯。

 今も落ち着かなさそうにキョロキョロとして、おっかなびっくりといった具合に荷物をテーブルの上に置く。


「あっ。ねえ佐伯、これ見て!」

「な、何ですか?」

「コンドーム!」

「ぶふぅっ!?」


 ベッドの上を四つん這いで移動し、それを摘まみ見せつけた。

 佐伯は思い切り吹き出し、ゴホゴホとむせる。こんなことでイチイチ大袈裟に反応しちゃって、本当に可愛いなぁ♡


「AVとかも観れるっぽいよ。せっかくだし、何かつけてみる?」

「ど、どういうせっかく、ですか!」

「コスプレとかレンタルできるって! 佐伯、あたしに着て欲しいのある?」

「ないです!」


 耳まで真っ赤に染めて叫ぶ。

 そして大きく深呼吸し、困り顔であたしを見た。


「僕、先に着替えてサウナに入ってます。天城さんも、少し時間空けてから来てください」

「せっかちだなー。二人で服の脱がし合いっこしようよぉー♡」

「け、結構です!」


 と言って、部屋を出て行った。


 待ちに待った、佐伯との裸の付き合い。

 彼の理性を奪うように立ち回りつつ、それでいてあんまりグイグイいかないようにしないとね。怒らせちゃったら元も子もないし。


 冷静に、冷静に、冷静に。

 下心とか微塵もありませんよってな具合に、クールな有咲ちゃんを演出しなくちゃ。


 ……ん? 本当にできるのかって? 半裸の佐伯を前にして、あたしがクールに振る舞えるわけがないとか思っちゃってる?


 ハッハー! 侮ってもらっちゃ困るよ、このあたしを!


 ちょっと前までのあたしなら、そういう間抜けを晒したかもしれない。

 でもね、有咲ちゃんは日々進化し続けてるの!


 確かに佐伯の裸を見るのは今日が初めてだけど、たかがその程度のことでこのあたしが冷静さを失うわけないじゃん。


 仮にそれがどれだけ魅力的でも、ポーカーフェイスで乗り切ってやりますとも。

 いやぁ、困っちゃうなぁ! 自分の優秀さが恐ろしいなぁ!


 ガッハッハーッ!!



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