変わったようで、変わらない
今回は物語の進行にはあまり関係ないです。
1日が過ぎて放課後となった。そして私達は道場へ行く。
「道場ってどんなとこなんだろうね!楽しみだね!」
「勉強するのにそんな遠足気分でいいはずないでしょ!」
鈴奈が軽率な発言によって舞華に怒られているのを横目に、私は少し離れたところにある道場の姿を捉える。ドアだけでも厳格な感じがする。私達は話しながら歩いていきとうとうドアの前に立った。
「誰がドア開ける?」
私が言うと誰もが目を背けた。この厳格さにすっかり萎縮してしまっている。
「はぁ、私が開けるよ。」
いかにも仕方がなさそうに優実がドアを開ける。すると中は一つの仕切りによって二つのスペースに分けられていた。一つは机が並べられたスペース。おそらく教科書読んだりするスペースなのだろう。二つ目は広いスペースで頑丈そうだ。おそらくこちらは実技…強化研究をする方なのだろう。そして今現在この道場にいるのは私たちと一人の少女だけだった。そしてその少女は私達を睨みつけている。正直、怖い。怖すぎる。年齢は同じだろう。だって今、授業が終わっているのは中1だけなはずなんだから。けど、見たことがない。と言うことは…小1からじゃなくって中1から居る天才軍団の一人…?とりあえず彼女が机の方にいるので私達は広いスペースへ行く。彼女が興味をなくして勉強に集中し出したので、私達はコソコソ話し出す。
「あの子怖くなかった…?」と優実
「怖すぎ…どのクラスの子なんだろ」鈴奈
「BとCじゃない気がする。教室近いけど見たことないでしょ?」私
でもいい加減舞華が耐えかねたかのように
「コソコソすんのはやめよ!さ、私達も勉強、勉強!」
私はその一言で完全に我に返った。それは優実も鈴奈も同じだったようで私達は勉強に取り掛かった。しかし、私達はすぐに雪中先生の言っていた「ある程度決まった形」が分からないと不便で教科書は見なければならないと思い知らされる。そして机の方へ戻るとさっきの少女と入れ違いになった。その少女はチラッと見ただけで私達には無関心なようだ。机に着いて教科書を見ると火属性だけでも「ある程度決まった形」がたくさんある。あと「ある程度決まった形」は定型というらしい。言いづらいのでこれからは定型と呼ぶことにする。まずは一つ目…ファイア、これは火の球を作って敵に、モンスターにぶつけるものらしい。形はなんでもよし…なるほどここでも想像力、か
私達は道場に二時間くらい居て帰った。まだ例の少女は残っていた。しかし私達は帰路へと着く。
「ねーね、ユキ猫のユメ2が発売だって!みんな買う?」
(ユキ猫のユメ?)
紗良のこと忘れてた…こっちのゲームの事。ユキっていう猫が人間しか叶えられないと思われるような夢を抱いて叶えていくっていうRPG。
「ほんと!?買う買う!」
鈴奈のそのあまりの食いつきように私達は笑ってしまう。
「あ、私こっちだから…じゃあねー!」
私が「じゃあね」というと手を振りかえしてくれる。いつも通り過ぎて、今日あった色々な事を忘れてしまいそう。そうそう、今日は地球が異世界に転生して…
「ただいまー、」
「おかえり、お姉ちゃん!」
すぐに音良が駆け寄ってきてくれた。お母さんが言う。
「夜ご飯できたから来なさい!」
私達は、はーい、返事をする。うん、やっぱりこの音が重なって響くこの感じが一番好き。
食卓につくと、音良が話し始める。
「あのね、音良、能力とても良かったんだよ!自慢になっちゃうんだけど私にはその他の能力、「属性 藤」と「属性 人形」があったんだよ!二つあるの!みんな一つあるかないかなのに!」
ねえ紗良、この子に私3つだった!なんて言っても良い?
(別にセランカードを触らせなかったら良いんですけど、道徳的に…ってあ!)
「そうなの?でもねーお姉ちゃんには3つあったんだよー「物知り」「進化」「属性 桜」音良も凄いけど、お姉ちゃんも凄いでしょ?」
私の感じ悪さMAXの発言に音良は唇を噛み締めて耐えている。少しかわいそう。でもさ、
「雪良、大人気ない!音良が泣いてしまいそうだろ!謝るんだ!」
お父さん、そこまで言わなくても良いんじゃないの…
「ごめんなさい、反省する(小さな声で)かもしれないです」
お父さんはうんうんと頷いているがお母さんはこの不毛すぎる争いに入らない。お母さん自体は無言なのにそんなレベルの低い話はするなと言われている気分になる。こうして地球が異世界転生した日は幕が降りた。