事故#3
パニック状態になる響子。
お、落ち着いて。大丈夫。元々殺す予定だったんだから……。でも、本当はこんなことしたかったわけじゃない。あいつ等が殺せって命令してきたんじゃない。脅されたんだもの。私は不本意だった……。私が悪い訳じゃない。悪いのは全部あいつ等なのよ!
すると響子は、真奈子の手に握られている携帯電話に気がついた。
無意識のうちに携帯に手が伸びていた。
携帯を手に取ると、響子は何のためらいもせずにそれを開いた。
画面をみた響子の顔から血の気が引いていく。
大変だ……。もっと大変なことが起こってしまった。
画面には、送信済みのメール。なぜこのメールが開かさっていたのかは分らなかった。響子が話しかけたとき、真奈子は携帯を開いていた。そのとき、送ったメールを確認していたのだろうか。
送った時刻を確かめる。
送ったのは今日の日付。響子は携帯の時間を見る。三時十五分。このメールが送られたのは大体十分前……。
まだ、間に合う。あいつ等に早く知らせなくちゃ。
「響子!」
後ろから呼ぶ声。
響子は、本能的にすばやく真奈子の携帯を制服の、ブレザーのポケットに突っ込んだ。