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はじまり
それはいつもの月曜日。
太陽が地上にいる人々を暑さで倒すような温度で見下ろしていた。空は珍しく雲ひとつ無い綺麗な空をしていた。
ここ街一番の進学校、幸盛高校の屋上から一人の女子生徒が飛び降りた。
ドスンと鈍い音が響く。
そのコンクリートの上に、うつ伏せで倒れている彼女。目を見開き、視点はどこにも定まってはいない。頭からはドロリと赤黒い液体が溢れ出し、辺りはまるで血の海のようだ。
「おい、あそこで倒れてるものって人か……」
数分後、落下音を聞きつけた二人の男子生徒が彼女を発見した。
「やばくね、血が出てる……」
焦る一人の男子生徒が、息をつまらせ、血を避けるように彼女に近寄る。
「じ、自殺……? しかもコイツ、二組の木町じゃね……」
もう一人の男子生徒が、唖然と彼女をただ見つめる。
彼女の名前は木町雪穂。
高校二年生の夏、彼女の命はこの日消え去った。