儀式当日
「ウィロンの魔力を、儀式の日だけ一時的に三兄弟に移そう」
ウィロンの父、ローガンがそう言うと、16歳の長男アーサー、14歳の次男レオ、12歳の三男のテディも賛成した。
強い魔力を持った子供は、幼少期に魔力暴走から高熱を出すことが多い。三兄弟も半年に一度のペースで熱を出していたが、ウィロンは3ヶ月に一度、熱を出していた。
「熱の具合からして、ウィロンの魔力は当時のお前たちよりも多いだろう。1人だとウィロンの魔力を全て受け止めきれない可能性があるからな…3人に分散させることにする」
父のその言葉に、リント王国の奇跡と呼ばれる三兄弟は気を引き締めた。
そして、儀式当日。
兄様たちからの祝福の魔法だといい、ひとりひとりが少しずつウィロンから魔力を移動させた。
純白にピンクの刺繍が施されたドレスを着たウィロンは、「ありがとう兄様!」と屈託のない笑みを浮かべていた。
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「ウィロン・トリニティ!」
儀式がはじまり、名前を呼ばれたウィロンは種を蒔いた。
儀式にはウィロン以外にも20名ほどこの月に10歳になった子供がいたものの、未だ誰も花を咲かせていなかったため、ウィロンへの期待は大きかった。