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詩全集

夜獸

作者: 那須茄子

真っ赤な血が迸った

高層ビルが自殺幇助した


夜を嘲笑うかのように立つ一人の少女

手には凶器

感じていたのは狂気

笑顔に張り付くのは狂喜


犯した重さを微塵も抱くことすらなく

輝きに欠けた街の下

灯す明かりが有象無象に群れた


音の無い夜に

幸福に飢えている獸がいた




真っ赤な血が迸った

高層ビルが自殺幇助した


安堵して佇む一人の少女

手には汗

感じていたのは解放

笑顔に張り付くのは虚勢


手にかけた事実に後から震え

自らも身を乗り出す

灯す明かりが有象無象に群れた隙間に

淡く嘆く百合の花が落ちる


音の無い夜に

幸福に飢えている獸がいた


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