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神様コロッセオ  作者: 篤緋皓
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招かれざる客 上

一章三節「招かれざる客」

廊下を奥へ奥へと進むにつれて、次第に人の笑い声が聞こえてくることに気づいた。

この先の奥に扉があるから、きっとこの中に全員居るんだなと思考を巡らせどう挨拶すべきかと考えた。

今のところ全く考えが浮かばずただただ心臓が跳ねているだけだが…


「着いた、俺が愛李の自己紹介をするから、君はそのあとに続くといい、最初は難しいだろ?」


そう言って俺が返す前に扉を開くゲイルに仕方なく忌神と続くように入っていく。


「あ、ゲイルじゃん、そいつ誰?」


話していた全員が会話をやめ注目・視線は俺たちの方へとむけられていた。


「え、もしかして新しいヤツ?物好きだね此処のチームって」


「これこれ、アザミ、言ったらいけないこともあるじゃろう?」


「ねぇねぇ君、本当に何でここに入ったの?」


子供の声より少し低めな声を発しながら俺のそばにずかずかと近寄ってくる青年に思わず後ずさりながら苦笑いをこぼした。


「天天、彼はまだ初対面だ、そう近づくんじゃない」


ゲイルがそう言って俺の間に割って入ってくれてほっと溜息をこぼす。

当の注意されていた天天と呼ばれた青年は俺に興味が無くなったのか「はぁい」と間延びした返事をして離れていった。

男の子なのだろうか、チャイナ服を身にまとい、緑の髪をお団子テールにした青年はにっこりと笑い席へとついた


「うん、それじゃあ自己紹介しようか、彼は愛李、見ての通り此処のチームに加わることになった子だよ。バディは忌神。」


「はぁ?あの堅物のバディになったん?あっは、笑える~」


奥の椅子に座っていた女性がそういってけらけらと笑いながら「よろしくな~」と手を振られ自身も小さく振り返す。


「それじゃ、愛李一言お願い、あ、忌神もね」


「まて、なぜ私も…」


「リーダー命令」


「…分かった」


渋々俺の隣に来た忌神は早く言えと言わんばかりに俺の腕をつつく


「初めまして。愛李・ディシードです。これからよろしくお願いします、先輩方」


そう言って笑顔を浮かべ一礼するとそばに居た忌神はため息をつき顔をあげた。


「忌神、以上だ」


「え~それだけ!?って僕先輩って呼ばれちゃったよ~」


そう言いながら青年は嬉しそうにジャンプしながら、俺たちへと視線を向けステップを踏みながら近づいてくる


「僕らも自己紹介しなくっちゃ!僕は天天、勝利を掴むものだよ、バディは…っと」


そう言いながら天天は自身のイヤリングへと手を伸ばした。

ヒスイ色の光と共に筋骨隆々の男が姿を現す。

何より驚いたのは下半身が蛇と言う事、見たところ中国の神話の神なのだろうか?


「こいつは共工、僕のバディで中国の神様だよ!」


「まぁ、突然で驚いただろうがよろしく頼むヨ。」


蛇のような大きな黄金色の瞳孔の長い目をこちらに向け笑いながらも俺の頭を撫でてくれる。

長い青色の髪は赤い髪ひもで纏め上げられていて、きちんとした印象

見た目とは違い、結構な世話焼きなのだろうか


「あたしも挨拶すっかねぇ…めんどいけど、あたしはアザミ。見ての通りそばに居るのがあたしのバディ、アメノウズメだ、得意はダンス、あんたも興味あれば教えたげるよ。気が向けば」

「これアザミ、…まぁ良い、よろしく頼むぞ、若い者」


そう言いながら、黒髪に赤いインナーカラーのアザミと黒紫の髪をさっと纏めながらアメノウズメと呼ばれ女性二人は立ち上がり俺の元へと近づいてくる。

アザミと名乗る少女とアメノウズメ、どこか正反対のようで共通点があるような不思議な感覚がする。


「まぁ、堅っ苦しい呼び名よりも、呼びタメで頼むヨ、」


共工の言葉に賛同するように「僕も呼びタメがいいな~」と手を挙げ騒ぐ全員に苦笑し頷いた。


「はいはい、そこまでだよ。悪いね、愛李。まだこのメンバー以外にも何人かいるんだけど、今日は予定が付かなかったり、頼まれごとで暫く留守にしているメンツが多いみたい」


そう言って申し訳なさそうにするゲイルに首を振り「また会えた時に紹介して」と声をかけた。


「ふふ、では私はお茶菓子や食事を持ってまいりましょうか。歓迎会を開きますからね」


嬉しそうにバルキュリアは厨房の方へ向かっていく。

みんなも歓迎会と聞いてうれしそうに笑いながら談笑し始めていて、俺もそばにあった椅子へと腰を下ろした。


「ほほほ、今宵は新しいものが来たんじゃ、祝いの酒を用意せねばなぁ。ほれ、忌神、共工も付きおうておくれ、倉庫に酒瓶があるのでな」


「あっはは、姉さんのお願いは断れないネェ」


「っま、まて、なんで私が…」


アメノウズメに引きずられていく忌神にふっと鼻で笑ってやった。


「あ、ねぇ愛李ってさ、他チームのこと教えてもらった?」


天天がそばに座りながらそう問いかけられ思い出してみるが、確かに詳しい情報は聞いていなかったと首を横に振った。


「やっぱり?ゲイルって肝心なこと言わないんだから~」


「仕方ないなぁ…」と言いながらも天天は机の上に少し古くなった紙を広げてくれた。


「チームは各国ごとに七チームあるんだ。それぞれやっぱり国ごとで固められていて…」


そう言いながら一番上に書かれた文字を指さしながら順番に説明してくれた


「まず一番〈魔軍〉精鋭中の精鋭、堂々の一位に君臨するクトゥルフ神話のチーム。正直強すぎるからって理由で大会は数回程度しか参加できないように主催の神が設定したくらいには、ね…」


何処か含むような物言いをする天天に首を傾げ何か言おうとしたが、それも一瞬の事で、すぐに笑顔に戻った彼は何食わぬ顔で次の文字を指さした。


「次は〈雷霆〉、意味は威力っていう意味で、その名前の通り勇ましくて強い、たくさんの神話が並ぶ中国の神が集う場所!」


中国と聞いてふと首をかしげる。

天天の言っている中国神話に確か共工さんはいた筈だ。

自分のチームの神を再度見まわしてみるが、本当に世界ごとに区切られたチームと言う雰囲気もない、逆に言えばバラバラなチーム

問を掛けようと口を開きかけ、「ほらほら!次はね」と嬉しそうにする彼に何も言えず、後で聞こうと耳を傾けた


「三番目ギリシアチームだね〈Seira〉意味は秩序。神の定めか人の人生かは知らないけど…宿命の元集められたチームだって聞いたことある。三番とはいえ実力も力も折り紙付き、何ならリーダーはこの二年間全く変わってはいない」


二年という歳月が短いかそれとも長いのか、なんてこの言葉を聞けばすぐにわかってしまう。

それほど人の出入りも激しい場所なのだろうと、悟ってしまった。


「そのリーダーってどれくらい強いの?」


「え、うーん…僕も戦いを見たわけじゃないけど、魔軍のリーダー相手に引き分けで終わるほどには強いって、ゲイルから聞いた」


ゲイルの名前が出てくるとは思わなかった

言っていたと言う事は彼も相当長く此処で戦っているんだと分かった。


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