アルフォート、あった。
こんにちは。作者の夏雪足跡です。まずは、作品を閲覧してくださり、誠にありがとうございます。
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僕の”親友”はアルフォートだけだった。アルフォートはいつも僕のそばにいてくれて、人生のたくさんの場面を共有してきた。アルフォートとの出会いは、いつだっただろうか。
最初は単なる好奇心だったような気がする。
あいつと出会ったのはもう本当に幼い、年長さんのときか小学生かそこらだった。蒼が似合う外見に、四角く整ったフォルム、こいつを手に入れたら、僕はもっとかっこよく強い大人になれると思った。子供ながらの大人への憧れが強かったのだろう。”それ”からはなにか尊大さやある種の恐怖を感じるほどだった。すぐにいつも買っていたキャラクターカード入りのお菓子はやめてそれを手に取り、買い物カゴに入れた。それはアルフォートというらしいアルフォートを見た母親がそう読んでいた。まだカタカナが読めなかった自分はその時初めてそいつの名前を知ったのだった。初めてアルフォートを食べた。衝撃だった。
__おいしい!!
チョコが溶けて口いっぱいに甘い味が広がり、咀嚼するごとにビスケットが口の中でざくっと小気味いい音を奏でる。本当に最高だった。手が止まらない。こんなに美味しいのならずっと食べていられる!と思っていた。気がつくと箱の中のアルフォートは全て消えていた。それを見た母親に体に毒だと怒られたが、反省はしなかった。
__くそっ手に入れられたのはあいつじゃなくて僕の方だったのか……
その後、アルフォートは僕の人生で当たり前にあるものになった。おやつにあるのは当たり前、友達と喧嘩したときには一緒にアルを食べて仲直りした。勉強がきつくてもアルを食べて回復していた。バレンタインに好きな娘からアルフォートをどうぞ!と渡された時はものすごく嬉しかった。後に彼女が同じクラスのいけすかんイケメンに本命を渡して付き合うことになったと聞いたときはほんの少し、いや結構アルを恨んだ。(別にアルは悪くないんだけどね)受験にもアルフォートがいた。目指す場所に自分は到底とどいていなくて、不安に押し潰されて全てを諦めようとした。そんな時でも、アルフォートはそばにいて束の間の優しさと癒しをくれた。本番にもアルフォートを連れて行き、合格発表の朝もアルを食べた。自分の番号が掲示されていた時は嬉しくて飛び跳ねた。その時食べたアルフォートは人生で一番美味しいアルフォートだった。
そして今もアルは僕の日常にいる。疲れた仕事帰り、ふらっと寄るコンビニで自然と足はお菓子コーナーに向うのだ。大人になったは今もう、大人への憧れから来る謎の尊大さは感じられなかったが、代わりに懐かしさと親しみの感情が湧いてくる。見慣れた蒼のパッケージを見つけて今はもう読めるカタカナのその文字を心の中で唱えて安堵する。
「僕の親友はアルフォートだけだよ。」
アルフォートを一つ口にいれて、家路につく、甘くて優しいその感じ慣れた味が、僕の心を満たしていた。
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