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八・竜を統べる者

「…はぁ…あぁ見つけた…ようだな…!はぁ…ならあそこを目掛けて…!一点突破の ──────




”””マノイカヅチー!!!

༄《焉怒雷》༄“““ 」




“““ズドォォォンン”””



俺は最後の力を振り絞り、時空の歪みに最大威力の雷を右手から放った ─────────


──────────あれ……ここは……?



俺は心地よい風に緑の香りを感じ…目を覚ます。最後の記憶は焉怒雷を時空の歪みに撃ち込んで…なんだか頭の下に柔らかい心地良い感触がする。なんだろう…




「お目覚めですか……!ヒナタ様……!!」



「レシュノルティア……!?」



どうやらレシュノルティアは膝枕をしてくれていたらしい。俺は恥ずかしさのあまり直ぐに座り込んだ。

レシュノルティアはその後どうなったのか丁寧に教えてくれた。焉怒雷で結界を破壊することは出来たが…そのまま力を使い果たして倒れてしまったらしい。結界内は崩壊が始まり…その中で俺を抱えて結界の裂け目に飛び込んだらしい…俺達は無事に外の世界は戻ってこれた。本当に良かった。



「ありがとう…レシュノルティア…!」



「滅相もございません…!ご無事で何よりです…!」



「さて…これからどうしたものか…ここは幻想の森だよな…?」



「ヒナタ様…ここからはやく離れた方が良いかと…」



「というと…?」


「ヒナタ様は先程、終末の龍の封印を破ったのです!それは世界の歴史の一ページに刻まれたでしょう…!」



ん……確かにそうか…世界ではレシュノルティアは終末の龍って恐れられていたからな。あれ…もしかして俺、とんでもないことしちゃった……?



「というかなんでお前は嬉しそうなんだよ…!!」



「それは勿論…!

世界がヒナタ様に注目するのが嬉しくて///」



おいおい最初の頃の威厳ある終末の龍はどこにいったんだよ…まぁでも確かにここからはやく離れないとな…

俺が結界に入ってからおよそ二時間…この森にはまだ神宮寺達が居るだろう…もしかしたらすぐに駆け付けてくるかもしれない…!



「離れるって言っても…一体どこに…?街中に覇帝竜がいたら大騒ぎになるんじゃあ…」



「私が覇帝竜と分かるはずはありません!

問題は……」



「問題は……?」



「えぇ…その…主様のオーラの方です…」



「え?オーラ…?なんの事……?」



「主様は魔力が大きすぎるあまり…オーラとなって身体から溢れ出ています…」



「え!?そうなの…!?レシュノルティアだって凄い魔力だろ…?それに俺は今までなんとも無かったよ?」



「私は覇帝竜ですぞ…!!魔力を完全に無くすことなんて造作もない…!!主様が今まで大丈夫だったのは無意識の内に魔力を制御していたからでしょう…だけどそのリミットが何かの拍子に弾けた。何か心当たりはありませぬか…?」



心当たりか……なんのことだろう……あっ!!


「今日…初めて…能力や魔力を使った…もしかして…」



「それです…!!間違えありません…!今のまま人の住む街に行くと魔族やら魔王やらの襲撃と勘違いされて、人間達と戦争になることでしょう…」



「それは…恐ろしいな…何か、方法は無い…?魔力を消すのってどうやるの…?」



「完全に消すとなると主様の場合、出来なくは無いけど難しいと思います…そうですね…手っ取り早い方法ならありますよ…!」



そう言うとレシュノルティアは”着いてきて“といい幻想の森を歩き出した。しばらくすると足が止まった。そこはどこか今までの雰囲気とは違く…木漏れ日が気持ちよく、花が美しく咲いている神秘的な場所だった。



「森にこんな所があるなんて…」



「ありました…!!」


突然レシュノルティアは叫んだのでそちらを見てみると何やら無色の水晶の欠片らしき物を手に持っていた。


「それは…?水晶?」



「いいえ、これは私を封印していた魔石…封印石の一部…ヒナタ様が結界を破壊した時に封印石も全て粉砕したのでしょう。」



「これが魔石…宝石みたいだな…」



「同じくらいかそれ以上の価値がこの石にはあるのですよ!これは魔石の中でも超がつく程の高品質なものです。」



なるほど…終末の龍を封印するには普通の魔石じゃ歯が立たないってか。



「それで…その魔石をどうするの?」



「この魔石には魔力を封印するといった力があるのですよ…!!」



「ということは……!!」



「えぇ、ですが、破壊されていてその性能も劣化しているでしょう。封印の効果は弱く、あくまでもオーラを隠せると思っていただけたら...ただの時間稼ぎになると思いますが当分の間はこの魔石を身につけておけば多少は押さえられるでしょう…!!」



俺はその一センチ程の魔石を握った。すると魔石は透明から澄んだ蒼色へと変わっていった。



「色が変わった…!」



「いい感じですよ…!だんだんオーラが小さくなっていきます…!!なるほど…魔石を身につけている時のヒナタ様の魔力は...…およそ15万!これならただの人には気づかれ無いでしょう!!」




15万…か…元々の俺の魔力は一体…


俺は少し怖かったので聞くのを辞めた。


「それと1つ注意を!この魔石を外す時はほんとに危険な時以外はオススメしません!」


どうやら、突然この魔石を外すと過度なオーラの出現で俺の身体がもたない+魔石が暴発する可能性があるらしい...怖い。


「分かった…ありがとう…!ところでもうひとつ問題があるんだけど…」



「と…いうと?」



「いや…名前だよ。街中で”レシュノルティア“なんて呼べないだろう…?」


「ふむ…確かにその名を聞けば皆逃げ出すでしょう!」



笑いながら言うなよ……



「それなら…”新しい名前をください…我が主よ…!“」



「新しい…名前…?」



「えぇ、魔物とは本来名を持っていません。上位の者に名を授けられるものなのです。私はヒナタ様に忠誠を誓った身…貴方様の名前が欲しいのです…!」



「上位って…レシュノルティアより上位の存在っているのか…?」



「居ないでしょう…何故なら我は最強だから…!!あ…ヒナタ様は別です…!!」



「…まぁいいや…分かったよ。」



俺は不意に…周囲の美しい花に目がいく…



花か…見た目的には全体的には黒で…少し紅も混ざった感じの…黒薔薇とか…?いや、黒薔薇は花言葉がな…俺の漢字をつけて…向日葵…陽葵とか…?いや…そんな眩しい名前じゃないな…そうだな…認めたくは無いが…見た目は美しい…美しい花か──────



「“アマリリス”なんて名前はどうだろう…?」



するとレシュノルティアは数秒動かなかった。



「な、なんてね!?

う、嘘だよ!変だよね!ごめ─────」




「いいえ…!!!あまりに美しい響きで息を飲んでおりました……素晴らしいです…ヒナタ様ー!!」



泣くほど嬉しいの……!?まぁでも良かった…

これは絶対にレシュノルティアには言えないけど…アマリリスの花言葉は《おしゃべり》・《強い虚栄心》・《誇り》…そして、《素晴らしく美しい》。全て…レシュノルティアにピッタリだ。



「感激しました…主様ぁ…!!

私はこれから【アマリリス=レシュノルティア】と名乗ります!!」



「え…!?ファストネームでいいの!?俺はてっきりラストネームかと…」



「おかしいですよね…何故か…そうすべきだと思ったんです。貴方様に頂いた名前が…私の真の名だと…!」



「そっか…喜んでくれて良かったよ…!でもちょっと呼びにくいか…?そうだな…アマリリスを言いやすくして…アマリリス…アマ”リリス“……!俺はこれから…凜々珠(リリス)って呼ぶよ…!」





どうやらレシュノルティア…いや、リリスは喜んでくれているようだ。すると突然、俺とリリスの身体が光り出した。




《【称号】«竜統之人»獲得シマシタ――》





また新しい称号か…竜を統べる者…か。リリスの名前を付けたからか?すると光は収まる。



「新しい称号ですね!!それでは…帰りましょう!主様…!」



新たな仲間と力を手に入れた俺は”アガリア“に帰還する──────────

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