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DEMONSMOB〜勇者に巻き込まれて転移した俺の物語〜  作者: はるりん
第1章 転移、そして目覚め
75/151

七十五・空裂の刻 壱

勇者パートが終わり.....

ヒナタパートに戻ります!


――――――

 俺は未だに空を飛んでいる。リリスに抱えられたまま、容赦ないスピードで。


「なぁ…そろそろ降ろしてくれないか?」


「ダメです!」


「ですよねぇぇぇ!!!」


 半ば諦めかけていたその時だった。


 びりびり……!!


「……なんだ!? 急に視界がぼやけて……」


 辺りの景色が歪む。空の色すら変わったように見えた。まるで、異空間にでも引きずり込まれたかのような感覚。


「これは……結界の一種ですね。とはいえ、私の強大すぎる力で無効化しちゃいましたけどね!」


「おいおい……冗談はやめてくれよ……」


 リリスの無邪気な声とは裏腹に、妙な違和感が拭えない。 何かがおかしい……。


「……ヒナタ様、どうやら私たち、予期せぬ領域に入り込んでしまったようです。」


 リリスの表情が、ほんの僅かに引き締まる。


 ……なんだ、この不吉な空気は。


 俺はすぐさま ࿓《千里眼》࿓ を発動した。視界が広がり、遠くの光景が鮮明に映し出される。


「……なんだ……?」


 はるか遠くに……人影?


 いや、違う。“浮かんで”いる……!?


 空に……数人の人影が宙を舞いながら、こちらに向かって突っ込んでくる。 風を切る音すら感じるほどの速度だ。


「リリス!! 前方に数人! こっちに向かってる!!」


「分かっております!!」


 リリスの声に迷いはない。俺たちはすでに”何か”の領域に足を踏み入れてしまった。


「……ヒナタ様、戦闘になるかもしれません。準備を。」


「……ちくしょう、ついさっきまで自由を満喫できると思ってたのに……!!」


 視界の端で、空を裂くように迫る影。


 俺は素早く 黒焔のローブ を取り出し、羽織る。


 その瞬間――


 俺の瞳は深紅に染まり、顔はモヤに覆われ、禍々しいオーラが溢れ出す。


「終焉の魔人の登場ってわけか……」


 “アイツら”が何者なのか知らないが、ただの挨拶じゃないことだけは確かだ。


 次の瞬間、轟音と共に彼らは姿を現した。


「何者だ!! 何故ここにいる!?」


 鋭い声が響く。俺は前方に視線を向けた。


 ――なんだ、この連中は……?


 彼らは人の形をしているが、背には巨大な翼が生えている。


 天使のようにも見えるが……違う。


 その形状は、竜の持つそれにソックリだった。 羽ばたくたびに周囲の空気が震え、圧倒的な存在感を放っている。……竜人族ってやつか?


 俺は眉をひそめる。


「それはこっちのセリフだ。」


 俺は低く、威圧感を込めて言う。


「何者だ?」


 紅く染まった瞳を細めながら、俺は空中で対峙する彼らを睨みつけた。


「“敵”と見て間違えない……!」


 相手のひとりが鋭く言い放つ。その眼光は鋭く、明らかな敵意がこもっていた。


 俺は小さくため息をつく。どうやら平和的な話し合いは期待できそうにない。


 相手は3人。こっちは俺とリリスの2人。


 数では劣るが、そんなものは問題じゃない。


 彼らは多勢に無勢だと思っているのかもしれないが……俺たちは”量”ではなく”質”で勝負するタイプだ。


「……で、オレたちを敵と決めつけた理由は?」


 俺は黒焔刀を片手に、ゆっくりと前に進む。


 彼らの翼がバサリと音を立てる。こちらの動きを警戒しているのが分かる。


「貴様……その忌まわしきオーラ……! ただの人間ではないな……!」


 なるほど。**“終焉の魔人”**のオーラを感じ取って、戦闘態勢に入ったわけか。


「……さて、どうする?」


 俺はリリスに目を向ける。


 リリスは優雅に宙を舞いながら、余裕の笑みを浮かべていた。


「ヒナタ様が戦いたいなら、お好きにどうぞ?」


「……俺に選択肢はないのかよ…なら、手っ取り早く終わらせよう。」


 俺はそう言いながら黒焔刀を構える。

 終焉の魔人としての威厳を示し、圧倒的な力で相手をねじ伏せる……そんな絵を想像しながら、静かに呼吸を整える。


 ──が。


「……いや、これ、普通にカッコつかなくね?」


 俺はふと、今の自分の状態に気がついた。


 そう。俺は今、堂々と構えているようで――


 リリスに抱えられている。


 姫抱きの体勢で。


 そう。今まさに、俺はリリスの腕の中で戦闘態勢に入ろうとしているのだ。


「……なぁ、リリス。」


「はい? どうしました、ヒナタ様?」


「……そろそろ降ろしてくれない?」


「ダメです♡」


「ですよねええええ!!!!!」


 クソ!!! なんでこんな状況で戦わなきゃいけないんだ!?!?!?


 こっちは決め顔で構えてるのに、現実はお姫様抱っこで戦闘開始とかいうギャグみたいな状況になってるんだぞ!?!?


 しかも、向こうの竜人族どもも明らかに困惑した顔をしているじゃねぇか!!


「……貴様ら、何をしている……?」


「知らん、が……あれは……戦う気があるのか……?」


 だよな!!? 俺もそう思う!!!


「リリス……!! いいから降ろせ!!」


「イヤです♡」


「クソがああああ!!!!!」


 俺の心の叫びをよそに、竜人族のリーダー格が静かに剣を抜く。


「……まぁいい。戦いの中で、その正体を確かめさせてもらおう……!」


 そして、次の瞬間――


 轟音と共に、戦いの幕が切って落とされた。

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