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DEMONSMOB〜勇者に巻き込まれて転移した俺の物語〜  作者: はるりん
第1章 転移、そして目覚め
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七十・宿逢

 翌日、旅立ちの日。


 集落の入口には、大勢のウッドエルフたちが集まっていた。


 ……いや、こんなに人いたんだな、この村。


「ヒナタさん……!」


「どうか、お元気で……!」


「またいつでも来てください!」


 長老や村の戦士たち、子どもたちまでもが、俺に感謝と別れの言葉をかけてくる。


 まぁ、無理もない。俺はこの村を救った”英雄のひとり”みたいなもんだし……。


 三姉妹との別れの挨拶をするために、俺は彼女たちの元へ向かった。


「ヒナタさん……いえ、師匠!!」


「ちょっ、まだその呼び方続いてたの!?」


 長女ラミアがまっすぐ俺を見つめる。


「またいつか、必ずお会いできると信じています。次にお会いするときは、もっと強くなっているので……その時は本格的な指南をお願いしますね。」


「う、うん……そうだな! 期待してるぞ!!(来ないけど!!)」


 俺は心の中で全力で叫びながら、適当に誤魔化す。


 次女リーリャは少し寂しそうに俯きながら、小さな声で言った。


「……ヒナタさん、また……来てくれますか?」


「もちろん! また、いつか!!(来ないけど!!)」


 俺は満面の笑みを作って答える。


 そして問題は――


「ヒナタさぁぁん!!! 師匠ぉぉぉぉ!!! 行かないでぇぇぇ!!!」


 三女・ルルンが俺の腰にしがみついて離れない。


「ちょ、ルルン!? 離れろ!! 本気で離れろ!!!」


「ヤダぁぁぁぁ!!! 絶対にまた会うって約束してぇぇぇ!!!」


「約束しなくてもまた会えるって!!(来ないけど!!)」


「ウソだぁぁぁぁ!!!」


「ウソじゃない!! ほら、いつか、絶対、たぶん、きっと!!」


 俺が必死に言葉を並べると、ラミアがルルンの首根っこを掴んで引き剥がす。


「ルルン、いい加減にしなさい。」


「うぅ……でも……ヒナタさんと……もっと遊びたかった……」


 ルルンが涙目で訴える。


 可愛い。


 だが、俺はもうここに来るつもりはない!!!


「じゃあ! みんな、お元気で!!!」


 俺は全力で手を振り、背を向ける。


 そして心の中で叫んだ。


「よし!! ここへ来るのはもうやめよう!!!」



 その瞬間だった。


 ────────── タ様……!!


 おいおい、ルルン……離れるのが寂しいって言っても泣きすぎだぞう?


 ────────── ナタ様……!!!


 そうか……俺はそんなにも愛おしい存在だったのか……!!


 でもすまない……!! 俺は行かないといけないんだ……!!!


 ────────── ヒナタ様……!!!


 んんん?


 ……いや、待てよ??


 俺はふと違和感を覚え、ゆっくりと上を見上げた。


「えええぇぇぇ!!リリスぅぅ!!??」


 俺の視界いっぱいに、紅い瞳と黒衣の少女――リリスの姿が映る。


 ……というか、すんごいスピードでこっちに突っ込んできてる!!! 避ける時間なんて無い!!!


「タァァァァァ様ァァァァァ!!!!」


「うわぁぁぁぁ!!!!?」


 ――ドガァァァァン!!!!


 俺はリリスの猛スピード抱きつき突進(物理)を受け、集落の入口で盛大に吹っ飛んだ。


 地面が抉れるほどの衝撃。村の一同、騒然。


 そして、俺はリリスにガッツリ抱きしめられたまま、無様に倒れ込んでいた。


「ヒナタ様ァァァァァ!!!!!」


「い゛た゛い゛っっっ!!!! やめろおおおお!!!」


「ヒナタ様ァァァァァ!!!!」


 リリスは俺に全力で抱きついたまま、子供みたいに泣きじゃくる。


「うぅぅぅ……!! ヒナタ様ァ……っ!! ご無事でぇぇぇぇ!!!!」


  お、おいおい……泣きすぎだろ……!? てか、苦しい!!! 離れろ!!!

 俺は必死にリリスを引き剥がそうとするが、彼女の腕は鋼鉄のように固く、まったく動く気配がない。


「ぐすっ……っヒナタ様ァ……!! うぅ……!! 私、本当に、本当に心配だったんですからぁぁ!!! ヒナタ様がいなくなって、私、もう、どうすればいいのか……!!! うわぁぁぁぁぁん!!!!」


「いや……まぁ、悪かったよ……? でもちょっと待て!! 俺、今、めちゃくちゃ人目あるんだけど!?!?」


 そう、集落の入口に集まっていたウッドエルフたちは、完全に ぽかーん として俺たちを見ていた。


 特に三姉妹なんかは……


 ラミア(長女)

「……あれ、ヒナタさんってまさか……リア充……?」

 冷静な顔を装っているが、握り締めた拳が小刻みに震えている。


 リーリャ(次女)

「え、ていうか、めっちゃ甘えられてる……何この可愛い生き物……」

 俺とリリスを交互に見つめながら、目を細めて観察している。 なんかすごい分析されてる気がする……。


 ルルン(三女)

「師匠……その、ずるい……!!」

 ぷくーっと頬を膨らませながら、じと目でこっちを見ている。 なんだこの圧力は……!?


 そして村の他のエルフたちも、ヒソヒソと囁き合っていた。


「……やっぱり、あの人、只者じゃなかったな……」

「実はすごいモテるのでは……?」

「いや、あの娘さん、独占欲強そうだな……」


 あああああああああ!!!! やめてくれええええ!!!


 俺はただ静かに去りたかっただけなのに!!!


「おいリリス!!! いい加減離れろォォォ!!!??」

「やぁぁぁぁですぅぅぅぅ!!!! ずっとこうしてたいんですぅぅぅぅ!!!!!」

「やめろぉぉぉぉ!!!!!」


 俺の旅立ち。


 予想の斜め上のとんでもなく目立つ形で幕を開けた。

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