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DEMONSMOB〜勇者に巻き込まれて転移した俺の物語〜  作者: はるりん
第1章 転移、そして目覚め
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五十七・深緑の戦火 漆

カルラはまるで玩具を見つけた子供のように、楽しげな目で俺を観察している。


「これは……つよそうだぁ……」


低く唸るように呟き、口元を歪ませる。その声には恐怖も焦りもなく、ただ純粋な”興味”だけが滲んでいた。


――面倒だ。


こっちはさっさと決着をつけたい。長引けばそれだけ俺の負担が増えるし、そもそもコイツと遊んでる暇なんかない。


俺は深く息を吸い込み、静かに刃を構えた。もう無駄な時間は終わりだ。


「……いくぞ。」


俺は静かに、しかし揺るぎない声音で告げた。


その瞬間、空気が張り詰める。


カルラがわずかに体を沈め、爪を研ぐように指を鳴らす。俺は黒焔刀を握り直し、地を蹴る準備を整える。互いに一歩も動かない。次に動いた方が仕掛ける側――そして、決めるのは一瞬。


“バッ”


地面を砕き、俺が踏み込む。


カルラも同時に飛び出した。


“ギィンッ!!”


鋭い爪と黒焔刀がぶつかり合い、火花が散る。圧倒的な力のぶつかり合いが、衝撃波となって周囲の草木を揺らした。


俺は即座に体を捻り、刀を横薙ぎに振る。カルラは紙一重で回避し、爪を振り下ろす。


“シュッ”


刃のような衝撃波が俺の頬をかすめ、数本の髪が舞った。


速い――だが、読める。


「遅い。」


俺は刀を逆手に持ち替え、カルラの懐に潜り込む。刃を突き上げるように放つと、カルラはとっさに腕を交差させて防ぐ。


“ガキィンッ!!”


衝撃が走る。俺の一撃を受け止めながらも、カルラの口元には笑みが浮かんでいた。


「クク……いいねぇ、やっぱり……おまえ、最高だよぉ……!」


狂気じみた声が響く。


――だが、こっちは遊ぶ気なんてさらさら無い。


“ガガガッ!!”


刃と爪がぶつかり合い、激しい火花が散る。俺とカルラは互いに踏み込み、斬撃と打撃を高速で撃ち合った。


一撃、一撃が重く、速い。カルラの鋭い爪が俺の肩を掠めると、俺の黒焔刀が奴の腹を浅く裂く。血と火花が交錯する、熾烈な攻防戦。


――だが、このまま殴り合っても埒が明かない。


ならば――ここで決める!!


俺は刀を大きく振り払い、一瞬の隙を作ると、間髪入れずに魔力を解放した。


࿓《身体超化》・全開!!


身体の奥から膨大なエネルギーが溢れ出し、全身の動きが爆発的に加速する。


「――遅い!!」


カルラが反応するよりも早く、俺は視界から消えた。背後に回り込み、黒焔刀を振り下ろす。


“ズバァッ!!”


刃が閃き、カルラの背に深い傷を刻む。だが、まだ終わらない――


俺は続けざまに手をかざし、魔力を圧縮させた。


༄《焉怒雷》・連鎖!!


赤黒い雷がほとばしり、カルラの身体に直撃。


“バリバリバリィッ!!”


雷撃が連鎖するように爆ぜ、カルラの動きが鈍る。今なら――


俺は更に魔力を込め、次の一手を繰り出した。


「……終わらせる。」


俺の手の中で、黒焔が形を変える。


࿓《黒焔》・弓形態!!


闇を纏った漆黒の弓を構え、瞬時に狙いを定める。千里眼と魔力操作を駆使し、確実に仕留めるための一点を撃ち抜く準備は整った。


ここで決める――終焉の魔人として!!


“ギィィン――ズドォォン!!”


矢は放たれ、漆黒の閃光が唸りを上げながらカルラへと突き進む。次の瞬間、直撃――轟音と共に爆発が巻き起こり、衝撃波が大気を揺らした。


俺は手応えを感じた。今度こそ仕留めたか……?


だが――


煙が晴れた瞬間、そこにカルラの姿はなかった。


……チッ、避けたか。


わずかに残る魔力の残滓。それは爆発の直前にカルラが身を翻し、間一髪で回避した証拠だった。


そして、離れた場所で立ち尽くすカルラが、肩を竦めるように笑った。


「いやぁ……おれには荷が重いなぁ……」


どこか愉快そうに、だがその薄ら笑いの奥には何かを企んでいるような、不気味な気配が漂っていた。


なんだ……? こいつ、本気で戦う気があるのか?


俺の攻撃を避けた直後だというのに、カルラは焦る様子もなく、ただ薄ら笑いを浮かべている。まるで戦いそのものを楽しんでいるかのような、不気味な余裕。


――いや、違う。


こいつは俺を試している。まるで俺の“底”を知ろうとしているかのように、挑発するような態度を崩さない。


さっさと終わらせないと……!!


三姉妹が応援を呼んで、ここに戻ってくるのも時間の問題だ。そうなれば、余計な混乱を招く。


俺の正体を知られるわけにはいかないし、何より――この戦いは俺一人で片をつけるべきだ。


「……はやくしないと……!」



俺は弓を構え、次の一撃で仕留めるつもりだった。


しかし――待っていたのは、まったく違う答えだった。


「おまえは……強いよ。おれには勝てない……」


カルラが薄ら笑いを浮かべながら、肩をすくめるように言った。


……なんだ? どういうことだ?


「それに……もう時間のようだ。」


次の瞬間――


“ドゴォォン!!”


遠くで爆発音が轟き、不気味なオーラが辺りに広がる。空気が重くなり、肌を刺すような異様な魔力が辺りを包む。


なんだ……?! これは……!!?


視界の端で、黒い瘴気が渦を巻きながら形を成していく。


「おまえにピッタリな相手を用意してやったぞぉぉぉ!!!」


カルラが狂気じみた声で叫び、不気味な笑みを浮かべる。


――この魔力は……?!


俺の背筋に戦慄が走った。

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