三十七・旅立ち
数日後——
勇者一行は話し合いの末、さらなる過酷な修行を求め、ネチェルに相談した。
ただ強くなるのではない。“確実に勝てる力”を手に入れるために。
ネチェルは静かに彼らの覚悟を聞いた後、ひとつの提案をした。
「強くなるには、強い師が必要だ。」
彼には心当たりのある人物がいるという。
その名を聞いた時、勇者たちは戸惑いと同時に、わずかな希望を抱いた。
——もし、その人物が本当に自分たちを鍛えてくれるのなら?
——もし、そこに”勝利への道”があるのなら?
迷う時間はなかった。
勇者一行は、その人物のもとで修行を受けることを決めた。
そして、数ヶ月の修行の旅に出ることを決意する。
だが、その前に——
勇者ではないクラスメイトたちへ、旅立ちを伝えた。
「頑張ってね。」
「寂しいよ……未来ちゃん……」
「頑張れ!」
「応援してる!」
「待ってるよ!」
無数の声が、彼らを送り出す。
それは別れの言葉ではなく、未来へ向けたエールだった。
蓮は、その声を全身で受け止める。
そして、仲間たちを振り返り、力強く言った。
「ありがとう……! 必ず、強くなって戻ってくる。」
この旅の先に、“確かな力”があることを信じて。
勇者たちは、新たな戦いのために歩き出した。
しかし——勇者たちはまだ知らない。
この旅は、ただの修行の旅では終わらないことを。
強くなるための旅。
勝つための修行。
魔王軍を打倒するための鍛錬——
そう思っていた。
しかし、それは甘かった。
この旅路には、彼らが想像もしなかった”何か”が潜んでいる。
この物語の果てで、彼らは知ることになる。
魔王軍の闇の深さを。
この世界に隠された真実を。
そして、自分たちが背負わされた”運命の意味”を——。
「勇者たちは強くなるために旅に出た」
——それは、単なる”始まり”に過ぎなかった。
彼らはまだ知らない。
“彼らの旅を監視する者たちがいる”ということを。




