二十九・終焉に導く者 肆
「クク……いくぜェ……!!」
カイラナが叫ぶと同時に、さっき以上のスピードで飛び込んできた。
爪が閃き、嵐のような猛攻が襲いかかる。
ギィンッ! ギィンッ!
俺は余裕の態度を崩さず、黒焔刀で全てを相殺するか、最小限の動きで回避してみせる。
……が。
正直、やばい。
まじで一瞬も気が抜けない……!
俺は平然を装っているが、カイラナの速度と攻撃力は尋常じゃない。ちょっとでもミスったら、即アウト。
……っ!
黒焔刀で弾いた攻撃の衝撃が腕に響く。
やべぇ、このままじゃジリ貧だ……!
それに、まともに一撃でも食らったら――
致命傷確定。
冗談じゃねぇ……!!
「クク……どうしたァ? 余裕の顔が崩れねェなァ……?」
カイラナがニヤリと笑う。
ああ、そうだ。ここで余裕が崩れたら終焉の魔人キャラが台無しなんだよ!!
俺は焦る心を押し殺し、フードの奥で冷笑を浮かべた。
「……フッ、楽しませてくれるじゃないか。」
内心、汗だくだが、ここは演技で乗り切るしかない……!!
近接戦闘は分が悪すぎる……!
このままじゃ、いずれ確実に押し切られる。カイラナのスピードと爪の破壊力を考えたら、まともにやり合うのは悪手だ。
だったら――
派手な能力で、一気に圧倒してやる!
俺は黒焔刀を一度引き、素早く印を結ぶように手を動かす。
「……こんなのは、どうだ?」
俺の足元に魔力が集まり、空気が震える。
次の瞬間――
࿓《絶炎焔》࿓ 発動!!
ゴォォォォッ!!!
黒焔とは異なる、純粋な炎のエネルギーが爆発的に生み出され、俺の手元に巨大な炎の塊が出現した。
夜の闇が、一瞬にして赤黒い光に包まれる。
その圧倒的な熱量が、地面を焼き焦がし、周囲の木々すら揺らめかせる。
「ッち! なんつう……デカさだァ!!」
カイラナが思わず後ずさる。
……よし、狙い通り。
「さて……これをくらって、無事でいられるかな?」
俺は不敵に微笑みながら、燃え盛る絶炎焔をカイラナに向かって放つ。
ゴォォォッ!!
灼熱の炎が獣のように唸りを上げ、一直線にカイラナへと迫る。
そして――
“ドガァァン!!”
大爆発。
夜の森が真昼のように輝き、凄まじい衝撃波が周囲を吹き飛ばす。地面が裂け、木々が激しく揺れる。
これをまともに食らって無傷なんてありえない。
いや、むしろ……
決着したか?
俺は燃え盛る炎を見つめながら、ふっと息をつく。
だが――
「……あっはっは。」
低く響く笑い声。
俺のものじゃない。
煙の中から、ゆっくりと現れる女のシルエット。
俺は思わず息を呑んだ。
「……おいおい、マジかよ。」
信じられない光景だった。
黒焦げになった地面の中心に立つカイラナ。全身に焼け跡はあるが、傷は浅い。
それどころか――
「クク……ははははははは!!!!」
カイラナは楽しそうに笑い出した。
まるで、今の攻撃すらも”最高のスパイス”だったと言わんばかりに。
いやいや……マジで言ってんのか……?
俺は黒焔刀を握り直し、静かに息を整える。
「ハハハッ……! スゲェ……なァ……今の攻撃……!!」
カイラナが肩を揺らしながら笑う。
その目には恐れもなければ、怒りもない。
あるのは――興奮。
「文字通り……“燃えてきたァァ”……!!!」
その瞬間、カイラナのオーラが爆発的に膨れ上がる。
俺は思わず奥歯を噛みしめた。
……まさか、俺は火に油を注いでしまったのか?
空気が張り詰め、まるで重力が増したような錯覚すら覚える。
これはヤバい。今の一撃でダメージを与えたつもりが、逆にテンションを引き上げただけなんじゃ!?
すると――
カイラナが目を細め、俺をじっと見つめた。
(……だが、この魔人……! ほんとにやべェな……!!)
(バフォメット様の脅威になる……!)
カイラナの指がピキリと鳴る。
そして――
「ここで潰しておかなきゃよォ……!!」
次の瞬間、地面が砕けるほどの勢いでカイラナが跳んだ。
――来る!!
俺は黒焔刀を強く握りしめながら、次の一手を考えた。
この戦い、本気で……“やるしかない”――!!
次回!12時投稿!
ついに決着――!!
ここからの展開もお楽しみに!
ブックマークや感想で応援してもらえると励みになります。




