神経質な人の天下
「ポ…ポ…ポテトチップスのカスが、落ちてる」眼鏡をいじりながら、動揺している男性がいる。
「上様、すみません…。まさか、落ちていると思わなくて」上様はまだ、落ち着かない。
「ポテトチップスの袋を、カスが全く落ちない袋の物にしろ」
「上様、お言葉ですが、予算が足りません」世話役が、現実的問題を告げる。
「空気中の見えないくらいのごみを取り除く機械も開発中ですし、常に手を綺麗に洗った状態に出来る手袋など他にも、幾つも開発中でございます」
「よいか、世の中が不衛生で人口が十分の一まで減ってしまった。その後、武力で天下を取った方が、病にかかって、跡継ぎに、僕を指名した。だから、僕が将軍なんだ」
「存じております…」世話役はしばし黙った。
「しかし、免疫も大事ですよ。大変、お言葉ですが、上様はかなり、気にし過ぎていらっしゃる」
「なに…?」
「人口が大きく減ってしまったのは、病です。今は、まだ上様がおっしゃるほど、そこまで衛生を気にしなくても、そんなに困らないと思います」
「おい、世話役…」
「な、何でございましょう」世話役はつい言い過ぎてしまったので、内心、酷い仕打ちを受けるかもしれないと不安に思った。
「君が、次の将軍になってくれよ。僕、神経質だから、無理だよ」
上様は、将軍を辞めた。
終
掃除や、手洗いうがいすればいいって、思えないとね。