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愛情
「ひとりかくれんぼ?」
「そうだ。お前の力がいるんだよ」
調子のいい言葉だって分かってるのに、必要とされている嬉しさで私はしっぽを振って達樹にくっついてしまう。
「何したらいいの?」
「とりあえず、これ用意しといて」
渡されたメモ張を見る。
・米
・爪
・髪の毛
・体液
・赤い糸
「え、何これ?」
チッと達樹が舌打ちした。
「ひとりかくれんぼすんのに必要なんだよ」
「そうなんだ」
「あ、米はいいわ。あるから。他の頼むわ」
「他って……爪とか、髪の毛って私の?」
「お前に頼んでんだからそうだろう普通」
「ごめん。でも体液って?」
「唾液か、血って書いてあるな。それ全部こいつに詰め込むから」
言いながらぽんと彼は私にくまのぬいぐるみを投げつける。
「え、これ……」
それは私が達樹にあげたくまのぬいぐるみだった。
「これ、私があげた……」
「あ? 何?」
「…ううん、何でもない」
怒らせると手を出される事もあるので、私は瞬時に言葉をひっこめた。
“彩夏は、まだ付き合いたいの?”
秀君の言葉が頭をよぎる。
――……でも、私がいないと駄目だから。