15 * 元々チートな人なのに
引き続きグレイセルの進化? のお話です。
※ここからは2025/03/04時点のお知らせを掲載致します。
◇600万PVありがとうございます!!◇
ここまで読んで頂きましてありがとうございます。
興味のあるジャンルだな、好みだなと思って頂いてイイねや感想、評価がまだの方は是非お待ちしております。
そしていつものように誤字報告ありがとうございます、助かっております、作者性格的に雑な所があるので心から感謝ですw
先日の更新後、今までにない評価とブクマを頂きました。ありがとう御座います。
ただ、ただ!! 突然で作者ビビっております。
あらすじにも記載しておりますが、魔物はじめ廃棄素材も登場人物も世界情勢も行き当たりばったりで緩めで、ついでにご都合主義で設定し執筆しております。
これは無理な設定じゃないか、矛盾してる、同じ事前にも読んだ、と読者様がご指摘したい点は多々あると思いますがそこは本当に緩く暢気に構えて読んで頂くしかありませんので、これからも寛大な心でお付き合い下さい。
※この件につきましては活動報告に最新の詳細を載せましたので併せてお読みくださると幸いです。
※100話ごとにこちらのお知らせを前書きに記載しますので、重複読みにご注意ください。
まず物騒。
とにかく物騒。いらないでしょ、危険な【スキル】。
総合すると、ハルトに匹敵しない? 世界滅ぼしちゃえる気がするんだけど?
コワっ!!
私と関係が深い【スキル】なんじゃないの?! おかしいでしょ!!
って思ったら。
ソマ様が。
『君を守るための【スキル】が欲しいというグレイセルの気持ちに【核】が強く反応した影響だね。あと君に【スキル】と【称号】がないからサフォーニのおまけで【スキル】の強化が加えられた結果かな』
だって。
あー、私不可抗力なやつ。文句言ってもしょうがないやつねぇ。
願わくば使わずに済みますように。
「【調停者】というのは、【強制調停】の内容を聞くとわかるな」
「あ、それはね。確かにちょっと便利よね。【選択の自由】が勝手に発動して自由を奪われる確率を下げられるし」
「話し合いで折り合いがついてこちらに有利な結末になるならトラブルも少なくて済むしな」
「だね」
そうそう、この【スキル】は確かに私の影響がありつつ、そして私のためにもなる。素晴らしいものだよね。物騒にはかわりないけど。
けどね。
二つ。
変なのあった、よね。
【自由人の捕獲】と【肉の選定】。
何故。
「ああ、これはこういうのがあったらなぁと前々から思っていたのと、ハルトが持ってくる肉が一番ジュリを喜ばせるのを見るたびに嫉妬していたからではないか?」
「えー……それでこの二つ?」
「ククマットの外に出て魔物を見つけると『君は素材かな?!』と叫びながら突進するだろ? あれは止めてほしい。戦う力がないくせになぜそうなるといつも思うからな。新素材の為とはいえ、見境無さすぎて怖い。普段ククマットで大人しくしているのに、スライムを見ると豹変するし」
「……すみません」
「【肉の選定】は、胃袋を掴むと夫婦は上手くいくという母の教えもある」
それ、女の教訓じゃないの? とツッコミいれたけど、グレイは首傾げたわ。あれ、こっちの世界では男女関係なしなの?
『終わった?』
あ、セラスーン様の声。
「はい、終わりました」
『そう、よかったわ。あなたのものをグレイセルが引き継いでくれたなら、安心ね』
「はい、それは私も思います。他の人ではなくグレイでよかったと」
『そうね。……そして、グレイセル』
「はい」
『あなたは私を代々信仰する血筋だけれど、崇める神を変えられる? つまり、改神ね』
「えっ?」
それは、グレイが今まで一度も考えたことなどないこと。
というか、考える必要のないことだった。だから珍しく声が裏返ったんだと思う。
生まれた瞬間から、グレイはクノーマス家の信仰するセラスーン様を崇めて来たわけでしょ? いきなり宗教変えろって変えられる人って、いる?
グレイも一瞬何を言われているのか理解できない虚をつかれた顔をして、そして今は明らかに困惑してる。
でも、それについて説明してくれたのはソマ様。
『グレイセル、すぐにとは言わないよ、君のその敬虔なセラスーンへの信仰の中に、まずはサフォーニを入れて欲しいんだ』
「サフォーニ様を、ですか?」
『ああ。君に【核】の埋め込みをしたのがサフォーニだろう? 要はサフォーニは君に神の恩恵を与えたわけだ。すると必然的に君との繋がりは強くなる。それをそのままにするのではなく君がサフォーニを信仰することで君への干渉がしやすくなる。サフォーニはセラスーンと同じで無理に君に干渉する質ではないから君にとって不利になることなど全くないよ』
『……どうかしら。私はジュリに【選択の自由】を与えているから、あなたに干渉するための手が少ないの。けれどサフォーニならば今干渉している【彼方からの使い】がいないから、あなたの生涯が閉じるまでその素晴らしい力を支えるのよ』
「……セラスーン様は、神への信仰を変えることを許してくださると?」
躊躇いがちな、不安そうな声に聞こえた。
『ジュリのため、そして私のため、そしてサフォーニのためになるのだから、何を咎めるというの?』
深呼吸を繰り返すグレイは珍しい。
葛藤しているのがわかる。
信仰とは、生活の、人生の一部。
それを簡単に、変えられるわけがなくて。
でもね。
「……では」
とても、落ち着いた声。
グレイは、動揺している。
それでもそれを決して表に出さないで、そして微笑んで。
「全ての神々を崇め敬ってきたつもりです。ただ、これからはサフォーニ様を主と改め、その導きに従うことを誓います」
凛とした、迷いのない声。
『……ありがとう、グレイセル。共に【変革】をもたらすジュリの力となりましょう。あなたの生涯が閉じるその時まで、私があなたの【スキル】と【称号】を支えます。あなたはそれらでもってジュリに寄り添い、そして守りなさい、全てはその行いによって必ず良き方へと導かれるのですから』
「はい、サフォーニ様の仰せのままに」
『そして、私は、あなたの行い全てを赦します。だから恐れずに。迷わずに。生きなさい』
サフォーニ様が言った。
全てを赦すと。
とても広域で、深くて、重みのある言葉だと確信がある。
赦す。
全てを。
それがこの男、グレイセル・クノーマスにとってどんな意味があるのか。そしてどう影響するのか分からない。神様の存在がはっきりしている世界だけれど、それでも謎は多い。あのハルトでさえ、まだ知らないことが多いと言っていたし。そんな神様との契約。少しだけ、不安が過る。神の力など無くてもこの世界では脅威として注目されていた。そんなグレイが神から力を授かった。きっと、必ず今後を左右する、私達を。
でも今はそれを言葉にはしない。
グレイが『赦される』という一言に穏やかで晴れやかな顔をしている。
待っていた、言葉なのかもしれない。
「……仰せの、ままに」
そう言ったグレイがカッコイイ!!
私の彼はカッコイイ!! 最高!!
と、悶絶しそうになったとき。
『凄いじゃんお前!!』
あ。
『やっぱり面白いな!! 新しい【称号】産み出しちゃうんだもんな!!』
『お下がり! 能無し! ジュリに相手にされないくせに!!』
『お前どうやってここまで?! 連れていった他の神は?!』
『邪魔をしないで!! バカが! 私とグレイセルが真面目に話していると言うときに!!』
来た。
ヤバイのが来た。
『気に入った! これくれてやるよ、役に立つからさ!!』
「ちょっと?! なにする気ですか?!」
「なんだ?!」
【スキル】を与えます。
……付与……成功、獲得しました。
…………付与………成功、獲得しました。
あ、スッゴイ重たいヤツの気がする。なんか、付与まで間があったよね? 嫌な間があったよね!
しかも、二回言った。
【スキル:神々の祝福】
使用回数無制限。あらゆる窮地から無条件であなたを救い出します。神一柱の召喚によりあなたを窮地に貶める全てを破壊しつくしての救出となりますので使用状況はもちろんのこと場所にもご注意ください。
なお、ジュリがいる場合でも使用可能です。その時はジュリの身の安全の確保を行ってから発動してください。
※注意
グレイセルに神の選択は出来ません。ランダムに召喚されます。【全の神】または【戦の神】が召喚された場合は地上への影響は甚大となりお住まいの地域(クノーマス領全域)相当の土地が一瞬で壊滅します。この二柱召喚の際はまず破壊行動をしないよう説得するのを推奨します。
【スキル:神々の審判】
使用回数無制限。人間同士の争いに巻き込まれた際に大陸全土の各国の法律を無視して神の独断と偏見であなたに完全なる勝利をもたらす審判を下します。【天啓】による審判となるため人間は逆らえません。どんなに不利なことでもあなたにとって不都合な人間はその場で消されるなどの対応がなされるため消されては困る人物は事前に報告してください。なお審判を下す神は【神々からの祝福】と同様グレイセルには指名出来ませんのでご了承ください。
※【全の神】と【裁の神】が召喚されてしまった場合、その審判に相応しくない過度な裁きを人に与える可能性がありますので説得するか速やかに【滅の神】に連絡して代行してもらうことを推奨します。
「いらないな!!」
グレイが珍しく叫んだ。
いらないね、ホントに!
「……いいのか悪いのか分からねぇ【スキル】ばっかりだな」
ハルトが異変を察知してやって来た。結婚します報告もさっぱりと終わらせたわ、ちょっと切ないぞ。
そしてグレイに付与された【スキル】についてただただ苦笑するハメに。
「ジュリも危険物だけどお前も危険物かよ」
と、会うなり言ったハルトの顔が本当に嫌そうで、私たちが遠い目になるしかなかったことは察してほしい。
「つーか、あいつに気に入られたけどサフォーニに守られてるなら安心じゃん。余計なことされなくてすむぜ」
てゆーか……気づいてはいたけど、ハルトが神様をあいつとか呼び捨てにするんだよねぇ。凄いよね。ちなみに、あいつとは【全の神】のこと。ハルトが自力でスキル生成の能力を手にいれた時も面白いと放置するような神様。危機管理能力皆無の神様。
「あいつこそ【スキル:危機管理能力無限】とか持っておけよって思う。神の領域に干渉するヤバいやつとかだったらどうすんだって話だろ? だから他の神にがっつり監視されてんだよな」
と呆れるほどに酷い。
……一番偉い神様なんだよね?
「あとは……」
「なんだ?」
グレイは、何か思うところがあるのか言い淀んだハルトを真っ直ぐ見つめ言葉を待った。
「……お前、その【称号】【スキル】は他にバレないようにしろよ。良くも悪くも国の争い事に巻き込まれる」
そうだね、そうか。確かに。
これだけ物騒な【スキル】はハルトたち【彼方からの使い】とごく一部の人たちくらいしか持っていない。でも【彼方からの使い】は異世界からの召喚者で、保護されて自由が認められている。
でも、グレイは?
グレイセル・クノーマスは?
「この国の国王が知ったらロクなことにならねえな。利用することしか考えねぇぞ。ジュリに大きく影響されることをちゃんと理解してなきゃ国潰すことになりかねないって考えもしねぇだろうから」
そこだよね。
その事に尽きる。
間違った認識で利用しようとすること。
その先にあるのは?
私が身をもってそれを知っている。なんの力も持たない私が唯一対敵能力として得ているもの。それが【神の守護】。
これについてどういうものなのか探っている有力者は多い。
というか、既に間違った情報も出回っているとレフォアさんたちが以前教えてくれた。
「フォンロンの貴族の一部がジュリさんをフォンロン所属になるよう打診すべきだと言い出したそうです。ジュリさんの【選択の自由】はハルトさんに対抗する力になるだろうと」
もうね、頭を抱えたわよ。
フォンロンの貴族はハルトにいい感情を抱いていない人が多いと聞かされたことがある。フォンロン国王に直に影響を与える存在として脅威と見なされているって。
あの国にはヤナ様という宰相の奥さまで【彼方からの使い:鑑定士】がいる。そのヤナ様もハルトとは何度も面識があって、信頼を寄せていてなんでも相談しているらしい。ヤナ様の発言には少なからずハルトの影響があって、そしてそれが原因でヤナ様を『王宮で囲う』ことが出来ない要因になっているとか、なっていないとか。
仲間意識の強いフォンロンならでは、と言っていいのかもしれない。部外者であるハルトが先進的で合理的な意見を述べれば述べる程、距離ができるらしい。それがあってハルトはフォンロンとの付き合いは最近疎遠になりつつある。
でもさぁ、ハルトって、私の友達でしょ? 私とハルトを敵対させようってこと? それ、無理でしょ。それをしようとした時点で私かハルトの【神の守護】がその貴族に発動するよ……。
つまり、フォンロンでは間違った【神の守護】の情報がかなり出回っていて、定着してしまっている。それがどういう感じで、どんな内容なのかはわからないけれど。
そうなると、怖いのはグレイの得た【スキル】と【称号】。
私の影響を強く受けていて、私を守る事に特化しているけれど。
正しくその情報が伝わらない場合。
【スキル】だけが先行して広まってしまったら。
間違いなく、グレイは『兵器』だ。
内容から、人を制圧するに長けた戦争に有利なものにしか見えない【スキル】ばかり。
ハルトを敵対視しているなら、喉から手が出る程欲しい力になる。
私を得れば自ずと付随してくる『力』としてグレイが見なされてしまうかもしれない。
どうしよう。
そんなことは望んでいないのに。
ものつくりはもう少し後になります、お待ち下さい。
そしてハルトは何をしに来たんでしょうね。
今さらですが、ジュリに何かある、ジュリが困っているとハルトが現れますがこれもおそらく【スキル】かと。
【スキル:ジュリの助っ人】とか【スキル:同郷の奴は守る】とか、ネーミングに些かセンスのなさを感じる【スキル】な気がします。
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