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『ハンドメイド・ジュリ』は今日も大変賑やかです 〜元OLはものづくりで異世界を生き延びます!〜  作者: 斎藤 はるき


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15 * 余韻はいらないそうです

せっかくのプロポーズがなにやらおかしな展開になりつつあります。ご了承下さい。

 




 なぜこうなるの。

 この一生に一度の甘ったるいとっても大切な素晴らしい時間にそれを当ててくれなくても。


『時間が限られています、そういうことは後で二人で楽しみなさい』


 あ、はい。

 淡々とこなす神様でした。サフォーニ様、頼れるお局様キャラですかね?


 で、時間がないのはどうしてなんだろう?


『本来、この世界の人間が【スキル】を得るには、その【スキル】を嵌め込む空間を持っていることが条件になります。【スキル】の素となる【核】を受け入れる空間ですがこの世界の人間のほとんどが生まれた瞬間に得られるのです。それを活かすかどうか、それは全て我々神の采配次第ですが。そして【スキル】だけならばそれだけで与えられるのですが、【称号】はその者の人格、肉体など全てを表し影響を与えるため、そう簡単に適合するものではないのです。しかも【スキル】を埋め込む空間よりも更に広大な、【スキル】ごと包み一体化するための【称号】の空間は空のままでは大変不安定で、時間の経過と共に消滅してしまうのです。その代わり、一度【称号】が定着すればそれは【スキル】を支えるだけの強固なものとなりその者から生涯外れることはありません』


 凄いことがわかったわ。

 なるほど、【称号】は一生外れないって以前ハルトに教わってたけどそれと関係してるのね。

「しかし、【滅の神】サフォーニ様。それがなぜ突然私に?」

 そう、そこ。

 私にじゃない。

 グレイに。


『ジュリの許可がおりたからです』


 ……はい?


 グレイが私を見るけども、いや、ごめん知らない。

 いつそんなことに?

 そんな許可出した記憶がないんですけど?

 というか、許可持ってたの?!


『グレイセルの覚悟により、空間が生まれる兆候がはっきりと現れたのです。そしてジュリ自身にもこの地に根付くその覚悟が生まれ、それを見定め先ほどセラスーンがジュリの未使用のままだった、ジュリにどうしても埋め込み出来なかった、今までジュリの魂になんとか繋ぎ止めていた【核】の解放を試みました。そしてグレイセルに反応し、埋め込む空間が発現、成長を始めました。【核】に合わせた成長です。そしてそれが完全に自身から剥離されることをジュリが全く拒絶していません。つまりジュリが【核】の譲渡を許可しているということです」


 私、勝手になんかやってるらしい。


『そして、セラスーンはすでにジュリに【神の守護】を与えています、強大な干渉力のため、今他の人間に干渉し【核】を埋め込むという神と人間が著しく干渉し合う力は使えません』


 そうなの?!

 セラスーンさまぁ! そこまで私に構わなくていいですよぉ!! もっと加護が必要な人に力使ってあげてください!!

 って言ったらね。


『ジュリがいいの。今はジュリに構ってるのが楽しいんだもの』


 ……キュンとするわ、この神様。

 それだけ言って気配消しちゃったし。


『ということなので、私がその代役を引き受けました、よろしいでしょうか』


 はい、とても真面目な神様でした。従います。【滅の神様】っていうからどんなヤバイ神様かと思ったけどさすが最上位四柱、声だけなのに気品漂うし威厳のようなものがヒシヒシ伝わってくるわ。


『では、グレイセル。確認します。【核】は外せません。死ぬその瞬間まで、あなたを縛るものです。そして【核】はあなたにふさわしいものへ、あなたに埋め込まれた瞬間に変貌を遂げ定着しますがやり直しは効きません。更にジュリの【核】となるべき物でした、非常にジュリの影響を受けた【スキル】と【称号】になるでしょう。それはもはや呪縛となるかもしれません。その代わりあなたに絶大なる力をもたらすもの。……【核】を受け入れますか? 神々は、全会一致であなたへの【核】の譲渡と埋め込みを許可しています』


 え、神様全員?! 全会一致ってすごいわ!! というかそれ、重くない?!


「ちょっと待ってください?! それ今決めることじゃない気がしますけど?!」

「受け入れます」

「グレイ?!」

「言っただろう? 全て引き受ける。ジュリのもの何もかも。お前を愛していると。今さらジュリのものでいらないものなど私には存在しない」


 

 身も心もイケメン。

 さすがグレイだわ。


『では、よいのですね?』

「はい。お願いいたします。神々の全会一致の許可ならば、私にはその資格があると認めて下さったということ、それを拒むほど私は神々の存在を危ぶんだり不信を抱くような教育を受けてはいません。ジュリをこの世界に、この私に授けて下さった神々を信じず、何を信じましょう」

『分かりました、あなたのその誠意と偽りなき心に相応しい【称号】となることを私も祈り授けることにしま、え? ちょっと?』


 ん?

 どした?

 急に、おかしな雰囲気に?


『なにを! やめなさい! こら! セラスーン ()()()引っ込めて!! いやぁぁ! 最悪のバカが復活してきたぁ!!』

『なんでお前が出てくる! 下がりなさい!! 退きなさいってば!! 自力で再生してきたのね! 黙って消滅していればいいものを!』


 ……ええ?

 なんですか。


「なんだか、様子がおかしいな?」

「うん、おかしい」

 つい、グレイと手を握り合ってしまった。最上位二柱の神様が、キレてる。これ、ヤバイんじゃ……。

 そして突然。


『おーーーい!! 聞こえるか!!』


 は?


『俺ライブライト、【全の神】!、そっちで【全能の神】とか呼ばれてんだけど知ってるよな!?【核】の埋め込み俺にやらせろよ! なんかお前面白そうだし! な、なっ? 俺も許可したんだ、いいだろ?』


 え?

 今。


「【全能の神】、といったか?」

 言った。確かに。

 この世界の神様には格付けがある。私に守護を与えてくださったりクノーマス家が信仰しているセラスーン様は最上位の一柱。その下に更に階級が存在しておよそ五百存在する。そして、それらとは別の、たった一柱の不変の存在として位置する、人間が崇拝してはならない最上位の更に上、至高神と呼ばれる【全の神】。地上では【全能の神】って呼ばれる神様。

 なんだけど。

 ……想像してたのと違う。

 全然違う!!


『おーい、聞いてるかぁ?』

『おさがり! このクズ!!』

『いてっ!やめろサフォーニ! 復活したてで痛覚あるんだよ! いてぇ!!』

『普段役に立たないのだから消えておしまい! まだ消滅しているべきよ! それが世の中のためよ!!』

『ひでぇな! セラスーン!! 俺がこの世界作ったんだぞ?! そりゃないだろ!』

 ……神様ってこんな風に喧嘩するの。

 勉強になったわぁ。

 グレイも妙な顔してる。だよねそうなるよね。

『てことで!』

 なにが『てことで』なのか不明。

『俺にやらせてくれるよな!』


「え、嫌です」

 あ。

 口が勝手に。

 そして神様たちが黙ってしまった。

「ジュリ、神様にはもう少しこう、違う断り方が」

「あー……でも、遠回しで聞いてくれる神様じゃない気がするけど」


『ちなみに、なぜ俺じゃだめなんだ?!』

 え、それ本気でおっしゃってますか?!

「面白がってる時点で嫌ですね!! サフォーニ様は【核】というものの重要性をちゃんとグレイに話してくれて誠意がありますけど、【全の神】様はそういうの気にしてないおもちゃ扱う感じがしますから」

『い、いや、そんなことはないぞ』

 今、どもった?

「あと今のやり取り見てて出てきたのって、グレイが【称号】の責任を果たす人間だってわかったからじゃないですか? どんな【称号】でもちゃんとグレイは背負うってわかったから。それって【全の神】様としては面白い称号つけちゃってもいいんじゃね? と考えたりしてませんかね?」

『まさか、いや、違うぞ』

 声が上擦ってない?

「至高神なんですよね? 人間が信仰してはならないのは守護を与えては影響が強すぎるからとかそういうことですよね? もしかして好きに、勝手に、自由に称号つけられるんじゃないんですか? グレイの中で決まる私の影響を受ける【称号】とは全く別のものを付けられるとかじゃ? そもそも私とグレイに説明する気がありました? 勢いでしようとしてませんでした? わざと話を強引に進めてる感じしましたよ、サフォーニ様とセラスーン様を押し退けてまでやりたかった理由ってなんですかね? ああ、言いましたもんね『面白そう』って。ご自身でしっかり言ってましたね『面白そう』って、興味本位丸出し発言してましたね!」


 神様。申し訳ないけど、ここはひとつはっきりさせておきましょう。天罰上等! 言わないと後悔しますから!!


「何度もしてる話ですが。明日死ぬと言われて急に連れて来られて、色々悩んで辛いこともあって、大変な思いしてここまで来ました。それを支えてくれた神様は私セラスーン様しか存じません。そして短い時間でも誠意を見せてくれたのはサフォーニ様しか存じません。他の神様もきっと私を支えてくれてるんでしょうね。でもですね、【全の神様】、どう考えても私たちをおもちゃにするつもりですよね?」

『う、あの、その』

「なので、もう一度言います。嫌ですね!!」

 セラスーン様とサフォーニ様の高笑いが聞こえました。












 ―――ロビエラム国内、ハルトの屋敷にて―――

「あいつ、なにやってんだ……」

「どうしたの?」

 ルフィナは俺が頭を抱えたのを見て、首を傾げる。

 さっき、奇妙な感覚が俺を襲った。それはジュリの何らかの変化を表すもので、今までに感じたことのないものだ。そしてそれに引き寄せられるように、グレイの気配がそこに流れ込んで来て。

 何が起こってる?

 そう警戒した最中のあの騒ぎ。


 あいつ。

 まさかの自己再生しやがった。

 前も自己再生したことがあるけど、それでももっと時間がかかったのに。

 自己再生なのか? これ。

 ……全能神たる力か。

 再生能力を成長させたのか?


 ……バカなの?

 ライブライトお前バカなの?!

 そういう力は他にもっと使い途あるだろ! お前今さら再生能力成長させてどうすんの! 怒られて消滅させられたときにしか使わない能力伸ばすとか力の無駄遣いだ!!

「バカが、バカをやらかした……」

「……ああ、それ、あんまり聞きたくない話」

 ルフィナと二人、無我の境地。


 至高神。

【全の神:ライブライト】。


 俺を召喚するはずだった上位の神【創の神:シェッタム】からその座を奪い、しかも【称号:剣士】を付けてもまだ【核】の埋め込む空間にゆとりがあるからと、【勇者】【聖女】【聖人】の次にこの世界で重要視される【称号】の一つである【英雄】を。

「お? ちょっと広げれば入るんじゃ? しかも無理なく広がるぞ? こいつ、面白い」

 って。『面白い』の一言でホントにやった。

 以降、俺を遊び相手にするために神界を往き来出来る力を勝手に植え付けるわ、時々バカをやって消滅させられてるときに代理がいないと辛いからと別空間を創造してそこに本来現在はいらない筈の【称号】ぶっこんでくるわ。


 自由と迷惑の象徴。


「……飯食ったらちょっとジュリのとこ行ってくるわ、ちょうど頼み事もあったし」

「あ、食べては行くんだ?」

「うん、慌てても仕方ねぇし。セラスーンとサフォーニが揃ってればあいつの自由と迷惑も半減するし、大丈夫だろ」

「……いつも思うんだけど、神様にこれ言うのどうかと思うけどハルトだから言っちゃうけど」

「うん?」

「ライブライト様って……」

「なんだよ?」

「かまってちゃんも入ってるよね? いつも騒ぎを起こすのって、そういうことじゃない? 」

「……マジか」


 かまったほうがいいのか?

 今まで以上に?!


 なんだよ。


 神のくせに超面倒くせぇな!!


 そしてこっちの世界でもかまってちゃんって使うんだな!!




ブクマ&評価、感想、誤字報告ありがとうございます。


これでジュリに【スキル】【称号】が付かなかった理由である『空間』が生まれなかった原因が判明するのかどうか。


そして神様のかまってちゃん、面倒でしかない。


ものつくりメインのお話にこんなのいらない! と思う方もいらっしゃるかもしれませんがしばしお付き合いくださいませ。

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― 新着の感想 ―
[良い点]  >今までジュリの魂になんとか繋ぎ止めていた【核】の解放を試みました。そしてグレイセルに反応し、埋め込む空間が発現、成長を始めました。  ヤドカリっぽい(笑)  ライブライトの気配がし…
[一言] あ、最高神だから逆にボッチ……
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