表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
スライムマスター菊地 〜最強粘体生物伝〜  作者: 熊乃げん骨
第四章 王国大防衛戦線
51/57

第一話 始まりの封書

 城壁のできた村に住み始めてから三日後。

 城壁のある暮らしにも慣れ始めてきた頃その事件は起きた。


「キクチ様ぁー!」


 俺が日課の家庭菜園に勤しんでいると、エルフの族長エルザが走りながら近づいてくる。

 いきおいよく走っているため彼女の双丘は今にもはち切れそうなくらい揺れている。ここまでくるともはやエロいというよりありがたみすら感じる。

 エルザ教があったら入信してしまいそうだぜ。


「どうしたんですかエルザさん」


 俺は努めて普通の表情で返す。

 馬鹿な考えを引っ込めなくては。俺がそんなことを考えているなんて知られたらエルフのみんなに嫌われてしまうだろう。

 エルフって神聖なイメージがあるからな。そういう目で見るのは多分いけないだろう。


 しかしそれにしてはエルザさんの服は最近露出度が高めだ。

 それに距離感も近い。俺を信頼してくれるのはありがたいのだがあまりそうグイグイ来られると勘違いしそうになるのでやめてほしいものだ。


「えと、門番をしているアイリーンが村を訪ねた者にキクチさん宛の封書をいただいた様なんです」


「俺宛の?」


「はい。これです」


 そう言ってエルザさんは俺に一枚の封書を渡してくる。

 その封書はとても高級な物だと一目で分かる代物だった。手触りのいい高級な紙に、由緒正しそうなエンブレムの封蝋がしてある。


 いったい誰からのものだろうか?

 思いつく限りこんな大層な手紙を寄越してくる人物はブルムの爺さんくらいしかいない。

 しかしこの封蝋のエンブレムはブルム商会のものではない。どっかで見た気はするんだが……なんだっけか?


「まあ開けてみればわかるか」


 考えても分からないので俺はとっとと開けることにする。

 中には達筆な文字で手短に内容が書かれていた。なになに……。



『スライムマスターキクチ殿


 二日後の明朝、とある極秘の案件を依頼したく、エクサドル王国第三王子フロイ様と共に訪問させていただく。

 突然の訪問で申し訳ないが火急の案件ゆえ容赦していただきたい。


 尚、この訪問は極秘の為一切の口外を禁止するものとする。


 エクサドル王国騎士団団長 エッケル・プロムナード』



「は、はああぁぁっーーー!?」


 王子と騎士団長が来るだって!?

 意味がわからん! 俺なんも悪いことしてないよな!?



「いったいどうされたのですか!?」


 エルザさんが心配そうな顔で尋ねてくる。

 も、もしかしてエルフを村に住まわせているのがバレたのだろうか?


 この大陸では亜人や魔人は差別されている。亜人であるエルフをたくさん匿っていると知られたら問題になるかもしれない。

 王子が来るほどの案件ではないのだとは思うのだが、そんなの考えたって王族の考えなど俺に分かるはずもない。


「キクチー、なにかあったのー?」


 畑近くでお昼寝していたそらも騒ぎに気づき近づいてくる。

 もしかしたらスライムの事も問題にされるかもしれないな。


 くそっ。こうなったらやることは一つ。


「そら、今からみんなを緊急招集してくれるか」


「え? いいけどなにかするの?」


「ああ、対王国緊急会議を開く! 頭いい奴を全員集めろ!」


「おー! なんかたのしそー!」


 こうして一通の手紙から、再び俺の激動の日々が始まろうとしていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 他言無用って言っても人払いやら何やら結局話は漏れるしか無いんだな……。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ