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第十六話 推参

 危ねえ危ねえ。なんとか間に合ったみたいだな。

 俺は表情では平静を装いながらも内心では冷や汗を垂れ流していた。


 俺がロバートたちを見つけた時、ちょうど男が俺達特製の商品たちを捨てようとしていたのだ。

 しかし現場はまだ遠かったのでグランドウルフの足でも間に合わない。


 なので俺は申し訳ないと思いながらもスライムをそこにぶん投げたのだ。

 着地の衝撃で商品が壊れないようスライムには最大限サイズを小さくなってもらい、着地したあと大きくなって商品をキャッチしてもらった。

 傍から見たら突然スライムが現れたように見えただろう。


 後は少し離れたところでそらから降り、必死に息を整え余裕の表情で出ていった。

 よし、完璧だ。

 これぞ俺の思い描くヒーローの登場シーンだ。


「おいてめえ、スライムマスターだかなんだか知らねえがこれは俺達兄弟の問題だ。部外者が口出すんじゃねえよ」


 俺が心のなかで自画自賛していると、ロバートを足蹴にしている兄ちゃんがそう凄んでくる。へえ、あの二人兄弟だったのか。それにしては似てねえな。

 ていうか好き勝手なことを言いやがるな。

 俺が部外者だって?


 俺はロバートの兄らしい人物に人差し指を向け、言い放つ。


「兄弟だかなんだか知らねえが部外者なのはお前だろうが! そいつは俺のツレなんだよ、分かったらさっさとその汚い足をどけな!」


「部外者が偉そうに……! どけなかったらどうするってんだよ!」


 その言い方に俺の我慢は限界を迎える。

 もういいよな? 俺我慢したよな?


「どけねえってんなら、こうすんだよ!」


 俺は目にも留まらぬ速さでその男に近づくと右手を振りかぶり、そのまま思い切り平手をその男の左頬に炸裂させる!

 超高速で打ち出された俺のビンタは見事その男にクリーンヒットし、『パアアアアンッッ!!』とおよそビンタとは思えない破裂音を通りに響かせ男をぶっ飛ばす!


 吹っ飛んだ男は声を上げるまもなく俺の商品を捨てようとしたゴミ山に激突し辺りにゴミを撒き散らす。

 うわ、ばっちい。あれは臭そうだ。


 おっと、そんなことよりロバートだ。


「大丈夫かロバート。立てるか?」


「へへ俺っちを舐めないで欲しいっす。こんくらい余裕っすよ」


 どうやら軽口を叩けるくらいには元気のようだ。

 手を貸して立たせたが目立った外傷もない。擦り傷が数箇所あるくらいだ。


「そんなことよりこれからどうするんすか? この状況あんま良くないっすよね……」


 ロバートの言う通り今の状況は良くない。

 ボスがやられたことに腹を立てたのか、男たちは鬼のような形相で俺達を囲んでいる。


 とっとと倒してずらかるか。

 俺はそう思って彼らの前に一歩踏み出す。すると彼らの方からも一歩前に出てくる者がいた。


 それは顔をパンパンに腫らし涙目の男。そう、ロバートの兄だ。


 相当痛いだろうに彼は健気に足をぷるぷる奮わせながら立っている。手加減はしたが結構強めに叩いたというのに。意外とガッツのある人物のようだ。


「へ、へめえ! よくもやっへくれたな!」


 頬が腫れてるせいで面白い喋り方になっている。

 いかん、笑いをこらえろ。今はシリアスなシーンのはずだ。


「このほれ様をコケにしやがっへ……どうなるかほしえてやる!」


 さっきの一撃で俺の強さが分かったはずだというのになぜまだここまで強がれるのだろうか。


 この時、まだ俺は余裕があった。

 これぐらいの奴ならなんとかなるだろうと。


 しかしその余裕は次の言葉で砕かれることになる。


「お前みたいな弱小商人、俺の商会の力を使えばこの国で二度と商売出来なくすることなんて簡単なんだよ! いくらてめえのツレが強くてもそれを止めることは出来ない、むしろ暴力を振るってくれたほうがてめえらを追い出しやすくなんだよ!」


 ……ん?

 本当にそんな事ができるのか?


 俺は一縷の望みをかけてロバートの方を見ると、ロバートは顔を青くし呆然としている。

 どうやら奴には本当にそれをする力があるらしい。


 これってやばくないか?

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