2話 うちの子が苛められてる
ここはとある町の保育園。
今日も元気に子供達が通園してきます。
「おはようございます!」
「あ、高本先生!おはよう~!」
今日も親子連れを元気な挨拶でお出迎えです。
そこに…
「……おはようございます。」
「あ!沙理花ちゃんママ、おはようございます!沙理花ちゃんもおはようございます!」
「…………。」
いつもと通り沙理花ちゃんからは返事がなく、さっさと靴を脱いで保育室へ入って行く。躾どうなっとん。
「あの。高本先生、ちょっとよろしいですか?」
「はい!なんでしょうか?」
沙理花ちゃんママはおどおどした様子で高本先生に近づき話かけて来た。
「実はうちの子が苛められてるから保育園に行きたく無いって言うんです…」
そう言って顔色を伺うように沙理花ちゃんママは高本先生の方を伺う。
「話を聞くとお友達に悪口を言われたり、無視されたりするって言ってまして…」
「えーー!!本当ですか!信じられない!!」
高本先生は驚きの声をあげる。
「本当ですっ。うちの子は内気なのにそんなことを言われても言い返せなかったみたいなんですっっ。先生に相談しようとしたらうちの子は大丈夫って言って気丈に…うわぁあぁぁ。」
沙理花ちゃんママはものすごい勢いで話し出したかと思うと最後には泣き出してしまった。
大人のマジ泣きに今度は高本先生おどおどするしかなくなった。
「えっとえっと!ちょっとお話しを聞かせてもらっても良いですか?お家での沙理花ちゃんはどのような感じなのですか?(汗)」
「ひっく……。とにかく内気で……物静かで……。ひっく…。なのに、なのに…………。もう1人の先生がこの間、保育園ではおしゃべりをよくするって言ってきて。だけどお友達とコミュニケーションをとるのがちょっと苦手だって…だからトラブルになることがあるって……。まるでうちの子も悪いみたいに……。」
「えぇぇーーーー!!」
しばらく高本先生は頷きながら聞いていたが途中から首をかしげ最後には本日2度目となる驚きの声をあげた。
「なんで生田先生はそんな嘘を!!」
「うそ…?やっぱりあの先生はうそついてるんですねっっ!」
ポチッとな…高本先生にスイッチが入った。
「おしゃべりなんて可愛いもんじゃ無いですよ!!あれは言葉による暴力なのに!!それなのに自分の都合が悪くなるとだんまりもしくは泣き出すし!!コミュニケーション!?苦手どころじゃなく終わってますよ!!生田先生はなんで嘘付いたんでしょうか!?」
「!!!!」
ものすごい弾丸トークとその内容にショックで沙理花ちゃんママは動かなくなってしまった。
「まるでうちの子も悪いみたいにって言ってましたけど!!違いますから!!悪いの沙理花ですよ!!」
「わあああああああぁぁん!!」
高本先生の容赦ない発言に沙理花ちゃんママの涙腺は崩壊したようだ。
そこにようやく騒ぎを聞き付けた園長先生が部屋から飛び出して来て話を聞いて貰う事となった。
「成る程…そんな事があったんですね。うちの高本が大変しつれ…って!なにやっとんじゃ!!!!!」
話の途中から高本先生は園長室のブラインドを人差し指で警察のように下げ外の様子を伺っていた。
園長先生が思わず突っ込みを入れる。
「お前は!反省…」
「静かに!!」
高本先生は口に人差し指を当てながら、反対の手で手招きをした。
二人は不信に思いながらも高本先生に促されるように窓の外のをのぞいてみた。
その窓はちょうど園庭を見渡せるようになっていた。
「入れてよーーーー!!!!!!」
そこにはものすごい形相でお友達を追いかける沙理花ちゃんがいた。
「やだよあっち行けよ!」
「そーだ、そーだ!お前みたいなワガママなやつ嫌いだ!」
「何よーーーー!!!!ぶっ○すわよ!!●◇◎▼▽▲○∋◎▽〓!!!!!!!!」
見かねた生田先生が仲裁に入って来る。
「みんな、そんなこと言わないの。」
「◎▽∞¥ーーーーーー!!!!!!ゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃーーーーー!!先生が怒ったーーーーーーーー!!!!」
奇声を上げながら泣き叫ぶ沙理花ちゃんに驚きお友達は逃げ出した。
「みんな逃げた!!!!先生のせいよ先生のせいよ先生のせいよ先生のせいよ先生のせいよあ゛あ゛あ゛ああああああ。」
その様子を見て沙理花ちゃんママは絶句する。
「……。沙理花ちゃん、カウンセリングで見てもらった方がいいと思いますよ。ね!園長先生☆⌒(*^∇゜)v」
こうして今日もこんな1日が始まります。
沙理花ちゃん…自分の悪いところが理解できて無いので理不尽に感じてるでしょうね!ストレスで体調不良になる前にカウンセリングへGo!