私はまた、君に恋する
私が恋している人は、私の親友に恋しています。
いつもより早めの時間に家を出る。今日、あなたから話しかけてくれるのではないかと、かすかな期待を抱きながら。
もちろん、そんなことはないのだけれど。
私が恋する相手は、前空隼斗という。クラスのなかでも人気者で、誰にでも優しい。私なんかが釣り合う相手じゃない。
隼斗くんは、私の親友に恋している。私の親友は、千歳由紀といい、可愛くて、誰からも好かれている。
隼斗くんが由紀に恋するのは、予想していたことだった。
私は授業中も隼斗くんのことを見つめている。いつか私の方を見てくれるのではないかと期待を抱きながら。残念ながら、隼斗くんがいつも見つめているのは、由紀だが。
由紀が今日、隼斗くんに告白されたと無邪気に報告してくる。
私の恋は、かなわなかったけれど、それでも、
私はまた、君に恋する。