獣人と漁業
次から空気が変わります。
ノウラに案内されて、今は川の浅瀬にきていた。
「それで、やりたいこととは?」
「魚を捕まえようと思って」
今朝の食事、正直に言ってしまえば美味しくなかった。 量も少なく、それでも必死に皆全部食べていた。 つまり少なくとも子供たちには十分な食事が出せていないんだ。 とくに肉類がすくなかった。 豚や牛は同族? かもしれないから魚なら食べてもらえるだろうし、どこさへきさなんちゃらとか体にいいって聞くし。
「魚を捕まえるとはいっても、我らは泳げない。 それに魚はすばやいから捕まえるのが困難だ」
「素手で捕まえようとすればね。 でも、ちょっとした工夫で捕れるんだよ」
マサムネはノウラに指示をして、紐と竹を大量に用意してもらう。
「これでいいのか? あとはなにをすればいい?」
「じゃあ竹を切ってくれるかな。 同じ大きさに」
「わかった」
と、そこに三人の子供たちがくる。
「なにしてるのー?」
とレフ。
「楽しそう!」
とセン。
「混ぜて混ぜてー!」
とライ。
「元気っ子たち、よくきたね。 じゃあ俺と一緒にやろっか」
「わーい!」
「やったー!」
「やるやるー!」
しばらくして竹を切り終わったノウラも参加して、五人で罠を作り始める。
「竹にこの紐で作った網を通して、余った紐で結ぶ。 反対側に紐をつけて、それを棒につける。 これをあと上流から入れて、流されないように棒を固定する。 あとは泳ぎ疲れた魚が竹の筒に入るまで待つ!」
「おおー!」
「すごい!」
「なんと!」
「こんな方法が……」
四人がそれぞれ感想を言ってくれる。
「お姉さん! これだとお魚入ったかわからないね!」
「お魚捕れてるのー?」
「皆で食べれるくらい捕れる?」
「そうだね。 こればっかりは運次第かもね」
そういうとノウラが手をあげる。
「では魚がかからなかったときを考えて木の実を取りにいこう」
「ノウラナイスアイデアだね! 元気っ子たちは?」
「いくー!」
「いくー!!」
「いくー!!!」
よーし! 木の実狩りに、いくぞー!!
だが、このときマサムネはまだ知らなかったのだ。
本当に狩られるものがどちらなのか。