獣人との出会い3
この話から正宗の表記がマサムネになります
「皆のもの! この人間マサムネが我々をエルフの脅威から救ってくださる英雄である! 以後宜しく頼む!」
あれから1日が経ち、今は長老がマサムネのことを獣人全員に紹介してくれた。
「なお、世話係りはノウラに任せる! 最後に、マサムネから一言!」
咄嗟のことに、上手く声がでないマサムネ。
「あ、えっと……! よ、よろしくです」
その声に合わせて村の人たちが雄叫びをあげる。
このノリ嫌いだわぁ……。 なんか俺だけアウェイじゃん。
それから宴があって、マサムネは村の人たちに色々聞かれたり願掛けされたり色々されて、やっと解放されたときにはすでにぐったりとしていた。
「そろそろ帰るか」
そんなときに助け船を出してくれたのはノウラだった。
「そ、そうだね! 帰ろう帰ろう!」
って、どこに? 俺家なんかないんだけど。
「お前はうちで預かることになっている」
「ノウラの家?」
「いや、孤児院だ」
「そうなんだ」
話を聞くところによると、エルフと獣人、ドワーフは三つの種族でこの森の勢力争いをしていて、森のすべてを侵略するまで戦いは続くらしい。
そして獣人は森の中では一番弱く、エルフから集中的に攻撃を受けているという。
「私の親もエルフに殺された。 孤児院にいる皆の親もだ。 戦士として立派な最後だと大人は言うが、やはり少しだけ納得はできない」
だから、俺を見つけたとき襲ってきたのか。 自分の親の仇のように。
ノウラが孤児院に向かう途中に話してくれたこの話は、孤児院にいる皆には秘密だそうで、決して話さないでと口止めされた。
「ついた。 ここが孤児院だ」
そして到着したのは石で造られた建物の廃墟だった。
屋根は半分なく、壁もボロボロ。
昼間は暖かいとはいえ森の夜はかなり冷える。
こんなところに子供を寝かせてるなんて、獣人はそうとう追い詰められてるんだな。
「ここがお前の部屋だ。 皆もう寝ているから静かにな」
「ねぇノウラ」
「なんだ?」
「マサムネって呼んで?」
「なぜ?」
「なぜ、って。 んー、いちいちお前、とか呼ばれるのが地味に傷つくから?」
「……努力する」
ノウラが自分の部屋に戻り、一人になったところで部屋の探索をする。
ベッドと机、窓(ガラスが入っている)、ふむ。 たぶんこの建物で一番良い部屋だな。 なんか俺のために使わせてるのが申し訳なくなる。
ふと窓を見つめると、ガラスに反射する自分の顔を見る。
生徒手帳で見た顔とはかなり違うなぁ……。 なんつうか、かわいい!! やべぇ! 俺めっちゃかわいいじゃん! 超絶美少女!!! やべかわっ……。
窓に反射する自分をべた褒めしてるところを、なにか用があって扉を半分開けたノウラに見つかったのだった。
「わー!! どどどどうしたの!?
ノノノノノウラ!!?」
「そういえばまだトイレとか教えてなかったと思って、戻ってきたのだが……。 ま、マサムネも疲れているんだよな、うん。 私はなにも見てないから。 まるで男の人みたいに乳房を揉み……」
「もういいから!!! 俺が悪かったから!!!」
くっそ恥ずかしい!!!!
「今日はゆっくり休め。 明日説明するから。 トイレは部屋でて左の突き当たりだ。 おやすみ」
「お、おやすみぃ……」