序章 ~龍少女~
よろしくお願いします。
日々冒険者が生まれる町コクリア
その近郊、コクリア街道の中程に
一人の行商人とその下僕が途方に暮れていた。
晴天の霹靂ーーー
行商人は黒焦げになった
荷馬車の残骸を見ながらそう思った。
行商人は途方に暮れ空を見上げた。
雲一つない晴天、今雷が落ちてきたとは思えないような
空模様だった。
しばらくそうしていると、ふと空を横切った者が居た。
行商人は目を見開き町に向かって走り出した。
少し遅れて下僕も続いた。
・・・空の上には龍が居た。
ーーーーー
同時刻、空の上にてーーー
一匹の龍が空を飛んでいた。
その龍は山の頂まで飛ぶと、そこに降り、翼が生えた人になった。
空族ーーーこの世界で一番強い種族。
姿は龍の形態と人の形態を持っており、
人の時には腰のあたりから翼が生え、尾、角が生えている種族。
歴史の転換点に現れると言われている種族がそこには居た。
空族の少女、シエルは山の頂からを見下ろしていた。
「あれが“町”か・・・」
空族が前に姿を現してからもうどれくらい経つんだろう?
千年か、もっと前か・・・
ふと思う。
滅多に姿を表せない私達が現れたらどう思うんだろうな。
とりあえず無駄に目立つ角とかを何とかするか。
『変化』
姿を変える魔術
私達の種族は多種族の前に現れることは滅多にない。
だから知識では知っているが見たことがないという者が多い。
知らないことを知るのはとても楽しい。
あそこにはなにがあるんだろう、
私は町に向かって走り出した。
読んでくださりありがとうございます