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ごんぶとエルフ転生~人間に搾取された異世界で魔王になった~  作者: 白咲犬矢
ごんぶとエルフ魔王誕生編
8/14

Part8 ごんぶとエルフvs魔王デプル

魔王様ご出陣?(´・ω・`)

 魔王国の首都タルンドルは、3km四方を高さ30m、厚さ10mの壁に囲まれた巨大な城郭都市で、

幾度の戦争で破壊されるたびに修復、補強、改修を重ねてきた。

 外壁の上部には、いくつもの塔があり、強力な魔力砲や、ゴーレムが配置されている。

 中央にそびえたつ西門は、強固なミスリルで作られており、今までどんな破城槌で攻撃されても傷一つついていない。

 フットル将軍と魔王デプルは、西門内部に設けられた指令室に詰めていた。


「将軍閣下! 街道よりエルフが姿を現しましたっ! エリーゼ様の姿は…… 確認できませんっ!

それと、エルフの首にエリーゼ様のものと思われるペンダントがありましたっ!」


 ガタッ!


 報告を聞いたフットル将軍は驚いて椅子から立ち上がった……


「まさかっ! エリーゼが…… そんなっ! 望遠鏡を貸せっ! 私が直接確認する!」


 フットル将軍は部下から望遠鏡を奪い取ると、指令室の窓から敵の姿を確認する。

 エルフの首から下がっているペンダントを見ると、間違いなくエリーゼに持たせているペンダントだった。

 魔王国の王家に連なるものしか持つことが許されない特別なものであり、エリーゼ個人を表す紋章が象られている。

 身分を示すための重要なアイテムであるため、これを手にすることができるのは本人か"婚姻を結んだ者"以外ありえない。

 それ以外の者が手にしているとなると"無理やり奪った"と、考えるのが妥当だろう。

 鬼の形相で震えながら望遠鏡を覗くフットル将軍の口元から血が滴り落ちる……


(おのれぇ、忌々しい糞エルフめっ! エリーゼを打擲するだけでは飽き足らず、弄んで殺したのかっ!)


「フットルよ、落ち着くのだ…… まだエリーゼがやられたとは限らぬ、それに敵は一人でのこのこやってきたのだ、

かえって好都合であろう?」


「はっ、魔王様、申し訳ございませんでした……娘の事を思い、取り乱しました……」


 フットル将軍が顔を上げると魔王デプルから黒いオーラが吹き荒れているのに気が付く。

 魔王専用の鎧は、ブラックナイトドラゴンの鱗で作られており、装着者の怒りと漏れ出る魔力を黒いオーラとして顕現できる漆黒の鎧だ。

 腰にさげている剣は、魔剣グラムであり、150cmを超える長剣だ。その一撃は大地を割り、鉄をも切り裂くといわれている。

 そして、魔王の頭上にきらめくサークレットには、エンシェントホーンドラゴンの角が取り付けてあり、

魔王デプルの膂力をさらに数倍に高めることができる。

 この装備で出陣するたびに増える英雄譚は数知れず、酒場で吟遊詩人が語るネタが尽きたことはないという。


「エリーゼはワシにとっても可愛い姪だ……部下を愛し、部下にも愛されておる……

ワシの誕生日には、毎年自分で育てた花と、手作りのケーキをもって『おじさまっ、誕生日おめでとう』と言ってくれおる……

そんな心優しい子に手をだした愚かで罪深いエルフに手心を加える必要等あるはずもなかろう?」


 後ろに控えていた侍女達がシクシクと泣きだす。

「エリーゼ様、おかわいそうに……エルフ許すまじ!」


 王城に足を運ぶたびに、エリーゼは侍女たちにもスコーンや美しい薔薇の花を手渡し、ねぎらっていたのだ。

 新人が仕事を失敗した時にはしっかりとフォローしてくれるし、『おじさまっ、叱らないであげてっ!』と、

 魔王デプルに直談判までするので、侍女たちからの人気は天井知らずだった。


「フットルよ、埋設爆裂魔石の使用を許可する! 西門の外を火の海にして構わんっ!

起爆後は魔力砲と魔力銃の一斉射撃を浴びせてやれ! なに、心配はいらん、それでもだめならワシが潰す!」


「はっ、仰せのままに……」


 フットル将軍が指令室に備え付けてあった魔石柱に手をかざし、浮かび上がった文字をなぞった瞬間、西門の外で轟音が鳴り響く。


 ズドォン! ズドォン! 


 ドムッ! ドムッ! ドムッ! ドムッ! 


 ドゴォォォオーーーーーーーン!


 猛烈な振動と破砕音が城壁を揺らし、巻き上げられた土や石がパラパラと降り注ぐ。

 最初の爆発は左右から中央に向けて、石を含んだ土を斜めに吹き飛ばし、次の爆発は等間隔に連続して地表付近を移動していき、

最後は中央付近に30mクラスのクレーターを作るほどの大爆発を起こした。

 魔石が豊富にある魔王国だからこそできる仕掛けであり、人族の侵攻を退けるための最終手段の一つであった。


「やったかっ!?」


「すげぇ、これなら跡形ものこらないんじゃないか?」


「気を抜くなっ! 観測班! 敵の反応は焼失したか?」


 巻き上げられた土煙が徐々に晴れていくと、爆発の中心であろうクレーターの中にエルフの姿があった。

 すさまじい爆発の衝撃で、衣服こそボロボロになっているものの、ダメージを受けたようには見えない。


「くそっピンピンしてやがる、なんて硬さだっ! 人族なら数百の単位で吹き飛ぶ程の攻撃だぞっ! っ! 将軍閣下! ご覧ください、エルフが戦闘意思を示しましたっ!」


 部下に促されたフットル将軍が小窓から外を覗くと、クレーターの中心でエルフが掌を広げて両手を頭上に高々と掲げていた。

 この動作は魔王国において"この手を振り下ろした時がお前の最後だ"と言う意思表示であり、

戦時中にこれを行うと言うことは、相手に対しての正式な宣戦布告であった。


「……魔力砲射撃用意! 十分に引き付けてから一斉射撃にて撃破せよ! 

それと塔の観測員に"両手を上げさせろっ"我ら魔王国軍の強固なる意思を見せつけてやれっ!」




 ハーゼルは突然地面が吹き飛んだ事に驚きつつも、エリーゼとの約束である"攻撃を行わい"事を胸に抱きつつ、

降伏を示すために両手を高らかと掲げて佇んでいた。


「まじか~、やっぱりエリーゼさんを連れてこなくて正解だったね、地形が完全にかわっちゃってるよ、

でも、こうやって手を上げて降伏の意思を示せば攻撃されないはずだ」


 しばらく両手を掲げていると、追加の攻撃が来なかったので、ゆっくりと西門に向かって歩き出す。


「あっ、あれっ? 塔の上の人たちも両手を上げてる…… 俺の意思が伝わったんだ!」


 もう攻撃されないという安心感から、自然と笑みがこぼれたのもつかの間、

塔の上の人たちの手が一斉に振り下ろされたと思うと、一斉に強烈な魔力砲攻撃が始まってしまう。


 キュィィィーーーーンッ ドパァァァァァアアアン!


 タタタタッ! タタンッ! ドッタッタッタッタッ!


 ズドム! ズドム! ズドム! ズドム! ズドム!


 魔王軍の一斉射撃はすさまじい閃光を放ち、ハーゼルに次々と直撃していく。


「砲撃の手を緩めるなっ! ゴーレムによる魔力爆雷の投下開始っ!」


 ヒュルルルルルッ…… ドゴォォォオーーーーン!


 通常であれば、人族の軍隊数戦と戦うための砲撃が、ハーゼルただ一人に集中して浴びせられるが、

強力な魔力収束砲の光線は、ハーゼルにあたった瞬間に溶けるように体の表面をなぞり、後方に流れて着弾し、大爆発を起こす。

 雷属性の魔石を弾丸として撃ちだせる魔石速射砲の弾丸は、ハーゼルの体の至る所に着弾した瞬間、

強烈な雷鳴と閃光を放ち、爆発四散するか、鋼鉄にでもはじかれるように後方にそれて飛んで行った。

 本来はワイバーン騎兵を蹴散らすはずの対空魔力砲も、この時ばかりは台座から外され、ゴーレムによって運用されているが、

この日は地形を変えるだけにとどまってしまう。

 樽の中に金属の玉と爆裂魔石を詰め込んだ魔力爆雷は、本来であれば一撃で数十の敵を足止めすることができるが、

至近距離で爆発したにも関わらず、ハーゼルは両手を掲げたまま目をつぶるだけで避けようとすらしなかった。

 

 ようやく西門までたどり着いたころ、砲撃や爆雷による攻撃がやんだ。

「ふうっ、ようやくここまでこれたよ、あとはこのペンダントを見せて、エリーゼさんの無事を伝えれば解決だよね。

でもどうしよう、門番とかいないし、とりあえず呼び掛けてみようかな、ごめんくださーーーーい!」




「しょ、将軍閣下、敵エルフがっ……西門に到達致しました……これ以上の砲撃は行えませんっ!」


「こちら観測班、目標いまだ健在、両手を上げて門の前での停止を確認!」


「くそっ、エルフめっ! 我々の攻撃など、何の痛痒もなかったとでもいいたいのかっ!」


「っ! 将軍閣下! 敵エルフが下で叫び始めましたっ! "ゴーメンク・ダッサーイ"と叫んでおりますっ!」


「なにっ!? それはっ…… まっ、魔王様っ!」


「うむっ、ワシにも聞こえておる。ゴーメンク・ダッサーイとはまた、恐ろしい事をいいおるわ、

……たしか、エンシェントドラゴンが攻めてきたときにそう叫んでおったな、念話で『お前の地位を簒奪する』と言っておった」


「魔王様……あのエルフは龍族の化身なのでしょうか? それであればあの強さにも納得が"バゴォオン!"何事だっ!?」


「たっ、大変ですっ! 敵エルフが西門を吹き飛ばしましたっ!」


「そんな……馬鹿なっ! 西門はドワーフに作らせた総ミスリル製だぞ! ドラゴンの一撃とてそうやすやすとは……」


「もうよい、フットルよ、総員退避命令を出せ、龍族の化身ならばこのワシ自らが相手をしようぞ」


「しかしっ、魔王様の身に何かあってはなりません、我々と共に退避してくださいっ!」


「ならぬっ! 我々魔族は魔力こそ高いが、肉弾戦では他種族に劣る…… そなたは城壁に詰めている兵士を逃がせっ、

なに、心配は無用だ、ワシにはこの鎧と魔剣がある……いざとなれば国民の命と引き換えにこの命ぐらいくれてやってもよいわ!

さぁ、皆の物動けっ! あまり時間は稼げぬぞっ!」


 そういうと魔王デプルは指令室の窓から飛び降り、西門の内側に降り立った……




「ごめんください、ごめんくださーーーーい!」


 ハーゼルがいくら呼び掛けても門の向こうから声が聞こえることはない。かわりに慌ただしく動く人の気配がするものの、

門が開く気配はなかった。


「これって、門が厚すぎて俺の声が聞こえないパターンじゃないのかな? どうしよう、ノックでもしてみようかな?」


 バゴォオン!


「あっ……門が…取れちゃった」

(やばい、どうしよう!? この高そうな門を弁償しろって言われても無理だ、もう逃げようかなぁ)


 ハーゼルがノック(裏拳)して壊した門は、幅6m、高さ15m、厚さ50cmの総ミスリル製で出来ており、

その硬さゆえに、強烈なノック(裏拳)で城壁の一部ごと、ひしゃげずに外れてしまっていた。

 重さ50トンほどの門を何とか復元しようとして、城壁に押し付けるたびに、その上部の指令所や塔の上では、

猛烈な揺れが引き起こされており、至る所でパニックが発生していたのだが、ハーゼルはそんなことを知る由もなかった。


「そこまでにしてもらおうか、エルフ…いや、龍族の化身よ!」


 門を持ち上げて右往左往していたハーゼルに声をかけたのは、魔王国の王、デプルだった。

 漆黒の鎧に身を包み、手には美しい意匠が施された長剣を持ち、頭上には立派な角まで生えている。


(間違いない、この人絶対に魔王だよね、やべぇぇぇぇ、門を破壊しちゃったからめっちゃ怒ってるよ、

だって"真っ黒なオーラ"が体から噴き出るくらいブチ切れてるもん)


「チガウ オレ モン コワシテナイ リュウゾクチガウ オレ エルフ」


「ほぅ? 念話ではなく言葉を話す龍族とは珍しい、その体つきはエルフの物とは…いや、

エルフにもごく稀に先祖返りでそのような体つきになる個体もいたな……」


「えっ? 俺以外にもごんぶとエルフが居るんですか?」


「……そなた、ずいぶんと流暢に人語を話すではないか!」


(しまったーーーーはめられたっ! どうしよう、もう言い訳できないよね、こうなったらちゃんとあやまって、この門も弁償しなくちゃいけないよね)


「俺がこの門を壊しました……弁償します、ごめんなさい……」


「なっ、なにっ!?」

(こっ、このエルフ今なんといいおった!?"ベンショー"だとっ!? たしか龍族が作るひき肉料理が"ベンショー"だったはず…まさかとは思うが、こいつは食人種族の可能性もあるかもしれぬ)


「あのっ、俺が壊したので弁償します。魔王様でいいですよね?(あなたが魔王様ですか?)」


「ちょっとまったぁぁぁあ! いや、待ってくださいっ! いきなりベンショーは困りますっ!(ひき肉にされるのは困る)」


「いえ、弁償しますってば……」


(こやつは鬼かっ!? なぜワシをひき肉なんぞに……ワシが太っていておいしそうだからなのかっ!?)


「たのむ、ワシはまだ国民の生活を守らねばならぬ! ベンショーされてしまってはそれが叶わぬ!

そっ、そうじゃ、そなた何か欲しいものはないのか? ワシに用意できるものなら何でもよいぞ?」


(うわ~、この人超いい人だよ、国民の生活ってことは、門を修理する職人に仕事を与えるって意味だよね、

欲しいものくれるってことは、もしかして誤解もとけたのかな? だったらまずは……)


「着るものが欲しいな……」

(俺の服、さっきの攻撃でズタボロになっちゃってあちこち丸見えだもんね、魔王様の前で失礼だよね)


「きっ、切るものですかっ!?」

(こやつは人間と同じく情けも容赦もないやつじゃ! 魔剣を手渡した瞬間、ワシをベンショーするつもりかっ!)


「違います、それです、魔王様も着ていますよね?」

(たぶん鎧の下に服とか来てると思うんだけ……)


「……これかっ、よいぞ、しばし後ろを向いておれ、侍女を呼ぶでな……なに、心配はいらぬ、後ろから切りかかったりはせぬ」

(やはりこやつは龍族の化身であったか、仲間の鱗で出来た鎧を奪い返しにきたのかっ、

魔王の意を示す鎧ではあるが仕方あるまいっ)


「はっ、はい、お願いしますっ!」

(侍女が来たとき、こんなボロボロであちこち見えてる服だとまずいもんね)


 ハーゼルが後ろを向くと、魔王デプルが侍女を呼び出し、何やら後ろでゴソゴソしており、侍女の話し声が聞こえる。

 『魔王様、本当によろしいのですか』とか『構わん、奴にこれを渡せ』というやり取りが終わると、

 魔王が「ほらっ、これで良かろう、持っていくがよい」と声をかけてきた。

 ハーゼルが振り向くと、鎧を脱いだ魔王がたっていたのだが、あまりの変貌ぶりに驚いてしまう。


「まっ、魔王様、そのっ、何というか……"エリーゼさんみたいですね"」


 ハーゼルが驚くのも無理はない、鎧に収まっていた魔王は筋骨隆々な美男子だと思っていたのに、

鎧から解放された魔王は見事な樽型で、日本の力士を思わせる体形だったからだ……

 驚いたのはハーゼルだけではない、龍族の化身と思われるエルフの口から、エリーゼという名前が出たことで、

恐怖で忘れていた怒りが沸々とよみがえってきた。

 しかし、今はハーゼルとの約束を果たすことを優先し『早くそれを着るがよい』と、一言だけつぶやいた。


(あれ? これってさっきまで魔王様が着てた鎧だよね、すぐに服を用意するのは無理だったのかな?)


「この鎧、少し小さい気がするんですけど……」


「問題ない、装着者に合わせて大きさが変化する魔法が付与してある、聞きたいことがあるから早く着るがよい」


 しぶしぶハーゼルが鎧を装着すると、鎧が一瞬光ってサイズ調整をしてくれた。


「ふむ、正式に鎧の主として認められたようじゃな、流石は龍族の化身といったところか……

その鎧に認められたと言うことは、そなたには魔王の素質もあるようじゃな……」

(ワシがその鎧の主としてようやく認められたのは、僅か2年程まえだというのにな…それより今はエリーゼの安否じゃ!)


「ところで龍族の化身よ、我が魔王軍の先遣隊隊長であるエリーゼはどうした? 隠し立てするでないぞ?

そなたに連れ去られたのを隊員が見ておる! 正直に話すのじゃ!」

(最悪の事態が起こった場合はこの命に代えてでも一矢報いてやろうかの)


「あっ、エリーゼさんの事を忘れてたっ! 彼女は今街道で休憩してもらってますよ! 安心してください!

あと、俺は龍族の化身じゃありませんってば、エルフのハーゼルです!」


「なっ! きゅっ"休憩"じゃと!?」

(まっ、まさかこやつ、エリーゼを"手籠め"にしおったかっ!)


「はい、エリーゼさんはこちらに来たがっていたみたいですけど、俺が無理やり頼んで"休憩"してもらいました」


 ハーゼルはこの時失念していたが、魔王軍にとっての"休憩"とは、男女の営みを示す隠語であったため、

魔王デプルは壮大な勘違いをしたまま泣き出してしまった……


「うぉ~ん、エリぃじぇぇぇえ~ ワシがふがいないばかりに、お前の純潔を守ってやれなかったぁぁぁあああ(泣)」


 それをみたハーゼルが誤解を解くために、その場から光の速さでエリーゼを迎えに行き、

泣きわめく魔王デプルに二人がかりで小一時間程説明をする羽目になった。

 この騒ぎを聞きつけた魔王の配下が続々と集まってきて、侍女たちの間では『エリーゼ様に春が来た!』と、

噂話があっという間に広がり、物陰で中途半端に話を聞いていたエリーゼの父であるフットル将軍は、

魔王デプルの『お前の純潔を~』のあたりで気を失って倒れていたそうだ。


 この日の戦闘は、魔王軍の一方的な攻撃のみが行われたこともあり、誰一人として負傷者を出すこともなく終わったのだが、

エリーゼの父であるフットル将軍だけは心に深い傷を負ったようだ。

 吟遊詩人がこの戦いをエルフが『魔王の姪に恋をしたエルフが直談判しに乗り込んできた』とうたいだしたので、

それを聞くたびに"あのエリーゼ様にも春が来た"と、町中で噂話に花が咲いた。

 エリーゼの隊員たちも、エリーゼの口から直接何があったのかを聞き、あるものは黄色い声援をあげ、

あるものは悔し涙と共に『エルフゆるすまじ』と、怨嗟を漏らしていた。


 その頃ハーゼルは、エリーゼを救い出した功績と、攻撃を受けたことに対する謝罪として、

魔王城の一角で開かれている晩餐会に呼ばれていた…… 

いろいろと壮大な勘違いを重ねております(´・ω・`)

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