8話、葉月の吸血鬼
水虎(♂)捕獲と吸血鬼の左手紛失から2日、夜道は弓子の家に居ついていた。
弓子が大学に行っている間に、夜道は炊事洗濯等の家事をこなす。弓子が帰って来ると家は整理され、弓子の趣味に沿った部屋メイキングがなされている。ただ、弓子はすぐに気が付いた。
「あんた、私の下着洗濯したわね?」
「…大丈夫影で全部やったから、俺は触ってないよ。安心して!」
白い歯を輝かせて微笑む。パコーーン、秒速3メートルの右ストレートが夜道はの頬を殴りぬける。
「ぬぁ、ぬぁぁぁにぃぃぃ⁉︎この、この夜道がァァァ!ぅぁぁああああ!!」
「あんたは私を、怒らせた。」
洗濯だけは弓子がやると言うことで話は済んだ。
「ところでさ、夜道。〈吸血鬼の左手〉は大丈夫なの?それに庶孤羅のやってる〈妖怪復活〉とか…」
「いやぁぁ…マズイねぇ。なぁにがマズイって、鴉丸に頼んで烏天狗警察総動員で庶孤羅と吸血鬼追ってんのに手掛かりゼロだと言う現状よ。過去数百年の資料も読んだけど、庶孤羅の初登場が21世紀入ってからで…吸血鬼は…先祖の方は国際指名手配されてたから資料あるけど十五夜秋月に関してはゼロだった。」
「先祖はどんな吸血鬼なの?」
「超大食いで、ポーランドの吸血鬼は普通1月に1mlのペースで飲むんだけど、あれの先祖は1週間に1人干からびさせるペースで飲むらしい。眷属とかもつけないタイプで、手がかりはゼロ。家族がいた記録はあるけど名前の記載とか、そういう手掛かりはなくて、あいつの血液から撮ったDNAが一致したから判明したらしい。ハーフだと人の場合のが多いんだけどあいつはスゲーうまく混ざってるらしくて、日光への免疫と…不死身、不老不死の力を備えもってるみたい。因みに祖父の名前はオーガスト、他の吸血鬼からはオーグって呼ばれてるらしい。」
「オーグ……まさかね。」
「心当たりがあるの?」
「いや、うちの大学の医学部の教授の名前が大愚 明日十っていうのよ……………ビンゴ…かしら。」
「殆どビンゴのリーチ…王手って感じかな。明日俺も大学に行くよ。弓子の影に潜んで着いてくから見つけたら教えて。」
「わかったわ。」