7話、水虎戦線③
埃、塵、コンクリート片、様々なものが舞い周辺は灰色となる。秋月《水虎》は立ち上がった。体の傷はもうない。夜道を探すがどこにも見当たらない。スパン、秋月の頭が背後から切断される。水虎は驚き振り返る。瞬間、左腕が切断され宙を舞う。驚く間も無く第三撃目、右腕が肩ごと切り落とされる。抑えようにも手がない。夜道の姿は全く見えない。ザク、左足が太腿の真ん中あたりから切断される。残るは右脚のみ。意識を集中させる。正面からの殺気に気付きそちらを振り返ると、そこには右手を振り下ろした夜道の姿があった。スゥと体が下にずれていく。見ればそこには右脚だけがそびえ立っていた。
「貴様‼︎」
全方向から影針が現れ秋月《水虎》の胴体を滅多刺しにした。その針が変形し瞬く間に秋月《水虎》を飲み込み球体になった。他のパーツもすぐに影で飲み込み球体にしていく。だが、左手が見当たらない。探しているとそこに鴉丸がやってきた。
「夜道さん!まずいことがわかりました。水虎が寄生した相手は人間ではありません!」
「何⁉︎」
「偶然だろうと思いますが、あれは吸血鬼です。」
「日本にもいるのか⁉︎だいたいどう見ても日本人だったぞ?」
「日本人とポーランド人のハーフの子供なんですけど、そのポーランド人がどうやら吸血鬼だったみたいです!」
「危険な方の吸血鬼か?」
「アレがどうかは分かりませんが、あれの祖父にあたるポーランドの吸血鬼は国際指名手配されていた吸血鬼で、かなりの大食いだとか。」
「実は左手だけ見当たらないんだ、どうしよう。」
「え?」