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Gang‼︎  作者: あなたの後ろの…
水虎戦線
5/8

5話、水虎戦線①

「こちらポイントa(アルファ)鴉丸、異常し。どーぞー!」

「こちらポイントβ(ベータ)夜道、異常無し。どーぞー!」

「こちらポイントγ(ガンマ)弓子、異常無し。オーバー。」

誰もその時、街の異常には気付いていなかった。弓子は街角のベンチで何気ない風を装い、街を観察している。弓子は普段人付き合いは殆どない。その分だけ観察には長けている。それでも気付けないほど最初の変化は些細なことだった。


公園の水飲み場で少女が蛇口をひねった。喉が渇いたのだろう。小学5年生くらいに見える。周りには友達らしき同い年くらいの男女数名がいる。少女は水を飲み終え、また友達たちと鬼ごっこを始めた。少女が鬼のようだ。男の子を追いかける。少女は男の子に追いつくと、そのまま組み伏せ馬乗りになる。

「ブクブクククク…」

白目をむいた少女が男の子を殴り出す。ベキベキと音を立て男の子を殴っている姿には、狂気以外に何も映っていない。

「やめなさい!」

弓子が止めに入った。と、突然少女は弓子に飛びついた。弓子は驚くが突き放す事も可哀想に感じた。

「ブクブクククク‼︎油断したな高橋由美子‼︎」

「…水虎⁉︎クソ!子供の中に入るなんて…卑怯よ‼︎このゲス野郎‼︎」

「ブク!クックックッ‼︎俺の能力は取り憑く事なんだよ!それぐらい聞いてるだろぉ?ブーーークックックッ‼︎ブァーーーークァァァァメェェ!」

少女の声なのが余計に恐怖を感じる。少女《水虎》は右の手を弓子の口に突っ込む。

「ブクァァァクァックァックァッ!このガキの水分は全て俺と同化している。こいつの汗をお前の体に入れ俺が乗り移ってやる‼︎」

「モガ‼︎ムゴゴガ!ギィー!」

「ブク?お前…まぁいい‼︎このガキの全身の水分を全て体外に出して、このガキを殺されたかなければ言う通りにしろ‼︎」

水虎は手を引き抜く。弓子は不思議に思いつつ従うことを了承した。


「こちらポイントγ(ガンマ)弓子、異常有り応援頼む。」

「こちらポイントβ(ベータ)夜道、了解した。すぐ応援に向かう。」

夜道は自分の影に潜り高速で人混みの下を駆け抜けた。小さな子供は気付いたりましたが、基本はスマホを見ているため気づかない。

「こちらポイントa(アルファ)鴉丸、了解。2分ほど耐えて下さい。」

鴉丸は鴉に化け、やはり高速で飛んだ。2人が着くと弓子は建物の陰に隠れていた。

「あそこのマンホールから声が聞こえのよ。俺は絶対水虎だった。」

「ではなぜテーザー銃を使わなかったのですか?それなら捕らえられたかも。」

「そ、そうね。でもこうなったら中を確認しないと…」

「わかった、俺が行く。鴉丸は弓子を頼む。」

「ダメ!あ、いや…その、気をつけてね。」

「おう。」

夜道は影に潜りマンホールに侵入した。中は暗くろくな光はない。と、思いきや意外と中は光がある。考えてみれば中で作業する人もいる施設なのだから、当然灯も設置されている。が、人目はない。夜道は気配を探るが一向に水虎は見つからない。念のためと奥に進んで行く。

一方鴉丸は、妖気の出所に気付いていた。その少女があどけなさ気な笑顔でかけて来る。鴉丸は大体のことを理解した。

「弓子さん、大体の状況は把握できたので安心して下さい。私に策があります。」

鴉丸はそう言うなりその少女を抱えて天空に飛び立った。

「水虎!天狗警察は社会安寧のためなら子供の1人や2人などどうでもいい組織だ!この体のまま地獄で呪縛をかけ封印させてもらうぞ!」

「ハッタリだ‼︎そんなわけないブグ!」

「お前はすでに地獄からの要請で第一級犯罪者として逮捕する許可は出ている。第一級は他と違い多少の被害は厭わないと言うことだ!貴様の後で雌も地獄に送る‼︎」

ちょうどいい具合で雷が鳴り、鴉丸に迫力を演出した。

「…ブグググ、クソ!」

水虎は少女の体を飛び出し地上に逃げる。弓子はシーバーで夜道を呼びながら、テーザー銃を出した。

「このゲス野郎が‼︎ここで終わりよ!」

「いいのかブグ?ここで俺が電撃を受けてもすぐに針が落ちでてォ?お前とその周りの人が被害お受けるぞ?」

「その必要はないがな!鴉天狗捕縛術一式、[風縛り]‼︎」

強力な風圧により液状の水虎を小さな球体にまとめる。

「ふ、あっけなかったわね水虎。」


夜道は水虎を捕まえた報告を聞いて安心した。がいきなり下水道内の水量が増え出す。

「ヤバ!雨か⁉︎」

夜道は適当なマンホールを影に潜って脱出した。やはり雨が降っているようだ。先程の場所に戻って来ると、弓子が丁度水虎の攻撃で肩を貫かれていた瞬間だった。

「水虎ォォォォォォ‼︎」

影から飛び出し水虎に拳を振るう。その後ろから無数の影の針が水虎を貫通した。

「無駄ブグよ。」

水虎はそう言うなり通りすぎた窓を開けていた車の中に飛び込み運転手に取り憑いた。その車はまっすぐ高速道路に乗り水虎塚を目指した。弓子を守れなかった無力感と、逃げられた敗北感が夜道の中で膨れ上がる。鴉丸は少女を地上におろし帰るように促してから、駆け寄って来て弓子の具合を見る。

「大丈夫です。すぐに治療できますから。」

鴉丸は応急処置を施す。夜道は先程の車を追いかけた。

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