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最終兵器兄様とシスコン妹様 前日計画

作者: ren@

 私の兄、九条達也は学校で『最終兵器』と囁かれ、恐れられている。だけど、本当は優しくて、いいお兄ちゃんなんだよ?これはそんな兄と、シスコンと言われる私、九条梨花の平和で、残酷な世界の話だ。


こんこん。私は眠れなくて、兄の部屋のドアを叩く。

「・・・。なんだ。梨花。」

兄はドアを開けると、冷たくそう言う。相変わらずの冷たさだ。でも、こんな兄が好き。

「眠れないの・・・。」

私は兄に抱きついてみる。すると、兄は黙る。沈黙の時間が続く。私は意を決して兄の顔を見ることにした。・・・。顔が赤かった。熱があるんじゃないかって思うぐらい赤かった。

「兄様・・・?」

私は自然と兄の額に手を伸ばしていた。・・・。熱はないようだ。

「あーもう!兄様が返事しないから、私、ここで寝る!!」

私は兄の腕の隙間を通ってベッドに行こうとする。しかし、行けなかった。なぜって?

「り、梨花待て。」

兄様が私を抱きしめていたから。兄様のにおいが凄く近くでする・・・。

「俺を変態扱いしないなら一緒に寝てやる・・・。それと、お前も中学生なんだし、一人で寝れるようにしなくっちゃな。」

「でも・・・。雷鳴ってるよ・・・。怖いよ。お臍とられたらどうしよう・・・。」

「は!?」

あ・・。声に出てた・・・。

「で、でも・・・。そんなところも可愛い・・・。」

ん?兄様、なんか言った?ぼそぼそ言ってて聞こえなかった・・・。

「ほら、俺と寝るなら早くしたほうがいいぞ。」

「うん!」

その日は兄の腕の中で私は眠った。とても気持ちよくて。誰にも渡したくないぐらい・・・。


その日は来るべきして来たのかもしれない。私の学校は付属中学校―兄の高校の付属中学校なので、廊下でたびたび兄に会ったり、兄を見かけたりした。そして、私は友達のみなみと話しているとき、ふと、外が目に入った。たぶん先程の授業、兄のクラスは体育だったのだろう。しかし、見たくないものがそこにあった。兄が私以外の、他の女の子と話していたのだ。

「殺してやる・・・。」

思わず言ってしまった。

「?梨花、どうしたの?」

幸い、ぼそっと言ったので友達には聞こえなかったようだ。それにしても、とりあえず兄様と話してたあの女の情報を集めなければ・・・。

下校時間になり、校門でたまたま兄を見つけたので後ろから抱きついてみた。相変わらず顔を赤くする。

「兄様・・・。今日さ、体育の授業のあと、誰と、何の話してたの?」

「・・・!お前には関係ないだろ。」

「兄様さ・・。最近あの子と話してるの?教えてよ・・・。」

「っ・・・。あいつは松岡遙・・・。」

兄様の顔がさっきより赤いし、俯いてるし、目が泳いでいる。

「へぇ・・・。兄様、松岡さんのこと好きなんだ・・・。」

私にはわかった。好きなんだって。だけど、兄様が私以外の他の女の子を見るのは許さない。

「・・・。そうだよ。好き、だよ。」

その時、私の中の何かが途切れた。

「兄様なんて私だけ見ていればいいのに!兄様なんて死んでしまえ!!」

私は急いで兄の手を振り払うと、家へ向かい、着くと、自分の部屋に篭る。

「嘘よ・・。兄様が・・・。」

私はウサギのぬいぐるみを抱きかかえると、机の上のパソコンに向かう。そして、殺人の方法を調べる。

まぁ、彼女は兄様と仲良くなるぐらいだから、楽に死なせてあげよう。


今日、私は不思議な夢を見た。自分がとても小さな箱に入っててね。下も、上も、横も見える箱。私はふわふわ浮いててね。そして、箱が壊れていって、私は空を飛び、地面に落ちるの。そして、私は・・・。

どうやら、兄いわく、自分が死ぬ夢は生まれ変わりなんだとか。・・・。じゃあ私は兄様にとっての理想の妹になれるの?

「梨花・・・。いるか?」

煩わしい兄の声が聞こえる。何故だろう。兄の声が煩い。私の計画は誰にも邪魔させない。私は部屋の隅に椅子を見つける。・・・。これだ。

「うん。兄様入って。」

兄様で実験だ。兄様には申し訳ないけど・・・。これも兄の為。するとガチャ、とドアノブを捻る音がし、兄が部屋に入ってくる。

「兄様。ここに座って、目をとじて。」

「?あ、ああ。」

馬鹿な兄。すぐ私の言うことを聞く。私は重い椅子を音を立てずに持ち上げる。

「兄様・・・。ごめんね。」

私は椅子を振り上げる。私の目は愛と、苦しみと、憎しみで満たされていたんだろうと、自分でも分かる。

「は・・・。!!いた、痛い。やめて・・・。梨花・・・。」

兄様の体にどんどん傷ができていく。やめて、っていわれると、痛い、っていわれると・・・。余計にいじめたくなるんだよね。でも逆にこの傷って私のものってことの証明になるよね?あはっ、あはっはは・・・。余計に傷を付けたくなっちゃったじゃない。私は振り上げる。何度も、何度も。正気に戻ったのは、兄様の体から血が出ていることに気づいた頃だった。私は兄を苛めていた。自分が兄に悪いことをしたこと。この罪は一生消えないだろう。

「あ、兄様・・・!!ごめんなさい、私としたことが・・・!」

私は椅子を放り投げ、兄様を抱き締める。兄も弱々しく私を抱き締め返す。

「い、いいんだ・・・。」

私は早急に兄と病院に行く途中、思った。

「これであいつも・・・。」




 

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