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高校三年 三学期―5 (宮沢 和美)

 いよいよ、明日は卒業式だ。

 この三年間、色々あった。特に、二年・三年と続け様に色んな事があった。

 思い返せば、全ては安奈と出会ってから全てが始まった気がする。

 そんな事を考えながらベッドに横になっていると、部屋のドアをノックする音が聞こえた。


「はーい」


 何と無く愛想よく返事をする私。

 ドアを開けると、久美子の顔がアップで映る。

 その瞬間、ドアを閉めようとするが、久美子の右足がそれを阻止する。


「何でしめんのょ!」

「あんたが来ると、ろくな事無いんだよ」

「私が疫病神だって言いたいわけ?」

「そう言ってるつもりだけど、伝わらない?」


 ニッコリ笑い私がそう言うと、久美子もニコリと笑みを浮かべ「友達でしょ?」と言う。

 やはり、何か嫌な予感がする。

 これは、関るとまずいと、私の頭の中で判決が下る。


「友達だけど、何か嫌なにおいが漂ってるから、近付かないでくれ」

「ちゃんとお風呂には入ってるわよ!」


 いや、そう言う意味で言ったわけじゃない。

 イライラとする私は、歯を食い縛りながら言う。


「なに? 何か用なのか?」

「用があるから、来てるんでしょ」


 歯を食い縛り笑みを浮かべながら私と久美子は睨み合っていた。

 お互い、力一杯にノブを引っ張り合うが、そこに安奈の声が響いた。


「く〜みちゃん。何してるの?」

「あっ! 安奈! 安奈も手伝って!」

「手伝うって……。何を?」

「良いから、引っ張るのよ!」


 久美子がそう言うのが聞こえた。

 その瞬間、私はノブから手を放す。

 ドアは勢いよく開かれ、久美子は転げる。長い廊下を。

 大きく開かれたドアの向うに安奈がニッコリ笑みを浮かべていた。


「どうした? 安奈も私に用か?」

「うん。まぁ、そうかな。明日の事でちょっと聞きたい事あってさ」

「明日の事? 明日は卒業式だろ?」

「そうだよ。それで、明日は来れそう?」

「来れそうって、卒業パーティーの事?」


 私がそう聞くと、安奈が少し悩む。

 そして、ニッコリ笑顔を見せ、「ちょっと違うかな」と言った。

 首を傾げる私は問う。


「卒業パーティー意外に何かあるのか?」

「うん。マサ達と一緒に、パーティーしたいな〜って」

「へ〜っ。それは、決まったの?」

「うん。もう、マサとは話しは済んだよ。あと、カズちゃんの返事を聞くだけだよ」

「皆は行くって?」


 私が聞くと、安奈は笑顔で「うん」と答えた。

 なら、私だけ断るのは申し訳ないし、別に断る理由もないので、快くオーケーした。

 すると、安奈は嬉しそうに私に飛びつき、「ありがとう」とささやいた。

 私と安奈は完全に久美子の事を忘れていた。

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